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ギタリストインタビュー〜AKI-CHU
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ー1998年の再会までの20年くらいは、全く会ってなかったのでしょうか。

忠英:会ってないです。イサトがソロのアルバムを出してるのは知ってましたけどね。マーチンクラブのコンサートの後、お互いにマーチンのシグネィチャーモデルを出して、イサトから一緒に旅にいかないか、と言われて、それからソロの活動が始まっています。イサトには感謝していますよ。

ー田中さんはソロ活動の他に、忠英さんを始め、他のギタリストとの共演も多いですね。

アッキー:そうですね。忠英さんほどたくさんではないですが、他のギタリストや尺八の方と一緒にやることがあります。フィンガーピッキングは一人でやる人が多いのですが、人と一緒にやるのは刺激になるし、他の楽器とやっても刺激になりますね。誰かの伴奏をする時は、自分が前に出るのではなく一歩引くことを覚えたり、相手に対してどうカウンターを入れるのとか、やりながら勉強をしています。忠英さんを見て、こういう風にやるんだとか、勉強させていただいています。忠英さんとやってる時というのは、自分の中で一番演奏中に抵抗なく、忠英さんがここって所で入ってくれる。お互いがやりたいことをやってるのですが、それがぴったりはまってしまうというのは、忠英さんの時にだけ感じますね。

忠英:僕はアコギというのはソロを取る楽器ではないと思ってたんですね。リードも嫌いでした。でも、イサトやチェット・アトキンスらは自分で完結しています。こういう世界が作れるんだと刺激になって、自分でも作るようになりました。あと、「第三の男」とか、有名な曲をギター一本で弾く研究を始めたら、意外とできるんだなと思い、そんなことをやっているうちに、ソリストというのが見えてきたのですが、本来は歌のバックで伴奏するのが好きなんです。リードする人がいて、その人をサポートするのが気持ちいい。「忠英さんの演奏気持ちよかった」とか言われるのが好きなんですね。
アッキーのリードギターに対しても、サポートするのが好きなんです。だから、いい所で入ってくれるとか言われるのはうれしいですね。ジェイムス・テイラーが好きだったこともありますが、ああいうクラシックな感じの和声、ベースラインがあって、この積み重ねが格好いいんだとかを勉強させてもらい、こういうのを歌のバックで出来たらいいなと思う事が、アルバムを通して出来たのは、夏川りみの「南風」です。自分でベースやチャランゴなども演奏して、楽しかったですね。

アッキー:今回のアルバムは、二人の驚くほど共通する「Same Time」をテーマに作ったのですが、それでもやっぱり違うところがあります。それが、凸と凹みたいになって、ぴったり合ってるというのがすごくいいなと思いました。

忠英:完璧に一緒だったら機械と一緒じゃないですか。こういうのが醍醐味というか、気持ちがいいですね。

ーお二人の話を聞くと、合わせてるのではなく、自然に合っているというようですね。

アッキー:合わせなきゃ、とかしないで、忠英さんはアッキーはアッキーのやることやって、自分は自分のやることやるよ、と言ってくれるし、お互いが発揮した時にこそ、ぴったり合うという関係だと思います。

忠英:それじゃなきゃつまらないよね。機械が作るのと一緒になってしまう。

ー年齢差はありますが、師弟関係という感じでもないですね。

忠英:全然ないですね。アッキーに教わることが多いです。

アッキー:僕は忠英さんみたいになりたいですね。忠英さんみたいにギターを弾きたい。研究してますが、なかなか出せないです。やはり60、70才とかでないと、出せない音があるんだなと思ってます。

忠英:僕は66才になりますが、夢は、あと45年くらいギターを弾き続けることです。人間は健康でいれば、120才くらいまで生きられるようです。なら110才くらいまではギターを弾きたいなと。

アッキー:僕はその頃70才くらいですか。

忠英:一緒に出来たらいいねぇ。

ー忠英さんの演奏スタイルは幅が広いのですが、どういったところを大事にしているのでしょうか。

忠英:ベースラインがあって、和音があって、その和音の積み重ねが好きで、それでメロディが弾けるという感じです。ベースラインの上にのっけるメロディと和音が好きですね。

