Acoustic Guitar World
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ギタリストインタビュー〜吉川忠英&住出勝則
バンド、シンガーソングライター、スタジオミュージシャンと多彩な活動を続ける吉川忠英さんと、フォークグループ「シグナル」でデビュー、音楽活動が40年を超えた住出勝則さんが「マサ忠セッツ」としてジョイントライブを行いました。シグナルの頃にに忠英さんがギタリストでレコーディングしていたが、2015年まで交わることのなかった二人が、長いキャリアを経た後に行われたジョイントライブは素晴らしかったです。そんな二人にそれぞれの印象や音楽、ギターに対する考えなどを話していただきました。

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ーお二人の出会いを教えてもらえますか。

住出勝則(以下、住出):シグナルのレコーディングで、よくお世話になっていました。アコギでは、忠英さんがとても多かったんです。

吉川忠英(以下、忠英):「20歳のめぐり逢い」もそうだったのかな。

住出:ん~、当時のレコーディングメンバーの記録が残っていないでの、正確にはわからないんです。あの頃は、どの曲を誰に演奏してもらったとか、覚えていないのですが、忠英さんには何回もレコーディングでお世話になりました。僕にとっては憧れの方で、当時はスタジオで声がかけられなかったですね。レコーディングはすごく緊張感があり、大体3テイクくらいしか録りません。間違えたかと思うと写譜ミスで、その後の演奏でOKになっていました。譜面を見せてもらったらコードしか書いてなくて、指定されなくてもカポをつけられたり、僕には、神業としか思えなかったですね。
シグナルは1975年デビューで8年間活動しましたが、後半はほとんど忠英さんでした。エレキギターは、松原正樹さんが多かったですね。当時のレコーディングでは、スタジオミュージシャンの方々は、誰のレコーディングをやっているのか知らなかったと思いますよ。

忠英:そうですね。変な仕事ですね(笑)。後から「この曲は忠英さんが弾いてたんですよ」と言われることがあります。

住出:参加された中には、たくさんのヒット曲があるでしょうね。

忠英:大体アレンジャーが指名してくるんですね。松田聖子ちゃんはやってないと思ってたんですが、結構やってました。「赤いスイートピー」や「青い珊瑚礁」もやってましたね。

住出:そうだったんですか! あの頃は、ミュージシャンは1日何曲もレコーディングして忙しかったようですし、売れっ子のプレーヤーなんて怖かったんですよね(笑)。

忠英:あの頃はツッパってるのが多かったですね。途中で帰っちゃうのもいたし。

住出:アレンジャーも怖い人がいて、「そんなの弾けないなら帰れ」みたいなこともありました。

ー当時、お二人は会話されたことがなかったのでしょうか。

住出:挨拶くらいですね。で、長い時が過ぎたあとの2015年に、すみだトリフォニーホールのイベントでご一緒させていただき、今回二人でライブを行うことになりました。

ーシグナルのレコーディング以来、会っていなかったのでしょうか。

忠英:全然会ってなかったですね。中川イサトが一緒にやってるというのは聞いてました。

住出:オーストラリアから戻ってきた頃ですね。2003年くらいです。

忠英:英語の本とか出してたし、名前は知ってたんです。ジャジーな感じのギターを弾いたりしてたので、いつか一緒にやれたらいいな、と思ってました。

住出:僕は我流で勉強したので、細かい音楽理論などわかりません。ので、妙なこともやっていると思います。一人での演奏ですので、自分がいいと思う音ならいいという感じです。逆に、忠英さんは何でもできるギタリストで、本当にすごいと思います。

忠英:経験ですよ(笑)。

住出:あら~、「経験」の一言ですか! 僕はもっと聞きたいんです(笑)。他のギタリストとセッションをする場合は、事前に「大体こういう風にお願いします」みたいな説明をしますが、忠英さんはコードがわかれば、自然に僕がやって欲しい方向へ行かれるんです。すみだトリフォニーホールでの「The Water is Wide」も決め事はなかったのですが、そんな感じで進行しました。お互いにかぶらないように、違う音域とかボイシングを使う・・・このアンサンブルの発想は、なかなかできないんです。

