カテゴリー別アーカイブ: ギター

バスキング

アコワドの今号で取り上げたYuta Tanakaさんは海外でのバスキング経験が豊富だ。
日本では「ストリート」という言い方が一般的だが、世界的にはバスキングという呼び方が一般的らしい。

日本のストリート演奏はプロミュージシャンになりたい人たちがアピールや人前で演奏することに慣れるために行っているというイメージがあると思う。

オーストラリアなどでは、生活の手段としてバスキングをするということが当たり前になっているという。
登録制であり、資格さえあれば決められた場所でバスキングを行うことができ、その収入も普通に生活するには十分得られるらしい。とはいってもそれだけの能力が必要ではあるが。

日本で路上演奏で生活していくというとはイメージできない。
ヘブンアーティストという、東京都が管理する事業はある。(http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/heavenartist/)
事前に登録し、決められた場所でパフォーマンスをすることができる。しかし、これだけで生活できる人というのは聞いていない。もしかしたら音楽以外ではいるのかもしれないが。

日本では路上パフォーマンスに対する規制が強くなってしまい、見かけることも少なくなった。見る方もスキルが無いため、演奏者にどう接していいかわからない人が多い。関西は気軽に話しかけるようだが(^^;)

狭い日本だが、もっとミュージシャンやパフォーマーがそれだけで生活できるような環境に進化してほしいと思っています。

ちなみに、私は10数年前に千葉でソロギタリスト城直樹さん(http://naoki-jo.com)がストリート演奏をしていたのを見ました。表板が割れたギターを叩きまくる「ルパン三世」はものすごいインパクトでした。当時は城さんのことを知りませんでしたが、しばらくしてからYoutubeで城さんの動画を見つけ、「あの時のギタリストだ!」と驚いたものです。

こういう出会いはとても大事だと思います。

城直樹 ルパン三世のテーマ

伊藤賢一ギターリサイタル in 近江楽堂

本日は新宿初台近江楽堂で伊藤賢一さんのギターリサイタルでした!

去年に引き続き2回目の近江楽堂ですが、このリサイタルの特筆すべきは完全生音であること。

クラシックギターのリサイタルは一般的に生音ですが、この会場のように100人ほど入場できるスペースでスティール弦の生音は異例。

クラシックギターを普段聴かない方にはわかりにくいかもしれませんが、大きな会場ではクラシックギターの方が音が遠くまで飛ぶので聴きやすいのです。
スティール弦はサスティーンが長く一見大きな音ですが、距離が離れると音が弱くなるので、クラシックギターでは生音でできる会場でもスティール弦ではできないものです。

去年初めて聴いた時、スティール弦は大丈夫だろうか、と不安がありましたが、全くの杞憂。会場の後ろまで素晴らしい音色を伝えてくれました。

今年の使用ギターはいつもライブで使用している大屋ギター、ハウザー2世の他、1952年製のマーティンD-18もありました。

前半は伊藤さんのソロ。
3本のギターを使い分ける素晴らしい演奏です。
クラシックギターのハウザーはこのようなホールだと本領発揮。
充実した響きと表現力。やはりクラシックギターは生音で聴くのがベストです。
大屋ギター、D-18もそれぞれ楽器の個性を伊藤さんが引き出します。
後半はゲストの垂石雅俊さんが登場。ソロの演奏と伊藤さんとのデュオですが、垂石さんもクラシックギターとスティール弦を使い分けます。自身のローデンギターと、伊藤さんのD-18を使われてました。
元々はクラシックの方のようですが、自作の曲もあり音楽性は異なりそうですが、スタイルは伊藤さんに近いものがあります。

本日は座席を増やすほどの大盛況。
やはりギターの生音には魅力があるのでしょう。
会場の響きがいいのもありますが、スティール弦で生演奏ができるのは、伊藤さんならではというところもあります。
伊藤さんはギターを鳴らすのがとてもうまく、ギターのポテンシャルを最大限に引き出せます。
ラインの会場でも常に生音を意識した演奏をしているのでしょう。

すでに次の近江楽堂のリサイタルは来年7/15(土)に決まっているということです。
多くの人に生音の演奏と、このリサイタルの意義が伝わればと思います。

伊藤賢一ホームページ
http://kenichi-ito.com

マーティン・テイラー

マーティンギターとテイラーギターを掛け合わせたギターの申し子のような名前のマーティン・テイラー(笑)。
ジャズをベースとしたフィンガースタイルのギタリスト。
私がトップクラスに好きなフィンガースタイルギタリストです。

