Acoustic Guitar World
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ブルース、カントリーといったルーツミュージックを見事に体現するギタリスト、シンガーでもあるザビエル大村さんに、自身のルーツや音楽性など、様々なことをお話いただきました。

Acoustic Guitar World vol.89電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード
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ザビエル大村ーギターを始めたきっかけを教えてもらえますか。

ザビエル大村(以下、ザビエル):小学校2~3年生の頃、1967~8年頃かな…?、グループサウンズが流行っていて二つ年上の兄と一緒にほうきを持ってギターを弾くふりをして遊んでました。そうしたら母が知り合いからボロボロのギターをもらってきてくれたんです。弦高が1cmくらいあってマジックで落書きだらけの、ガット弦のギターでした。最初に親戚のおじさんにチューニングの仕方とドレミを教えてもらいました。そこからは独学です。初めて弾いたのはピンキーとキラーズの「恋の季節」で、イントロなどを単音で弾いてましたね。
それから数年経った小学校5~6年生の頃、兄が中学でギターにはコードというものがあるという情報を仕入れてきました。それまで単音で弾いていたのでギターに合わせて歌えなかったのですが、コードをジャカジャカ弾きながらだったら歌えることがわかり、目からウロコでした。「平凡」や「明星」などの付録の歌本でコードを覚えていきました。その頃はいわゆるフォークブームの少し前で、千賀かほるの「真夜中のギター」やジローズの「戦争を知らない子供たち」などがテレビで流れ、それらを歌本を見ながら弾いてました。
そんな中、兄が「中津川フォークジャンボリー」のレコードを借りてきて、吉田拓郎や高田渡、加川良、武蔵野タンポポ団などを知り、フォークソングとギターの世界にはまっていきました。
僕は名古屋生まれですが、中学入学時に北海道の北見に転校しました。名古屋の街中で育ったのですが、北見では当時まだ国道で馬車が走ってたり(笑)、牧場を通って学校に行ったり…、めっちゃ異次元の田舎でした(笑)。レコード屋も町に2軒ほどで、情報が少なかったです。それでも時々泉谷しげる、古井戸、アコースティック時代のRCサクセションなどエレックレコード系の人が北見にコンサートをしにきていました。それをいつも見に行っては、どんな風にギターを弾いているのか凝視して、見終わって家に帰ったらきっちりその通りに弾くという荒業をしていました。今思えば可愛げのない、嫌なガキですよね(笑)。あの頃は若くて吸収力があったんでしょうなぁ~、見たり聞いたりしたらすぐ弾けました(子供なりに)。今はもう全く無理です、そんな集中力と根気はありません…(笑)。当時ギターと言えばフォークソングの弾き語りが中心の時代で、今のようなインストはなかったです。

ー現在はブルースやラグタイムなどのルーツミュージックを演奏されています。これらとの出会いはいつ頃でしょうか。

ザビエル:北見にいる高校一年生の時に友部正人さんやシバ(三橋誠)さんのライブを見て、シバさんがライトニン・ホプキンスみたいなブルースを日本語で歌っていたのに衝撃を受けました。「自分はこれをするんだ!」と思いましたね。それで売れ筋のレコードは全部友達に売ってしまい、ブルースにのめり込みました。高一の時にステファン・グロスマンの「How to Play Blues Guitar」「How to Play Ragtime Guitar」を買ってひたすらコピーして、ほとんどクリアしました。

ー学生の時はライブなどをされていましたか。

ザビエル:初めて人前で演奏したのは高校一年生の時です。北見に一軒だけ「罵鞍巣」というライブハウスがあって、そこが僕たちの溜まり場でした。マスターが当時北見では希少だったブルースのレコードをかけてくれたり、いろいろなことを教えてくれたんです。ここで友達と2~3曲歌いました。「Me and Bobby McGee」を歌ったのを覚えています。
高校二年生になる時に静岡に引っ越しました。北見では髪を胸くらいまでのばしたバンカラな風潮でしたが、静岡は全く雰囲気が違い、みんなツッパリ系のリーゼントだったりして…まったく文化が違うんです。その中に入って行けず、一人で家にこもってただひたすらコツコツとギターを弾いてました。静岡の楽器店で、毎月出たい人が出れるライブイベントがあり、そこには定期的に出ていました。ここのお店の人とは仲良くなって、実現はしなかったのですが「憂歌団」の前座に出るという話もありました。憂歌団が来れなくなり、代わりに同じレコード会社のオレンジ・カウンティ・ブラザーズが来た時に前座をやらせてもらいました。
高校卒業後は京都産業大学に入学しました。静岡は東京の文化圏なので同級生のほとんどは東京の大学に行くのですが、僕は関西のブルース、フォークが好きだったので、京都を選んだんです。
京都に行く前、大塚まさじさんと写真家の糸川燿史さんの写真集「唄が旅から帰った時」を読みました。大塚まさじさんが日本中を旅をして歌っているのを糸川さんが写真を撮って本にしたものです。ここに全国のライブハウスの情報が出ていて、京都に「むい」というライブハウスがあることを知りました。高田渡さんの義兄の松村さんという方のお店です。レコードが何千枚もあって古いブルースや洋物のシンガーソングライター系のものなど、いわゆる泥臭いレコードがいくらでもあったんです。ここでアルバイトをするようになり、自分もちょくちょくライブをさせてもらいました。メジャーな音楽からどんどん離れていきましたね(笑)。友達のいない暗い青春時代でした(笑)。

ー今のスタイルというのがこの頃にかなり確立されているようですね。

ザビエル:高校1年生に作った曲を今だにライブで歌ってます。ギターの弾き方も、あの頃とほとんど一緒です(笑)。現在の自分のギターのスタイルはあの頃にほぼ確立されていて、高校生の頃からやりたい事は変わっていませんね。良く言えば「初志貫徹」。平たく言えば「進歩なし!」です(笑)。
この頃に中川イサトさんの「お茶の時間」や「1310」のレコードを聴いて、初めてギターに”インスト”があることも知りましたね。


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ザビエル 大村 プロフィール http://www.eonet.ne.jp/~xavier-ohmura/

1960年愛知県名古屋市生まれ。
中学、高校の頃からブルース、ラグタイム等アメリカ・ルーツミュージックにのめり込む。
2000年にファンキー末吉に見出されキングレコードよりデビュー。
ソロでのライブ活動の他、「中川イサト・ギターセミナー」の准教授としてセミナーをサポート、自身でもギター教室を開く。
2013年ソロアルバム「Good Time Tonight」リリース。
2015年中川イサト氏とのデュオアルバム「Back to Roots Music」をリリース。
2015年中川イサト・豊田渉平と共に「ギャロッピング普及委員会」を旗揚げし会長に就任。
Back to Roots Music
Back to Roots Music
発売日:2015年10月7日
販売価格:3,000円(税込)

1.My Creole Belle
2.Orange '15
3.僕のいるところ
4.Octopus Dreaming
5.吉祥寺1972
6.今夜はいい気分
7.Deep River Blues
8.南風(ぱいかじ)
9.俺が旅から帰った時は
10.I'll See You In My Dreams
11.That Lucky Old Sun
12.Sleep Walk

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Good Time Tonight
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発売日:2015年10月7日
販売価格:3,000円(税込)

1.今夜はいい気分
2.Truckin' My Blues Away
3.真夜中のブルース
4.Riverside Walking
5.Zabby's E-Blues
6.ウヰスキー・リバー
7.Waltz For Joseph
8.ビール色の夕焼け
9.ウォーキング・ブルース
10.スローダウン
11.輝く明日へ
12.チャリンコ・ラグ

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