アッキー:忠英さんは和声や和音のことは、どういう風に身につけたんですか。

忠英:わからないけど、ジェームス・テイラーが一番多いと思うな。あとはクラシックでバッハとか。「美しく青きドナウ」は自然にベースラインが出てくる。ブラスバンドをやってたのですが、ブラスバンドでは低音の裏メロがカッコイイのがあるんです。ユーフォニアムとかトロンボーンとかですね。昔はクラシックをよく聴いてたし、ジェームス・テイラーもベースラインがクラシックだなと思いました。あと、ライ・クーダーからも勉強したし、他にはチェット・アトキンスかな。

アッキー:頭の中にオーケストラがある感じなんですね。

忠英:そうだね。バリトンギターで、ベースのちょっと上あたりの裏メロ作るのが好きだね。

アッキー:ちょうどユーフォニアムとかトロンボーンのパートですね。

忠英:中低域の裏メロですね。クラシックギターは譜面でやってみました。「アルハンブラの想い出」も練習しましたが、村治佳織みたいな完璧なのはできないので、スリーフィンガーでやってます。ボレロっぽくなりますね。

アッキー:忠英さんは未だに新しいことをやりますよね。

忠英:負けず嫌いなんでしょうね(笑)。「ベネズエラワルツNo.3」も楽譜で練習しましたが、すごい速く弾く人がいるんですよね。真似して速く弾いてみたりします。

アッキー:最初にヤマハのツアーでやった時も、「タッピングってどうやってやるの」と聞いてきて、ヤマハの人たちも、忠英さんがアッキーにタッピング教わってるぞって(笑)。

忠英:でもYoutubeとか見てると、小学生でもタッピングをやってるんですね。これを見てもういいやと。違う人に任せておこうと思いました(笑)。おいしいところだけ、使ってます。今回も「三陸少年」では二人でタッピングしてます。

ー確かに忠英さんにタッピングのイメージはわかないですね。。。

忠英:ギターがかわいそうでしょ(笑)。コータローは高いギターを何本壊したんでしょうね。かわいそうに(笑)。

ー最後にこれからの二人の活動を教えていただけますか。

忠英:4月に信州ツアーをするのですが、その後にアッキーと合流して、6月末くらいから北陸、中国、四国、京都でやって、夏は北海道で1ヶ月のツアーになります。秋は10月に北陸ツアーです。

アッキー:今は忠英さんとのツアーが一番大きいです。アルバムを一人でも多くの人に、聴いてもらいたいと思っています。自分でも何回も聴いています。出来上がった曲がかわいくて仕方ないですね。

忠英:俺は今まで自分のアルバム聴いたことないんだけど(笑)。

アッキー:今回は聴くことになりますよ!それくらい最高傑作が出来たと思っています。自信を持って、聴いたら絶対幸せになるよ、と紹介しながら、演奏して回りたいです。


【2013年3月5日ヤマハ銀座ホールにて】
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吉川忠英 http://chuei-yoshikawa.com

1947年東京生まれ
1971年、伝説のフォーク・グループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米、“EAST”と改名し、米国キャピトルレコード社よりアルバム『EAST』を発売。全米デビューを果たす。
帰国後、シンガーソングライターとしてデビューし、スタジオミュージシャンとしての活動も始める。
中島みゆき、松任谷由実、福山雅治、夏川りみ等多くのミュージシャンのコンサート、レコーディングに参加、スタジオミュージシャンの第一人者として活動する。
現在もソロギターの活動とサポートの活動を精力的に続けている。

田中彬博 http://tanakaakihiro.com

京都府出身。1986年1月2日生まれ。アコースティック・ギタリスト。
2007年、モリダイラ(株)主催フィンガーピッキングコンテスト全国決勝大会において「最優秀賞(グランプリ)」,「オーディエンス賞」, 「オリジナルアレンジ賞」の三冠を獲得。
2010年9月、アメリカ・カンサス州ウィンフィールドで開催される世界規模のギターコンテスト, 39th Walnut Valley Festival「International Fingerstyle Guitar Championship」にて日本人初, 大会史上最年少でのグランプリを獲得。
翌年に開催された40th Walnut Valley Festivalではオフィシャル・パフォーマーとして, Tommy Emmanuel, Stephen Bennettら40組のミュージシャン・ギタリスト達と共演した。
YAMAHA(株)の全面的なサポートにより始まった海外公演はスペイン, ポルトガル, 中国, 韓国, 東南アジア, ロシア, ウクライナへと広がり, 訪れた国は10カ国にのぼる。圧倒的なパフォーマンスと言葉を超えて胸を打つその音楽性は, それぞれの国で鮮烈な印象を残し, その評価と繋がりは世界的なものになりつつある。

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