ジャズギタリストだがチェット・アトキンスに大きく影響を受けており、バンドでの演奏もあるがソロでの活動が中心。
最近は頻繁に来日するようになったので、日本での知名度も高くなっていると思う。

ソロギターの醍醐味はベース、コード、メロディを複数人で弾いているようにソロで演奏すること。
マーティン・テイラーの演奏はまさしくそれを体現し、そのレベルの高さが尋常でない。
本当に別々の人が弾いているように聴こえるくらい音の分離がよく各パートが独立している。

マーティン・テイラー驚異的なアレンジの「I’ve Got Rhythm」の動画を紹介します。

I’ve Got Rhythm Martin Taylor

マーティン・テイラーの演奏は1:10くらいから。
冒頭はよく聴くメロディだが、途中からベースの音数が激増する。
それでいてリズムは崩れずメロディも違和感がない。
トミー・エマニュエルとは異なるバカテクと美しいメロディラインと音色は唯一無二の存在です。

なお、映像の後半ではチェットも演奏はないですが、出演しています。

パコ・デ・ルシア

不世出の天才といってよいだろう。
フラメンコギタリストで最も有名であり、その演奏能力と存在感の強さは他の追随を許さない。

しかし、パコの凄さはフラメンコギタリストとしての技量だけではなく、他のジャンルの音楽との融合だと思う。
フラメンコの枠にとらわれず、フラメンコにはないアドリブを取り入れるなど、パコ・デ・ルシアというジャンルを作ったようなものだ。
有名なのはアル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンとのスーパーギタートリオ。
ジャズ、フュージョン界を代表するテクニシャン二人との共演はまさしく世界最強。
全員が凄まじい迫力であり、奏法は三人三様。
パコはナイロン弦の指弾き、ディ・メオラはスティール弦をピッキング、ジョンはナイロン弦をピッキングする。
このトリオの名盤「Night In San Francisco」が1981年にリリースされ、コンサートツアーも行われたようだ。

Mediterranean Sundance / Al Di Meola,Paco De Lucia

そしてこのトリオを1996年に再結成し、おそらくこの年に来日している。
このコンサートを見にいったが、とにかくパコの存在感が強かった。
3人とも凄まじい演奏能力だが、パコの音圧は群を抜いていた。
今でもこれほどの音圧を感じるギタリストは見たことがない。

Paco De Lucia, Al Di Meola and John McLaughlin – Mediterranian Sun Dance

そして、2014年、心臓発作で66才の生涯を閉じる。
短命とは言い難いが、もっと年輪を重ねたパコを見てみたかった。

そんなパコ・デ・ルシアの映画が公開される。

パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト
http://respect-film.co.jp/pacodelucia/

 

パコの少年時代の映像から晩年までを描いたドキュメントのようだ。
上映する映画館はあまり多くはないが、多くの人に見てももらいたいと思います。

オーティス・ラッシュ

私はブルースが好きです。
アコースティックだけでなく、エレクトリックなブルースも昔から好きです。

オーティス・ラッシュはトップクラスに好きなブルースマン。
名曲「All Your Love」は多くのミュージシャンに愛され、エリック・クラプトンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンらにカヴァーされ、これらのバージョンも人気が高い。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのバンド名「Double Trouble」はオーティス・ラッシュの曲名でもある。

Otis Rush And Eric Clapton – All Your Lovin’ [Miss Loving]


オーティス・ラッシュを初めて生で見たのは2001年のジャパン・ブルース・カーニバル。

サウスポーでチェリーのES-345を奏でる。
迫力ある歌声とギターはとても魅力的で、ブルース・カーニバルでもその魅力をこれでもかと披露してくれた。

その後、2004年にも同じくジャパン・ブルース・カーニバルの出演で来日したのだが、来日の数ヶ月前に脳梗塞で倒れていた。
あまり重くはなかったようだが、来日した時は支えがなければ歩くのも難しく、ギターを持ちはしたがとても弾ける状態ではなかった。
かろうじて歌えるが、声を出すのの辛そうであった。
そんなオーティスを支えたのが盟友カルロス・ジョンソン。
オーティスと同じくサウスポーで、ギブソンのセミアコを奏でる。

Carlos Johnson & HooDoo Band

カルロスがギターを弾き、オーティスが歌う。
カルロスのギターはオーティスが乗り移ったかのように違和感がなく、オーティスの歌は魂を振り絞るような迫力で、素晴らしいステージであった。

