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ギタリストインタビュー〜矢後憲太
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7.月の微笑

夜をテーマにした曲です。静かで穏やかな月のきれいな夜に、ゆったりとした時の流れを感じて過ごすイメージです。僕は夜が好きで、何かする時は大体夜です。集中力も上がりますね。ゆったりと夜を過ごすととても充実した、価値のある時間を過ごしている気持ちになります。もの思いにふけったり本を読んだりと、ゆったりとした感覚を曲にしてみました。
今回はこの曲のミュージックビデオを制作しています。もっと勢いのある曲も選択肢としてはあったのですが、「It seems like」というやわらかい質感がアルバムのテーマですから、この曲に焦点を当てています。

8.シナプス

シナプスとは神経の細胞の一つです。脳と組織が繋がれ、その間を電気みたいに信号がビリビリっと素早く流れていく感覚です。

9.忘れな草

忘れな草という植物があるのですが、”私を忘れないで”という花言葉です。その由来を辿ると言い伝えのようなものがあり、好き合っている男女が川辺にいて、男性が忘れな草を摘んでプレゼントしようとしたら川に流されてしまい、僕を忘れないでくれ、というような言葉を残した、という話です。この話自体に感銘を受けたのではなく、これを元にした詩などの作品がいろいろあり、その中の詩の一つに感じるものがあって作った曲です。「忘れな草」というタイトルがついた作品はたくさんあるので、読んでみても面白いと思います。

10.ヒロガルセカイ

特徴的なリズムな曲で、地面を両足で踏みしめて一歩一歩前に進み、見える景色が広がっていく、希望に満ちたテーマを持った曲です。

11.こころ

“ありがとう”というシンプルな感謝の気持ちがテーマです。自分が人間として、或いはギタリストとして活動したり普通に生活する中で、今の自分は決して自分の力だけではなく、支えてくれたり応援してくれる人たちがたくさんいて成立していることを強く感じ、それを”ありがとう”の気持ちを曲として伝えたいと思って書いた曲です。



ーレコーディングについてお聞きしたいのですが、全曲まとめてレコーディングしたのでしょうか。

矢後:ゆったりとしたスケジュールでレコーディングしました。2週間弱くらいですね。ギターを4本使っているのですが、違うギターは別の日にあらためてセッティングしなおしてレコーディングしました。

ーギター4本を曲のイメージに合わせたのでしょうか。

矢後:そうですね。自分の表現したい、曲のイメージ、質感に合ったギターを手持ちを含めて可能な限り選びました。
M-Factoryのギターで多くレコーディングしています。このギターで作った曲が多いというのもありますし、ダイナミックなレンジ感がある曲だったり、幅を持たせた表現をしたい曲は僕の中で一番真ん中にくるのはこのギターだということがよくわかりました。
(「プロローグ」「Evergreen」「Somewhere」「Inspiration」「月の微笑」「ヒロガルセカイ」「こころ」使用)

ランディ・ルーカスはマホガニー特有のからっとした部分と中音の艶っぽい感じがあります。驚いたのがマーティン系の素朴な音というより、結構ゴリゴリな音でびっくりしました。
(「雨の日のワルツ」「シナプス」使用)

杉田健司さんのヌガーは、カレラと特徴が違います。カレラはシャープで芯が強く、絶妙な倍音でとてもバランスがよい楽器です。ヌガーはどちらかというとふくよかな倍音で、シャープ過ぎずもわっとした感じが好きなんです。「忘れな草」で使っていますが、その独特なやわらかさと広がり方が曲に合うと思いました。
杉田さんのギターはマイクのりがよく、倍音が多過ぎて邪魔することもなく、なさ過ぎてさびしいこともなく、音が均一に伸びて扱いやすいです。

ギブソンJ-45は父から譲り受けて学生時代に使っていたギターです。M-Factoryは満ち足りた音だと思います。上から下までしっかりとしたトーンを持ち、倍音も気持ち良くバランスも良く、ドレッドノートのギターとして完成されています。逆にこういう音ではないものが欲しくなることがあり、今回は「奏」で使っています。どちからと言えばチープな質感で無骨な感じで、きれいな感じではないんです。そういう音が欲しいと思う曲があったので使いました。最初は使う予定ではなかったのですが、レコーディングの時に合うんじゃないかと思い、使ってみました。

そういえば余談ですが、レコーディング期間中に1959年製のギブソンのLG-1を衝動買いしました。なんだか世の中の皆さんは僕がオールドギブソンに手を出すイメージがなかったようで、いろんな方に意外だと言われました(笑)。
でも実際にはそんなことはなくて、こういうギターは昔からずっと欲しいと思っていたんです。
こういうギターにしか出せない音、ニュアンス、説得力、いろんな魅力が詰まっていると感じます。何よりオーラがある楽器です。それに引っ張られるように、抱えているだけでいろんなイメージやフレーズがどんどん湧いてきます。
最近ではライブでも使用しています。

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矢後憲太 https://acoustic-kenta-y.jimdo.com

1990年栃木県生まれ。フィンガースタイルギタリスト。
多彩な奏法を駆使し、様々な情景、感情、物語などをギター1本でありありと表現する。色彩感溢れるその豊かな音色は、聴く者を色とりどりの世界へと誘う。
2012年、モリダイラ楽器主催全国規模フィンガーピッキングコンテストにて優秀賞を受賞。
ライブカフェ宮内家でほぼ毎週木曜日ライブを行い、多くのギタリストとも共演する。
2013年、同コンテストにて優秀賞、オリジナルアレンジ賞、葉山ムーンスタジオ賞 (オーディエンス賞)の三冠を受賞。
2014年、自身初となるフルアルバム『85.』を葉山ムーンスタジオレーベルよりリリース。
2017年11月1日2ndアルバム「It seems like」リリース。
アコギソロでライブ活動を展開。ライブやイベントの出演に加え、ラジオ番組への出演やパーソナリティとしての活動、楽曲提供、バレエコンサートとのジョイント、アート作品展とのコラボレーションなど、他分野に渡って精力的に活動を展開。
It seems like
It seems like
発売日:2017年11月1日
販売価格:2,500円(税込)
YGR-1 85 records

1.プロローグ
2.Evergreen
3.Somewhere
4.奏
5.Inspiration
6.雨の日のワルツ
7.月の微笑
8.シナプス
9.忘れな草
10.ヒロガルセカイ
11.こころ

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