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ギタリストインタビュー〜Aki Miyoshi
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Aki Miyoshi
ー次回は決まっているのでしょうか。


Aki:わかりませんが、アンケートがきまして、次回もエントリーしますか、という項目はありましたね。
今回はジャズやクラシックなどいろいろなスタイルのギタリストがいましたが、フラメンコの人はいなかったので、ここで圧倒的な演奏をすれば賞が獲れそうな気もしますし、押尾コータローさんのようなスラム奏法もいなかったので、こういった演奏でも賞が獲れるのではないかとも感じました。

ー出場者にはそれほど奇抜なスタイルの人はいなかったですか。

Aki:僕の前に演奏したレスラーみたいな人(笑)は派手でしたね。ロックな人で、アメリカではメタルのバンドで活動しているそうです。日本のメロディアスなスタイルで弾く人が少なかったですね。きれいな音という点では、田中彬博さんが群を抜いていました。
韓国から来ていた14才の男の子の演奏を見たら、アジアはこういうスタイルが確立しているということを感じました。メロディラインがすごく良くてベースがわかりやすい。逆に言うと先が読みやすい音楽なので、審査員にとって音楽としての衝撃がなくて安心感だけとなり、その安心感が25分続いてしまいます。変拍子を使ったり、変わった現代のコードを使う人は評価される傾向でした。
Sonkeの演奏は聴いていて目が離せません。僕もギターを弾いているのに、それどうやって弾いてるの、と思うくらいです。音がきれいかというと、そうでもない場合はあります。それでも25分の中で一音だけものすごくきれいな音を出したりしました。この一音のためにノイジーに弾いていたりして、25分のレイアウトがすごく上手でした。白の中に黒が一つあれば目立つように、きれいな音ばかりの中でノイズがあるとそれがすごく目立ってしまいます。音の使い方がすごく上手で、こっちの世界に行きたいと思いましたね。
このコンテストの評価では説得力のある何かが必要なのでしょうが、それが何か僕にはまだわかっていません。

ーポーランドではコンテスト以外に何かありましたか。

Aki:バスキングをしようと思って機材を持っていったのですが、現地は例年にないほど寒くてできませんでした。2週間滞在しましたが、ホテルを出たのは2回だけです(笑)。ずっと事務作業をしてましたね。物価がすごく安いのでCDも売りにくいです。200円でモーニングのセットがたらふく食べられます。長期滞在でも費用はかからないのですが、仕事はしにくいです。CDは500円くらいなので、それに合わせると売れるだけ赤字になってしまいます(笑)。
コンテストに出場した人たちとはいろいろな縁ができたので、呼ばれたら演奏しに行きたいし、こちらにも呼んでみたいと思います。こういった縁というのはコンクールならではですね。クラシックのコンテストで知り合った人たちとは今でも交流があります。

ーこれからの活動の予定はどうでしょうか。

Aki:どうなるんでしょうね(笑)。僕のようなスタンスで活動している方は多いと思いますが、活動しなければ忘れられるし、活動すればいいという訳でもありません。僕が5才からギターを続けられたのは、あまり頑張り過ぎなかったからかもしれません。息するのに頑張る人はいないじゃないですか。無理をしすぎないように活動していると、いろいろ人と出会えて、いろいろな場所で演奏できたりします。出会える訳がないような人と出会うこともあります。
僕がギターを弾くきっかけになった幼稚園の先生が僕を見つけてくれたこともあります。2年前、35年ぶりに出会いましたね。先ほどお話したように、同級生に出会ったりもしています。ストリートライブをしていたら作家さんに出会えたり、映画を作っているのでBGMに使わせてほしいとおっしゃっていただくこともありました。NHKの大阪の方が、京橋の風景の旅番組を作っていて、演奏しているシーンを撮ってくださったりしました。
自分のスタンスとしては、映画音楽を作りたいとか、こういう仕事をしたいからそのために曲を作るというのではなく、自分が毎日同じように生きていくというような音楽のやり方をしていれば、間違うことはないと思っています。こういう仕事は利害関係がはっきりしないと先に進まないこともあると思いますが、僕の場合は後の話で、やりたいと思えばやればいいと思っています。
今回のコンテストで知り合った人たちのおかげで行ける国も増えたし、日本に呼んでツアーをすることも楽しみです。自分が止まらない限りこういった活動というのは目標の一部ではないかと思います。優勝したいとかではないんですね。
やりたいと思っていたジャズや変拍子の音楽をアルバムに収録したり、後回しにしてきたことを少しずつできればいいと思います。そうすることで新しいご縁もできます。止まらないことが大事ですね。目標がないことが目標なんでしょう。

ー本日ライブを聴かせていただき、前と何かが変わったと感じました。すごく説得力が増したと思ったんです。演奏技術が向上したというのとは、少し違いそうなんですが。

Aki:演奏技術でいえば、すごく低くなってると思います。もっと丁寧に弾けたのにと思う反面、そういったことにこだわらずに、もっと出したいことが出てきなのかもしれません。きれいに弾くことばかりがきれいではないと思うようになってきています。できないことがわかってきたというのはありますね。置き去りにしてもいいことと、置き去りにしてはいけないものとが逆転してきたのかもしれません。ミスしたらダメ、ノイズが出たらダメというように思ってましたが、そのために置いてきぼりにしてきた表現を大事にしています。でも、こういうのは言われるまでは自分ではわからないですね。

ー最後にギターファンにメッセージをお願いします。

Aki:僕のライブを聴いていただけるお客さんはギターを弾かない人も多いです。そういう方も喜んでいただきたいですね。無理せずに聴きたい時に聴いて、ギターを弾く方も弾きたい時に弾くのがよいと思います。楽しめる余白を残しながら、切羽詰まらないようにすることがよいと思います。難しい曲を練習しすぎると、苦しくなって本末転倒になってしまうので、音楽を楽しんでもらいたいですね。

【2017年3月19日東京都内にて】
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Aki Miyoshi http://aki-miyoshi.jimdo.com/

1976年生まれ
5才よりクラシックギターをはじめる。
学生時代多くのクラシックギターのコンクールで賞を獲得。
サラリーマンを経てギタリストへ転身。
2009年1stアルバム「 The Rock Garden」リリース。
2011年フィンガーピッキングデイ2011最優秀賞、アコースティックギターブック賞獲得。
2012年Walnut Valley Festival出場。
同年2ndアルバム「Heart on Guard」リリース。
2014年3rdアルバム「Easy To Use」リリース。
2016年ポーランドで行われて国際ギターコンクールGuitar Masters で6位獲得。
同年4thアルバム「Recipe for yellow」リリース。

プロフィールの詳細はこちら→http://aki-miyoshi.jimdo.com/about-me/
Recipe for yellow

発売時期:2016年11月28日
販売価格:2,500円(税込)


1.overture ~ for yellow ~
2.ゆずちゃ記念日
3.俺のスピンタン号
4.サンキュ
5.Garota de ipanema ~ Samba de uma nota so
6.Days of wine and roses
7.あかねさす たなごころ
8.Moonlight serenade
9.螺旋の光
10.Verano porteno


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