その後、オーティスは演奏活動ができずにずっと静養をしている。

そんなオーティスが2016年6月12日シカゴ・ブルース・フェスティバルに姿を現した。

その時の映像がこちら

もちろん歌もギターもできないが、挨拶はしてくれた。
もうそこにいるだけで幸せである。
1935年生まれなので81才だがまだまだ長生きして、現在活躍しているブルースマン、これから活躍するブルースマンたちを見守っていてほしい。

インプット

ギタリスト、音楽家はいろいろなものをインプットし、それを咀嚼してアウトプットしている。
多くのギタリスト、音楽家がインプットする音楽は、自分の提供する音楽とはかけ離れたものも含め、多岐のジャンルに渡る人が多い。
そして、音楽以外のものもたくさんインプットしている。

これまでいろいろなギタリストからお話を聞きましたが、小説、絵、漫画、映画、風景、スポーツなど、様々な事柄を糧にしている。

音楽には技術的な側面も大きいが、作曲はもちろん奏法も表現力に重きを置いている。
デジタルの打ち込みと人の演奏では大きく異なることでわかるでしょう。

ソロギタリストの特徴として、いわゆるプロ活動をしてからはギター音楽をあまり聴かなくなっている傾向が強い。しかし、ギター以外の音楽は積極的に聴いている人が多い。
他のギタリストの影響を受けたくない、ということも聞いたことがある。自らが表現者になると、他のギター音楽への興味が薄れるのかもしれない。

それでも、インプットする質と量は多く、それがあってこそ良質の音楽を生み出している。
これは表現者に限らないでしょう。

どのような仕事、趣味でもそれに直接関係の無いものでもインプットが多ければ、アプトプットできる質を高め、量を増やせるのだと思います。

ライブ

音楽を聴き始めた頃、テレビ、ラジオでまず曲を知り、気に入ったらレコード、あるいはカセットテープを購入したり、レンタルレコードで借りたものをダビングしていた。
それを繰り返し聴く。

何がきっかけかよく覚えていないが、中学2年生の時に初めてさだまさしのコンサートに行った。当時はさだまさしが大好きで、アルバムだけでなくラジオも毎週聞いていた。
おそらくラジオがきっかけで、コンサートにも行きたいと思ったのだろう。
そのコンサートはとてつもなく面白かった。
コンサートホールの音量の大きさに驚き、生の歌声、楽器の音にえらく感動したものだ。
ラジオでさだまさしのトークが面白いことを知っていたが、MCもたまらない。そして、MCが長い(^^;)
コンサートは3時間は超えていたと思います。

ここから高校卒業まで毎年に1回さだまさしのコンサートに行き、その他にも谷村新司や長渕剛など、今考えると中高生にしては随分コンサートに行っていたと思います。

音楽を聴くのであればレコードでもいいはずなのに、どうしても生で聴きたかった。
当時は詳しくレコーディングのことを理解していた訳ではないが、レコーディングとは何度も録り直し、ベストな音源を使用するということはわかっていた。
コンサートの魅力として、目の前で起きていることが全てであることのワクワク感と緊張感を楽しんでいたと思う。
それは今でも大きく変わらない。

ライブは一発勝負で、やり直しはきかない。
出だしてトチってやり直すことはあるが(^^;)

もし環境が許すのであれば、好きなミュージシャンのライブは是非見てもらいたい。
アルバムやYoutubeとは異なる姿、音を感じることができる。
特にソロギターのライブは小さなライブハウスが多く、ミュージシャンと身近に接することができる。
ミュージシャンは話しかけられることを嫌がらない。
むしろ、話しかけられることを喜びます。

1度行くと病みつきになること請け合いです。

ライブにはぜひ足を運んでみてください。

 

熊本地震復興支援プロジェクト
HAND IN HAND〜ソロギターで復興支援を〜

http://www.aco-world.com/cd/fukkou2016/

トレモロ

クラシックギターの楽曲としては「アルハンブラの思い出」を始め、トレモロ奏法を多用する楽曲は以前から多い。
最近はアコースティックギターの曲でもトレモロが増えている。
しかし、一般的にはクラシックギタリストが本格に練習したトレモロとアコースティックギタリストが独学で習得したトレモロは音の粒立ちなどが違うように思われる。あと、スティール弦よりナイロン弦の方がトレモロには向いている気もします。

