Acoustic Guitar World
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高度なテクニックで独特な世界観を表現するアーティスティックなギタリスト、アントワン・デュホール 。現在までの活動や作曲の方法、音楽に対する考え方などお話しいただきました。
通訳:前澤勝典

Acoustic Guitar World vol.53 電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード
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「ギター・ミュージック」を作りたいというのではなく、もっと広い意味での音楽を表現したいという事です。

ーギターを始めたきっかけを教えていただけますか。

アントワン・デュフォール(以下、アントワン):15才の頃にギターを始めました。1995年ですね。いろいろな音楽を聴いていましたが、最初は父から簡単なコードを教えてもらい、フランス語の音楽を弾いていました。また父は「YES」、「Genesis」、「Gentle Giant」といったプログレ音楽を聴いていたのですが、その中で「YES」のスティーブ・ハウが弾く「Mood for a Day」を聴いてフィンガーピッキングに興味を持ち始めました。
その後、18才で大学に入りクラシックギターを専攻したのですが、その時の先生がドン・ロス、レオ・コッケ、ピエール・ベンスーザンといったギタリストを教えてくれて、よりフィンガースタイル・ギターに興味を持つようになりました。特にドン・ロスには強く影響を受けて、彼の曲は20曲くらいコピーしましたね。

ー大学ではクラシックギターの専攻をしたということですが、どのような勉強をしたのでしょうか。

アントワン:フランシスコ・タレガ、アグスティン・バリオス・マンゴレ、アンドリュー・ヨークなどの曲を練習していました。

Antoine Dufour ー大学でクラシックギターの専攻をしたということは、将来ギタリストになることを考えていたのでしょうか。

アントワン:それほど深く考えていた訳ではありません。音楽をより深く知りたいということから専攻しました。他にもサウンド・エンジニアリングのコースでも勉強しています。その後、音楽学校でギターを教えています。段々と音楽の道に入っていった感じです。

ーギタリスト、エンジニアのどちらかを目指したのでしょうか。

アントワン:最初ははっきりと決めてませんでした。音楽に関係する色々な事を勉強することで、音楽を教えて生計を立てられればと思っていました。その後、自然とギターを教えるようになったり、自分の楽曲を作ってアルバムを作るようになり、それが「You Tube」で拡がって今の活動の流れができました。

ーアメリカのウィンフィールドや、カナダでのギターのコンテストに出場されてますね。いつ頃だったのでしょうか。

アントワン:ウィンフィールドには3回出場しています。最初は2002年でしたが、この時は予選を通過できませんでした。その後の2005年にカナディアン・ギター・フェスティバルで2位になり、翌2006年には優勝しました。そして同じ年のウィンフィールドに出場して3位になりました。2007年にもウィンフィールドに出場しましたが、また予選を通過できませんでした(笑)。

ーウィンフィールドで日本人のギタリストに会いましたか?

アントワン:名前はわからないけどバンダナを巻いている人がいましたね。スローなバラードを演奏していました。カナディアン・ギター・フェスティバルにも別の日本人が出場していましたね。

ープロ・ギタリストとして本格的な活動をしたのはいつ頃からでしょうか。

アントワン:2002年頃からドン・ロスのカヴァー曲などを人前で演奏するようになりました。2002年のウィンフィールドでスティーブン・ベネットの演奏を聴いて、すごく影響を受けて自分の曲をたくさん作るようになり、それを演奏するようになりました。それらの曲をまとめて2004年に「Naissance」という1stアルバムを作っています。その後、2005年にCandyrat Records(以後、Candyrat)と出会い、ここから「Naissance」をディストリビュートすることになり、2006年に広く出回るようになりました。この頃からが本格的なプロ・ギタリストとしての活動ですね。
Candyratはアメリカのウィスコンシン州に事務所があるレーベルで、ロブ・ポーレンドという人が代表です。レーベルは2005年から始まったのですが、最初、所属アーティストはドン・ロスとアンディ・マッキーと私だけしかいませんでした。

ー現在はCandyratからは様々なフィンガースタイルのギタリストがアルバムを出していますね。

アントワン:そうですね。他にもシンガーソングライターやバンドなどもたくさんアルバムを出しています。

ー最初はアルバムをリリースし、ライブ活動を中心に行っていたのでしょうか。

アントワン:ミュージック・スクールで教えること、作曲をして自分のライブを行うというのが中心でした。2006年にアンディ・マッキーの知名度が「You tube」で爆発的に上がり、それによってCandyratも広く知られるようになりました。その効果もあって僕の曲も拡まり、この辺りから演奏活動の範囲が広くなってきましたね。

ー今でもギターを教えることを続けているのでしょうか。

アントワン:最近は学校では教えていなくて、主にSkypeで個人レッスンをしていましたが、今度、モントリオールの大学でフィンガースタイル・ギターの学科ができることになり、次年度から教えることになっています。こういったこともあり、ウィスコンシン州立大学のフィンガースタイルギター科で古くから教授をしているジョン・ストロープス氏とよく連絡をとっています。
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Antoine Dufour http://antoinedufourmusic.com/

1979年カナダケベック州生まれ。
2004年1stアルバム「Naissance」リリース 。
2005年Candyratレーベルに参加。
2006年カナディアン・ギター・フェスティバル優勝、同年アメリカのウォルナットバレー・フェスティバル3位入賞。
現在まで6枚のアルバムをリリース、タッピングを駆使した高度なテクニックで、クラシック音楽やプログレ等様々な音楽から影響を受けた独特な楽曲を演奏している。

Sound Pictures
Sound Pictures

1.These Moments
2.Spiritual Groove (live)
3.Mother (live)
4.Midwestern Expansion
5.Solitude
6.Drac & Friends Part 1
7.Glimmer of Hope
8.Good Dog
9.Catching the Light
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Convergences

Convergences

1. Lost In Your Eyes
2. To Run In A Dream
3. Spirits in the Material World
4. Paroxysm
5. In My Own Rhythms
6. En T'attendant
7. Hide and Seek
8. South Side Of The Sky
9. So Little While Road
10. The Drive Within
11. Cold Day
12. Life in Technicolor
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Still Strings
Still Strings
1.Swing in a Round
2.Tango agricole
3.Catherine
4.Apres le beau temps... La pluie
5.Breakdown Ross
6.Mellow Deep Art
7.Solitude
8.6/8 d'La Belle
9.String Fusion
10.Intenso

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