忠英:同じレンジだと、ぶつかるだけなのでつまらないんですね。自分が高音にいくとか、相手が高音にいったら下にいくとかのアンサンブルが楽しいんです。同じ所だと音がぐちゃぐちゃになるので、大事だと思います。

住出:それが瞬時にできるんですね。歌のバッキングの時は、歌とかぶる音をギターでは入れないとかも・・・

忠英:そうですね。それは考えています。

住出:これは、すごく高度なことなんです。一般的には、ギターが上手いというと、指が速く動くとか分かりやすい部分なんですが、歌のバックできちんと演奏するということが如何に難しいかも知ってほしいですね。

忠英:結局、アンサンブルなんですね。メロディがあって、自分がどのようなギターをつければよいか瞬時に判断するのは経験じゃないかな。スタジオというのは、コード譜をもらい、仮歌があります。メロディを覚えて、アルペジオがいいかな、女性の場合はこっちのほうがいいかな、とか考えてカポを使います。カポの使い方は大事です。
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吉川忠英

https://www.facebook.com/chuei.yoshikawa

1947年 東京生まれ。
71年、伝説のグループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米。西海岸を中心にコンサート活動を行い、和楽器を取り入れたフォークロック・グループとして注目を浴びる。72年、“EAST”と改名し全米デビューを果たす。
帰国後シンガーソングライターとしてアルバムデビューし、同時にスタジオ・ミュージシャン、アレンジャー・プロデューサーとしての活動を開始。
アコースティックギターの第一人者として、中島みゆき・松任谷由実・福山雅治・夏川りみ・加山雄三・Chageなど、ニューミュージック系のアーティストを中心に数多くのレコーディングやコンサートに参加している。
毎年、北海道から沖縄まで全国ソロライブツアーも精力的に行なっており、その旅の音風景とも言える楽曲を集めたアルバム「Relax & Slow ~Natural Style~」を2014年夏に発売。
季刊誌「ACOUSTIC GUITAR MAGAZINE」(リットーミュージック)に『チューエイのスタジオ日記』執筆中。
リラックス&スロー ナチュラルスタイル
リラックス&スロー ナチュラルスタイル
発売:2014年8月
販売価格:1944円(税込)

1. 美しき山
2. Sunny Side Up
3. 風窓
4. After Rain
5. Four Times
6. Morning Sun
7. Travolution
8. Pavement
9. N.A.D.
10. Sweetness
11. Delight
12. Habanera
13. 318 Spring#1
14. タラの庭
15. Simple Life
16. Fuji House
17. 一日の終わり
18. Slow Fuji


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住出勝則 

http://www.masasumide.com

1956年 京都府生まれ。
1974年フォークグループ「シグナル」に参加、翌年「20歳のめぐり逢い」でデビュー、1983年の解散までシングル14枚、アルバム7枚をリリース。
その後、武田鉄矢、谷村新司らのサポートをこなす。
1996年オーストラリアに移住、ソロギタリストとしての活動を始める。
1999年初のソロギターアルバム「TREADIN' EASY」をリリース。
2002年に帰国し、日本を拠点にソロ活動を始める。
2004年初の台湾ツアー、2006年に初の韓国公演を行う。
2007年初のアメリカ/カナダツアーを行う。
2011年に滝ともはる、矢沢透と「HUKUROH」を結成。
毎年アルバムをリリースし、多くの海外ギタリストと共演するのなど、ソロ、バンドとも精力的に活動中。
GOOD COMPANY 2
GOOD COMPANY 2
発売:2016年7月
販売価格:5,832円(税込)

1.My Love
2.Honesty
3.Feel Like Makin' Love
4.If
5.Love Theme (From "Sunflower")
6.The Pink Panther Theme
7.When You Wish Upon A Star
8.Moon River
9.Top Of The World
10.Mr. Sandman
11.Blue
12.Superstition
13.September ~ Let's Groove
[ bonus tracks ] with Masaaki Kishibe
14.The Water Is Wide
15.Wonderful Tonight

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熊本地震復興支援CD
「HAND IN HAND」
吉川忠英&住出勝則「The Water is Wide」収録
HAND IN HAND
 










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