そんな中で、ギタリスト川畑トモアキさん(http://batalog.ojaru.jp)のトレモロは素晴らしいと思います。川畑さんはスティール弦を使用してますが、クラシック音楽も勉強しているため、トレモロの造詣も深いものがあります。

私が楽器店で働いていた頃、クラシックギタリスト川井善晴さん(http://www.studio-delphin.com/)によるトレモロ講座がお店で行われました。
その際に印象的だったのは、どの指でも同じ音色を出すことを心がけ、その練習として右手の指の順番を変えるということでした。
通常トレモロは薬指、中指、人差指という順番で弦を弾きますが、それを薬指、人差指、中指などように順番を変えて音色を整えるということでした。
川井さんはさらに親指を加えてトレモロを弾きましたが、音色が全く同じで驚いたものです。

川畑さんも右手の指の順番を変えての練習をしているということでした。
このようにアコースティックギタリストもクラシックやエレキ、あるいはピアノやドラム等、他の楽器を触ることによってより表現力が増すのではないかと思っています。これはプロギタリストに関わらず、趣味でギターを弾いている人にも有効だと思います。

音の説得力

アコースティックギターは数え切れないくらいの種類があり、同じモデルでも1本ずつ音が違う。
それを様々なギタリストが演奏するので、耳に入ってくるギターの音というのはそれぞれ全く異なっている。

10代であってもとても演奏能力が高く、ギターをうまく鳴らせるギタリストもいる。
しかし、長いキャリアを経なければ出せない音もあると思う。

初めて音に説得力を感じたのは、2007年第一生命ホールで行われた石川鷹彦さんのコンサート。
それまでもいろいろなベテランギタリストのライブを見たこともあり、石川鷹彦さんも多分2回目だったと思う。
それらの演奏もいい音であると感じていたが、2007年のコンサートでは最初の一音がとても太く、まっすぐに体に浴びせられてきた。
ホールという環境もあったのかもしれないが、特に音が大きい訳でもない。それでも強い音の圧力にゾクゾクした。
石川さんはカオルギター、エピフォン、マーティン等様々なギターを使用しており、それぞれ楽器の個性もあるが、全て石川さんならではの音色になる。
とにかく音が太く、存在感が強い。

速く弾く、間違えずに弾く、ということは練習で可能になるだろうが、音の存在感は長い年月をかけなれば出ないのではないだろうか。

熊本地震復興支援プロジェクト
HAND IN HAND〜ソロギターで復興支援を〜

http://www.aco-world.com/cd/fukkou2016/

ブログ始めました

ブログ始めました!

Acoustic Gutar World発行人シゲエダユズルです。
Facebookをブログ的に使おうと思っていましたが、少し長くなるだけで読みにくい感じがしたこと、データベース的な使い方もブログの方が向いている気がしたので、始めてみます。

主にアコースティックギターのことを書くと思いますが、他のジャンルの音楽や、音楽以外のことも気の向くまま書いていこうと思います。
まずは、1ヶ月毎日書いてみます。
その後はそのまま継続するか、ペースを落としていくか、少しお試しです。

ちなみに、ブログのタイトルである「Come On My Kitchen」はロバート・ジョンソンの1曲です。
「キッチン」ですが料理の話はありません。。。
ロバート・ジョンソンですが、エロではありません。。。


本編:
現在、Acoustic Gutar Worldという電子書籍を発行しつつ、アコギ関連のイベントも企画をしています。
Acoustic Gutar World、略してアコワドは月1回ギタリストのインタビューを中心にEPUBファイルで発行しています。現在はEPUBファイルもある程度ポピュラーになってきて、iphone、ipad、Macでは標準インストールされれているibooksで読むことができます。
無料でダウンロードできますので、お気軽に購読してみてください。

http://www.aco-world.com

最近は押尾コータローさん以外のソロギタリストもいろいろな雑誌に取り上げられるようになってきましたが、日本には素晴らしいギタリストがまだまだたくさんいます。
全国的にはまだ知られていない、魅力的なギタリストを紹介していくのが一番の目的です。
普通、音楽雑誌以外も含めて人気のあるコンテンツを取り上げて部数を伸ばす、というのが一般的な考え方だと思いますが、アコワドでは知名度はなくても、いいと思ったギタリストをどんどん取り上げていきます。主に若い人(^^;)

マニアックなコンテンツですが、少しでも興味を持っていただけるとありがたいです。

 
熊本地震復興支援プロジェクト
HAND IN HAND〜ソロギターで復興支援を〜

http://www.aco-world.com/cd/fukkou2016/