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ギタリストインタビュー〜竹内いちろ
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音楽はみんなそれぞれの感性で音を出していますが、感性というものは技術と違って伝えることはできないんです

ーアコースティックギターに戻ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。

話は変わりまして、使用ギターについておうかがいしたいと思います。

竹内:メインは大屋建さんのモデルF、12フレットジョイントです。

ー12フレットというのはどのような発想から作られたのでしょうか。

竹内:ふくよかな音がほしいというのがありました。大屋さんにこういう音にしてほしいと相談したのですが、持っていった音源はクラシックギタリスとの鈴木大介さんのナイロン弦の音でした(笑)。こんな発音のギターがほしいと思い相談したら、それなら12フレットにしましょうと言われました。ネックも太めですね。

ークラシックに近いサイズ感のようですね。

竹内:鉄弦とナイロン弦の間のような感じがほしいと言ったと思いますね。この他、ナイロン弦はアントニオ・マリンを使用しています。
竹内いちろ
ー以前からナイロン弦を使っていたのでしょうか。

竹内:いいギターはアントニオ・マリンが初めてですが、家にナイロン弦のギターはありました。バーデン・パウエルが好きなので、家でポロポロ弾いてはいましたね。伊藤賢一くんが前にアントニオ・マリンを使っていて、いいなと思ってたんです。それで伊藤くんが楽器屋に連れていってくれたのですが、アントニオ・マリンがありました。これは元々フラメンコギターなんです。結構使い倒した感じでボロボロだったのですが、弾いてみるとアントニオ・マリンの音で、これは欲しいなと思い購入しました。ただペグはガタガタでフレットも減っていて、直すのにお金がかかるので6,7年家で弾くだけでした。最近になって修理をしたんです。ゴルペ板が貼ってあったのですが、剥がした方が鳴りますよ、と言われのではがししてクラシックとして使えるように修理しました。トップはおそらく杉で、サイドバックはローズウッドです。フラメンコギターですが、コンサートホール用に使うタイプのようです。なので、パリンパリンのフラメンコの音ではなく、どちらかというと豊かな鳴りがする楽器です。すごく気に入ってるので、大屋ギターと2本立てでいきたいと思います。

ー今後の活動でおうかがいしたと思います。現在はソロのギタリストとの活動と、ギター教室もされているのでしょうか。

竹内:島村楽器でギター教室をやっていますが、5月いっぱいで全てやめます。レッスンは自宅でのレッスンと、名古屋のスタジオでの個人レッスンだけ続けます。空いた時間で何をするのかはまだわかりません。 今は仕事ではない旅をしたいなと思ってます。地方にライブハウスとかのオープンマイクに偽名で参加しようかなと(笑)。誰も僕のことを知らないところに行きたいですね。楽器と曲でばれてしまうかもしれませんが(笑)。
まだ深くは考えてはいないですが、もっといろいろな人と一緒にやってみたいですね。あまり高度成長的な発想は無くて、ゆるく生きるのがいいんです。お題目で生きたくないんですよね。何々をすべきとか、1日1日を大切にとか。とにかく最後まで生き残るということだけを思ってます。最後まで生き残って、あ〜楽しかった、と笑うのが僕のスタイルです。ある期間走ることもあるかもしれないし、ずっとゆっくり歩くかもしれないし、あまり頭で考えて生きたくないですね。
曲作りもそういう所があって、いきなり1日で曲ができたり、1ヶ月かけても全然できないこともある。頭で考えてしまってるんですね。もう1枚自分の音源を聴きたいと思ったら作るかもしれません(笑)。自分の背中を見れないように、自分の演奏って目の前で聴けないんですよね。そういうのが欲しくて1枚作りました。自分の中で40曲くらいたまったらそこから選ぼうと考えて、それを越えたのですが僕の曲は難しくて(笑)。自分で作って言うのもなんですが練習が大変なんです(笑)。
音楽はみんなそれぞれの感性で音を出していますが、感性というものは技術と違って伝えることはできないんです。よく僕の言っている理論が教則本など形になれば、と言われるのですが、教則本ではダメなんです。対面でないと伝わらないんですね。僕は一つの音でいい音を出しているということを大事にしています。その一音が重なって和音になっていいなとなります。そういったことを伝えられたらいいかなと。 そういったことはセミナーも違うのかもしれないですね。一人一人対面でレッスンをしていますが、みんないい音を出すようになってますし、耳も育ってきています。いい音を聴かせ続けると変わってきます。いつもいい音を当たり前のように聴いていると、物差しが変わってきます。最初はみんな同じだと思うんです、パッと音を聴いた時にいい音が出ているとわかるんです。
人間は聴覚優先の人と、視覚優先の人の2つタイプがいます。僕は子供の頃から聴覚優先でした。字で書いたダルセーニョとかでは地図を見失ってしまいます。でも耳で覚えたら早いんですね。生徒さんには聴覚優先の人もいれば、視覚優先の人もいます。そういう人たちにどのように伝えるかを考えるのも楽しいですね。聴覚の人には頭の中に録音するように何回も聴いて、と言うとできるのですが、そういう人ばかりではないんですね。そこにどうアプローチするかというのが面白いです。でも同じタイプの先生のところに行った方がいいというのが答えかもしれません(笑)。
教則本などではできないですが、何かこういったことを残せないかなと思っています。
あとは流れるように生きていく、格好良く言えば風のように生きていきたい(笑)。

ー最後にギターファンにメッセージをお願いします。

竹内:僕はギターがあったから今まで生きてこれました。仕事にするとかしないとかではなくてですね。僕にとってギターというのは代償行為みたいなところがあって、ギターがなかったら僕は自殺してるか檻の中だと思います。人によってギターの位置は全然違うと思いますが、パートナーになると楽しいですよ。お金儲けしようとすると苦しいです(笑)。とにかくその人が楽しければなんでもいいです。楽しんでギターと仲良くできればいいと思います。僕にとって楽器や音楽は空気みたいなものです。
今まで旅をあまりしていないので、ライブツアーをするかわかりませんが、各地のギター好きな人と会うのが楽しそうですね。どこかのオープンマイクで見かけたら、その名前じゃばれるとか、名前考えたり協力してください(笑)。
僕に対して強いこだわりがあって怖い、みたいなイメージを持ってる人もいるようですが、こだわりは全然ありません(笑)。楽しければそれでいいので、いろいろなギターファンに、Facebookなどではなく、直に会って話をしたり、セッションをしてみたいですね。

【2015年3月21日愛知・一宮Denpo Gにて】

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竹内いちろ

http://mrgtr.web.fc2.com

1962年京都生まれ。
フィンガー・ピッキング・デイ2005最優秀賞。
ウィンフィールドのInternational Finger Style Guitar Championship2005トップ5入賞。
ソロ活動だけでなく、ヴォーカルとのデュオ「野分(のわき)」(歌:山崎のりこ)、ベースとのデュオ「十弦夢(じゅげむ)」(ベース:見掛英治)など、様々なミュージシャンとのセッションやサポートも行っている。


アルバム「Takeuchi Ichiro」
Takeuchi Ichiro

1. Thanks to You/Congratulations
2. ヒミツ基地
3.野狐禅
4. かげろふのうた
5. ギタア彈きの杞憂 
6. Oneway-Noway
7. 時の棺
8. 上を向いて歩こう (作曲 : 中村八大)
9. Go Home
10. 黒の森

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