チェット・アトキンスやジェリー・リードといったカントリースタイルを色濃く継承し、様々なジャンルの音楽を体現しているフィンガースタイルギターの達人、リチャード・スミスにそのルーツや現在の活動内容などをお聞きしました。
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ーギターを始めたきっかけは教えてもらえますか?
リチャード・スミス(以下、リチャード):父がギターを弾いていて、父が持っていたチェット・アトキンス、ジェリー・リード、マール・トラヴィスのレコードが好きだったんだ。そして僕が5歳の時に、父がコードを教えてくれたのがきっかけだね。
ー最初はどのような練習や演奏をしていましたか?
リチャード:学校から帰ると、レコードを聴いたりギタリストがテレビに映っているのを録画がしたものを観たり聴いたりして、それらをとにかくコピーしたり、何度も繰り返し弾いて練習していたね。
でも、学校の勉強はあまりしなかった(笑)。ギターの方が興味があったからね。でも学校は楽しかったし良かったと思うよ。ギターを弾き始めたのは5歳の時だったけど、7歳の時にはギターを仕事として弾き続けていきたいと思っていたね。
【左から西山隆行、リチャード・スミス、古橋一晃】
ー影響を受けたギタリストは誰ですか?
リチャード:1番早くから影響を受けてるのは、チェット・アトキンス、ジェリー・リード、マール・トラヴィス、ジョー・パス、ジャンゴ・ラインハルトなどかな。でも今はピアニストやギタリスト、マンドリンプレーヤーなど、色々なミュージシャンから影響を受けているよ。トミー・エマニュエル、パット・バーガソン、デイビット・グリア、ブライアン・サットン、スチュアート・ダンガン、オスカーピーカソン、沢山のブルーグラスのプレーヤーなどだね。
ーカントリー以外の音楽では、何に興味があり演奏していますか?
リチャード:ジプシージャズ、クラシック、ジャズ、ブルース、スウィング、ブルーグラスなどだね。ブルースはカントリーやジャズ、ブルーグラスの一部だ。すべての音楽のジャンルは2つのタイプしかない。"良いか悪いか”だ。僕は色々なジャンルの良いところを聞いてとても楽しんでいるよ。あとブラジル音楽も好きだし、日本で聴く美しいメロディも好きだ。日本ではどこでも素晴らしい音楽が聴けるし、全てから学べると思うよ。
ーナイロン弦のギターをサムピックで演奏するのが、現在のスタイルですか?
リチャード:普段のツアーではナイロン弦のギターを持っていくけど、スチール弦のギターも弾くしナッシュビルのスタジオでは、たまにエレキギターも弾く。僕はたくさんのギターを持っていて、テレキャスター、ストラトキャスター、カントリー・ジェントルマン、ギブソンのフラットトップギターなど、色々の種類のギターを弾くよ。普段はサムピックを使って弾いている。リズムギターを弾く時はピックを使うよ。
ーナイロン弦を好む理由は何ですか?
リチャード:それはどんな音を出したいかによるんだけど、今使っているリチャード・スミス・モデルは、クラシックやショパン、ジェリー・リードを弾くときに良くて、1つの楽器でツアーをする時に良いんだ。
もう何年もエレキギターは弾いてるのけど、弾くのをやめようかなって思っている。アコースティックギターを常用しようと思ってるんだ。
ー現在はどのような活動をしていますか?
リチャード:「One Man Roadshow」というCDを出したばかりで、いつもツアーの時は持ってくよ。日本の後はイギリスで1回、フランスで2回コンサートをする予定だ。
その後、2週間ナッシュビルに戻って、Chet Atkins Appreciate Societyに参加する。そして、カルフォルニア、コロラド、ニューメキシコ、テキサスと西部を廻って、アリゾナではコンサートはしないけど、カルフォルニアでトミー・エマニュエルのギターキャンプと、ロッキー・マウンテンのギターキャンプがあるから、2ヶ月滞在するんだ。
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リチャード・スミス https://richardsmithmusic.com
1971年 イギリス ベックナム生まれ。5歳から父親からギターを教わり弾き始める。
チェット・アトキンス、マール・トラヴィスのカントリー ピッキングを皮切りに様々な奏法を習得。幼い頃から才能を発揮していた。演奏技術のみならず、音楽の「フォトグラフィックメモリー(映像記憶)」のような才能も持っていると言われている。一度しか聞いていない曲をすぐに弾けることも多く、10本全ての指を使ってベース、リズム、メロディ音を1人で奏で、音楽を作っている。
フィンガースタイルの“ゴッドファーザー”であり、彼のヒーローである”チェット・アトキンス”と初めて会ったのは11歳の時。チェットに招かれ、ロンドンのハー・マジェスティーズ劇場で行われたコンサートにて、観客1000人の前で共演。始めは共に演奏していたチェットが、幼いリチャードの完璧な演奏に聴き入り演奏の手を止めてしまったほど。
20歳を超えた頃には、チェットとジェリー・リードはリチャードのことを“(若き)ヒーロー”と呼び始める。
幼い頃から現在に至るまで、彼に対する賞賛の声が止まないことは誰もが納得がいくだろう。
世界No.1の呼び名も高いトミー・エマニュエルもリチャードを好んでステージで共演をしている。
2001年国際フィンガースタイルギター コンテスト チャンピオン。
2008年サムピッカー オブ ザ イヤーに選出。
2009年ケンタッキー州サム ピッキング スタイル功労者として殿堂入り。
カリフォルニア フィンガースタイルギタリスト協会よりゴールデン サムピッカー受賞。
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