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ギタリストインタビュー〜古川忠義
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ー現在はどのような活動が中心でしょうか。

古川:ソロのライブをしていますが、お寺での演奏が多いです。僧籍を取得した縁もあり、小生意気な話をさせていただいて、ギターの演奏もするというものです。他にはバイオリンとのアンサンブルやバンドなど歌のバックというのもあります。

ー僧籍を取られたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

古川:話せば5時間くらいかかりますが(笑)、要は自分のお酒の上での失敗などで、こんな生活をしてたら駄目だと思うことがあり、勉強をしました。

ー勉強をすることはあっても僧籍を取るまでに至るのは珍しいと思います。

古川:人に恵まれましたね。京都に中央仏教学院という、社会人になってからも勉強できる講座があるんです。ここに通うようになって、お寺の奥様や、どうしてもお寺を継がなければいけなくなった二代目や、仕方なくここに来なければいけなくなった人もいるんです。そういう人たちと仲良くなり、彼らに得度という僧籍を取る時に一緒に行こうと言われました。それで勉強して僧籍を取り、教師というご住職になる資格があるのですが、こちらも勉強しました。お坊さんになるための、一番最初の基礎の勉強です。

ーどのくらいの期間勉強されたのでしょうか。

古川:得度を受けるまで4年くらいです。

古川忠義ー僧籍を持っている方が音楽をする、ということは聞いたことがありますが、もともとミュージシャンが僧籍を取るというのは初めて聞きました。

古川:それはよく言われます(笑)。お坊さんが趣味で音楽をされてる方はいるようですけどね。

ー僧侶としての仕事というのはされるのでしょうか。

古川:私の仕事としては、お話だけだと退屈される方もいるので、年に一回くらい変わったのを呼ぶのもいいかな、という感じでお寺に呼ばれます(笑)。
普段はこんなやわらかい仕事をしているが、たまにご縁に触れていろいろな話をする人間もいるというのが、来られた方の励みにもなるかもしれません。
自分のライブでは、金子みすずさんという童謡詩人の詩のお話をしてから、曲を聴いてもらったりします。難しい曲でなくても、知らない曲を初めて聴く時はイメージがわかないじゃないですか。その前にお話があると、それぞれの中でいろいろな世界を作っていただけます。そういう意味で金子みすずさんや林芙美子さんの詩を使わせていただいたりします。ただ演奏を聴いてもらうだけではなく、そこから何かを感じていただければいいかと思います。

自分の理想として、本当にやりたいのはチャップリンの映画を観た後の気分になっていただくことです。きれいなものを見たとか、笑ったけど泣いたとか、あのような世界観を作れればいいと思うのですが、全然追いつきません。
今でもチャップリンの映画は見ますし、古今亭志ん朝の落語を聞いたり、藤山寛美の松竹の新喜劇を見たりします。これらのように、笑える瞬間があったり、思わず泣いてしまうシーンがあったりするドラマというか、そういったものを自分のステージで作れればいいなと思っています。でも、それはやればやるほどできないんです。自分の中ではギターの音楽をマニアックなものにしたくないというのが大前提にあります。クラシックでは大きなホールでノーマイクで、本当に良い楽器でないと聴こえないコンサートをやるのですが、マニアでない人はそれを聴いても面白くない。咳もできないし話もできない。こういった一般の人の意見というのは大事だと思うんです。ギターのライブなどでは、こんなことができるんだ、凄いだろうという自分よがりなことをしても仕方ありません。そういうのではなく、お客様に喜んでいただけるステージを考えたいです。
それがおしゃべりでいいでしょうし、別の表現方法でその人の持ち味が出ればよいでしょうし、枠に捉われないで良い方法でやればいいと思います。

ー今はどのような音楽作りをされていますか。

古川:僕はあまりギターの音楽を聴きません。現場で出会ったピアニストのプレイ聴いて、そのイントロはどのようなイメージで作るのかなどを聞いたりします。聴く音楽はピアノの方が多いかもしれません。自分自身に無いものを求めてるところがあり、ギター音楽だと近すぎるんです。

ー今後の活動予定はいかがでしょうか。

古川:1月に大阪でソロライブがあり、アンサンブルも数本あります。アルバムの予定は特に無いですね。
現代ギター社から日本の歌謡曲などのソロギター集が出ているのですが、その第二弾が出る予定です。昭和の女性アイドル編ですね。クラシックのギタリストは譜面を見て演奏しますが、コードで弾けないんです。バッキングを格好良くやりたいがそれを譜面にしてくれ、というような内容です。結構難しいことを書きましたよ(笑)。
クラシックは昔のようにカチカチな人たちではなく、歌の伴奏を弾きたいが譜面が無いと弾けない、という人たちのためのものですね。

ー最後にギターファンにメッセージをお願いします。

古川:ぜひナイロン弦のギターを使って、いろいろチャレンジをしてみてほしいです。ナイロン弦は難しいとか思わず、すごく奥深いのでトライしていただきたいと思います。

【2016年11月20日ドルフィンギターズ恵比寿店にて】
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古川忠義 http://www.teddys-guitar.com/

1960年大阪生まれ。
1975年15才で弟昌義氏と デビューリサイタルを開催。
1989年デビューシンブル「我が家のかぐや姫」をリリース。
1990年ザ・ベンチャーズのノーキーエドワーズ ジャパンツアーにゲスト出演 。
2005年アルバム「ソロデベンチャーズ」をリリース 。
2009年25年ぶりの古川昌義とのデュエットアルバム「シエスタ」をリリース。
2010年5月得度を受け、浄土真宗本願寺派僧侶となる。法名「釈 蓮楽」(しゃくれんぎょう )

プロフィールの詳細はこちら→http://www.teddys-guitar.com/teacher/furukawa.php
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1.Time to Go! 古川 忠義
2.PRIDE (今井 美樹)
3.Sepia 古川 忠義
4.Al Aire 古川 昌義
5.Pavement Artist 古川 昌義
6.Toward the Sky 古川 昌義
7.駅 (竹内 まりあ)
8.Siesta 古川 忠義
9.さよなら (オフコース)
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