クラシック、ジャズなど様々なジャンルに精通し、オリジナルだけでなくベンチャーズなどのソロギターアレンジも定評が高いギタリスト古川忠義。現在は僧籍を持ち、独特な活動内容などお話しいただきました。
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ーギターを始めたきっかけを教えていただけますか。
古川忠義(以下、古川):父がギター教室をしていたので、門前の小僧習わぬ経を読む、といったところで、ギターがおもちゃのようでした。最初はウクレレで遊び、ギターを始めたのは7才くらいの頃です。父の生徒に習い、15才で弟の昌義とリサイタルのようなことをしました。それと、父の気遣いからギターばかりでは音楽のことがわからなくなるからということで、ピアノも習いましたね。ギターがうまいだけの職人にしたくなかったのでしょう。
高校は音楽部のある学校に入学してコントラバスを専攻し、その後京都市立芸術大学にコントラバスで入学しました。しかし、大学は途中でやめてギターだけで生きていこうと考えました。今考えるともったいなかったですけどね。
今から35年くらい前ですが、ギターソロの音楽のブームは全くありません。中川イサトさんしかいなかったのではないでしょうか。そこで、大阪でジャズのビッグバンドにギターで参加して、テレビやラジオで演奏していました。スタジオで仕事もして、この世界で生きていく基礎をこの時期に作っていただきました。
ー15才でリサイタルということですが、どのような音楽だったのでしょうか。
古川:アルベニスやグラナドス、ソルなど王道のクラシックですね。もともとクラシックが好きで、その後ベンチャーズやビートルズに影響を受けました。カントリー系のジェームズ・バートンにも憧れましたね。一時はナッシュビルに年2回くらい通う生活で、仕事とは別にこういった方向性の演奏もしていました。カントリーだけでなくフォルクローレも好きで、30年くらい前ですが、パラグアイからロス・インディオスというグループがよく日本に来ていたんです。日本のツアーの拠点が大阪で、コンサートツアーの合間にラテンのお店に飲みに来ていました。リードギターのセルソ・リベロスと仲良くなって、フォルクローレの右手のバッキングスタイルをたくさん教えてもらいました。こういうのが良い意味で後々仕事に影響してきます。
ー本来のご自身のスタイルはソロなのでしょうか。
古川:そうですね。ただ仕事ではアンサンブルが多いです。しかし、バンドで勉強させてもらったり、クラシックのオーケストラではコントラバスを弾かせてもらったので、アンサンブルに抵抗感はありません。
ー音楽的にはいろいろなジャンルを取り入れているようですね。
古川:いろいろなことをやりますが、自分のスタイルを作る上で釘を刺されたことがあります。ナッシュビルに行った時、アメリカのレコーディングスタジオのプロデューサーに言われたのが、チェット・アトキンスやジェリー・リードの真似をする人は、アメリカには山ほどいる。そういうことをやったらお前もその内の一人としか見られない。トリビュートのアルバムで尊敬するのは良いが、いつまでも追いかけても仕方ない。チェットもジェリーも、本物を聴いたらそれで終わりだ。お前はどうするんだ、と言われました。この時に自分のスタイルというものは、影響は受けていても、チェットらを引きずって歩くのはやめようと思いました。モノマネする時だけ弾けばよいと。クラシックベースで、カントリーやラテンのエッセンスがありますが、自分のスタイルはこれからどうしていこう、というのが今のスタイルです。
ー自分のベースとなる音楽、ミュージシャンがいても、オリジナルを出さなければいけないということですね。
古川:そうですね。日本でも芸は一代という言葉があり、いくら頑張っても師匠の真似はできないが、その人にしかできない芸は必ずあると言うんです。その芸を光らせていく方がよいということですね。
ー演奏スタイルをお聞きしたいのですが、ギターはナイロン弦が中心でしょうか。
古川:ナイロン弦です。スティール弦はレコーディングの時くらいですね。私の考えですが、ナイロン弦の方が響かせ方が難しいと思います。ナイロン弦は表現力、色合いの変化の奥行きを感じます。上手な人がナイロン弦で弾くといいなと思いますね。自分もそこに行きたいと思っています。
ー使用しているギターを教えてもらえますか。
古川:レコーディングで使っているのが、パウリーノ・ベルナベ1世の2002年作のRoyalというモデルです。低音のふくよかな響きで選びました。音に芯もあります。やわらかい感じの音の楽器は多いのですが、しっかりと芯が通って低音が出る方が使いやすいんです。ずっと甘い音が出てるより、整然と凜としていて、ここという時に甘い音を出す方が、さわやかな甘みになります。
ライブではアストリアスのエレガット、辻渡さんのモデルを使っています。
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古川忠義 http://www.teddys-guitar.com/
1960年大阪生まれ。
1975年15才で弟昌義氏と
デビューリサイタルを開催。
1989年デビューシンブル「我が家のかぐや姫」をリリース。
1990年ザ・ベンチャーズのノーキーエドワーズ ジャパンツアーにゲスト出演 。
2005年アルバム「ソロデベンチャーズ」をリリース 。
2009年25年ぶりの古川昌義とのデュエットアルバム「シエスタ」をリリース。
2010年5月得度を受け、浄土真宗本願寺派僧侶となる。法名「釈 蓮楽」(しゃくれんぎょう )
プロフィールの詳細はこちら→http://www.teddys-guitar.com/teacher/furukawa.php
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古川忠義&昌義
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発売日:2009年
販売価格:1,080円 (税込)
1.Time to Go! 古川 忠義
2.PRIDE (今井 美樹)
3.Sepia 古川 忠義
4.Al Aire 古川 昌義
5.Pavement Artist 古川 昌義
6.Toward the Sky 古川 昌義
7.駅 (竹内 まりあ)
8.Siesta 古川 忠義
9.さよなら (オフコース)
10朝の向こうに 古川 忠義
11.熊蜂は飛ぶ<ボーナス>
12.幻想即興曲<ボーナス>
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