シンガーソングライター、アレンジャーとして活動しているエバラ健太さんがアコースティックギター・インストゥメンタルコンテストの登竜門である、フィンガー・ピッキング・デイ2015に初出場で見事最優秀賞を獲得されました。なぜ今フィンガー・ピッキングだったのか、コンテストへのチャレンジの心境や今後の活動などについてお話いただきました。(撮影：野田裕志) Acoustic Guitar World vol.62 電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード 1　 2　3　次のページ ーこれまでシンガーソングライター、アレンジャーというイメージが強かったエバラさんですが、なぜ今回フィンガー・ピッキング・デイに挑戦されたのでしょうか。 エバラ健太(以下、エバラ)：実は、僕が音楽そのものに興味を持った最初のきっかけは、フィンガー・ピッキングだったんです。歌を歌い始めるようになる高校生くらいまでの少年時代は、この世界にどっぷり夢中で、大先輩方のCDやライブを楽しんだり、 音楽雑誌を読み漁ったりしていました。当然、フィンガー・ピッキング・デイのことも自然と知るようになって、心のどこかで「いつか挑戦してみたい」という気持ちがずっとありました。でも、自分で納得できるレベルには、なかなか到達できなくて。 高校に入る頃には“ギターのメロディー”＝“歌”と考えるようになり、より音楽を追求するつもりで歌を歌うようになりました。ギターとの付き合い方も、フィンガー・ピッキングの曲をただひたすら練習する感じから、歌の伴奏としてのギターや、誰かと一緒に演奏するためのアンサンブルの勉強を自分なりにする感じへと自然と変わっていきました。 だから今回の挑戦は、ある意味、僕にとって原点に戻っての挑戦だったんです。元々自分が一番好きだったスタイルに、自分が吸収してきた全てを集約して挑戦してみたい。今なら挑戦できるかも？と初めて思えたんです。 それからもうひとつ。シンガーソングライターとして活動する中で、歌の伴奏としてのギターって、テクニックの程度が聴き手に伝わり辛いんだなあって感じてきたジレンマも今回の挑戦のモチベーションになりました。 歌をメインにステージを展開することによって、それっぽいギターを弾いてるように聴かせることができるシンガーソングライターは沢山いると思うんです。それはそれで身に付けるのが難しい技術だと思うので、学ぶ所が多いのですが、自分の根っこのフィンガー・ピッカーの部分が、「同じように見られたくない」ってずっと感じていました。ものすごく生意気な話なんですけど、そう感じる悔しさをバネにしてきたというか。 ー歌の伴奏ではあるけれども、ギターが好きだし難しいこともやっていると。 エバラ：そうなんですね。だからギター好きのマニアックなお客さんに、ライブで間奏のギターの見せ場や、テクニックをピンポイントに褒めて頂いたりすると、すっごい嬉しくなっちゃったりして(笑)。 ーフィンガー・ピッキング・デイには、今回初めて応募されたのでしょうか。 エバラ：はい。初めてです。去年の12月に声帯炎になって、1ヶ月くらいドクターストップで歌えなかった時期があったんです。無理やり歌ったらよりディストーションがかかった声になってしまって(笑)。歌えないからギターを弾いて曲作りをしたりしていたら、ちょうどコンテストの応募の締め切りが近いことに気がついて。「これは良いタイミングかも？」と思って応募してみました。 ー今回コンテストで演奏したオリジナル曲は、このために作られたのでしょうか。 エバラ：去年の半ばくらいにイントロのリフとメロディ、初めの2小節くらいまで作ってあった曲で、それをコンテストのために弾き込んで仕上げました。タイトルは「Island Hopping」。島から島へ軽快に旅して回るイメージで書いた、南の風を感じて欲しい１曲です。 ーカヴァー曲はマイケル・ジャクソンの「THRILLER」ですね。どうしてこの選曲だったのでしょうか。 エバラ：僕は1983年生まれなのですが、この年に世界的にヒットした曲はなんだろうと調べてみたらこの曲が出てきてました。「THRILLER」は ベース音がループしているところへ、和音やメロディが入ってくるんです。これをギターでアレンジしたら面白くなるんじゃないかなと思い、この曲を選びました。 ーテープ審査を無事通過して横浜赤レンガへの出場となりましたが、演奏順は何番だったのでしょうか。 エバラ：7番です。ラッキー7ですね(笑)。 ー前半の終盤ですね。他の出場者の演奏は聴きましたか。 エバラ：楽屋にテレビがあって雰囲気だけは感じられたのですが、準備などもあったので、自分の演奏が終わってからゆっくり聴きました。 1　 2　3　次のページ	エバラ健太 http://ebarakenta.com 1983年東京生まれ。 2010年アンジェラ・アキのオープニングアクトをつとめ、本格的な音楽活動を始める。 同年ミニアルバム「GIFT」リリース。 2011年シングル「納豆ワルツ」、アルバム「BOND」、ミニアルバム「RIVER」リリース。 同年「月刊ソングス」9月号よりシンガーソングライターエバラ健太の「Songs!!旅する日本ウロウロ」連載開始。 2012年アンジェラ・アキ7ndアルバム『BLUE』、2013年7月発売シングル「夢の終わり 愛の始まり」にて収録曲のアレンジとギターを担当。 同年ミニアルバム「Feeling」「WORLD」リリース。 2013年「きみの元気は僕の元気さ ファイト！」でお馴染みニプロのCMソング「みんな元気！」にてボーカル・ギターを担当。 2013年初の教則本「オリジナルソングを弾き語り!!シンガーソングライター入門」をドレミ楽譜出版社より発売。 REVIVE JAPAN CUP 2013にて「侍BLUE」がグランプリ受賞。 2015年フィンガー・ピッキング・デイ最優秀賞、オリジナルアレンジ賞を獲得。 ニューアルバム「7」 発売時期：2015年5月28日（木） 収録曲数：7曲＋ボーナストラック1曲（計8曲） 販売価格：¥1,800（税抜価格¥1,667） 01.「Island Hopping 」Martin D-18GE 「Morris FingerPicking Contest 2015」最優秀賞受賞曲。 02.「Elephant Walk」Sugita Kenji アルバム『７』の為に書き下ろされた新曲。 03.「螢」Sumi エバラ健太の第２の故郷徳島は小松島市で夏の夜に生まれた楽曲。変則チューニング。 04.「Honeymoon Rag」Gibson LG-2 ６弦のハープウクレレを購入した際に自然と生まれた１曲。アルバム『７』の為に、新たなアレンジが施された。 05.「Tell Her I Love Her」Maton EA80 「TC-Helicon VoiceLive3」使用ループ曲。 06.「In the Wind」Yamaha FG-200 アルバム『７』の為に書き下ろされた新曲。 07.「THRILLER」Morris FH-101 「Morris FingerPicking Contest 2015」最優秀賞・オリジナルアレンジ賞受賞、マイケル・ジャクソンカバー曲。 Written by Rod Temperton ©1982 by Rodsongs All Rights Reserved. ＋ Bounus Track「Cozy Wood」Rafael Roman メガネのタナカ天然木のメガネwood BY TANAKA CMソング。 特設サイト
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