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ギタリストインタビュー〜矢後憲太
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ーアルバムのどういう所を聴いてもらいたいですか。

矢後:音を作っていくうちに段々と見えてきた所がありました。最初は漠然として作ろうか、という感じだったのですが、録ってみたら臨場感がすごかったんです。そこにいるんじゃないかという音ですね。それはきれいな音という意味ではなく、そこで弾いているような息遣いが聞こえたり、ギターを揺らしたかさかさとした音が聞こえそうだったり、ノイズも含めて臨場感があったんです。録ってみたら全部そういう感じだったんですね。元々バリエーションとして、ピュアなアコースティックサウンドとか、逆にポップなものとか、いろいろなものを入れていきたいと思い、音のコンセプトなどは若干迷いがあったのですが、やっていくうちに臨場感があるテイクが録れていったので、臨場感のある質感でまとめています。目の前で弾いているような感覚になるトラックもあると思うので、そういう生々しいものを感じてほしいです。
矢後憲太
ー確かにギターの音を強く感じることができます。

矢後:最後の整える段階で、リバーブ感など悩みましたね。よく考えてその曲で表現したいもの、見えてくるもの、全体的な質感を大事にして調整しました。
あえてノイズを少しのせていたりします。すごく遠いマイクを1本立てていて、そのホワイトノイズを敢えて少しのせています。音のないバックのコントラストであり、絵でいうと画用紙になりますね。何もない空間にそういう音を足すことで映えるところがあります。
「こころ」は気持ちをストレートに伝えたいという気持ちがあって、録ったテイクが臨場感と独特のリアリティを持って録れたので、思い切ってリバーブは入れてないです。珍しいと思います。楽しみながらやりたいことをやれていると思います。

ーアルバムジャケットに記号のような絵がありますね。これは何でしょう。

矢後:これはデザインをしてくれたまるやまたつやくんがそれぞれの曲を連想できるようなものをアートとしていています。
ジャケットも含めた全ての質感が「It seems like」です。聴くだけでなく、ジャケットを目で見て、マットな手触りを感じたり、モノとして持っていていいなと思えるものになったと思います。ジャケットの文字は読めないと思いますが(笑)、そこがまたいいんです。中に書いてある言葉やアートとして入っているデザイン、写真の質感もよいと思うので、楽しみながら感じてくれたら嬉しいですね。
今回はジャケットも含めて全てセルフプロデュースでやりたかったんです。それが形になり、すごく充実しています。

ーこれからの活動予定はどうでしょうか。

矢後:アルバムを作ってあらためて感じたのですが、たくさんの人に届けたいという気持ちがどんどん強くなりました。それにはいろいろなやり方があって、CDを作って世の中に発信するというのもやり方の一つです。今回作品を作る面白さを知りました。今回の曲はいろいろなアプローチで作られていて、実は「曲を作るぞ」と思って作った曲は一つも無いんです。自然に生まれたものだったり、何となく気分が傾いていたからこんな曲ができたとか、こんな時間に作っていたからこんな感じになったとか、全て僕のライフに根ざして生まれてきたことを強く感じています。作ろうと思って作る曲、コンセプトを持って作る曲も今後はあると思いますが、それも自分の感覚で自分のペースで生み出していくと思います。それを発信するには、CDや動画も一つですし、今回のアルバムのように中身の音だけではなく、せっかく媒体として残るものなので、持っていてうれしくなるものであったり、見た目も曲とマッチングして作品の世界が深まっていくものだったり、そういうプロデュースも力を入れたいと思います。

あと、今はライブをしたいですね。12月にレコ発ライブを数本組んでいます。ライブでは音源とは違う空気が震える会場でしか味わえない迫力を届けたいです。行ったことのない土地や、海外でもやってみたいと思います。ライブパフォーマンスにも、もっと磨きをかけていきたいですね。知らない場所で知らない人に会って、僕の作品に、僕という人間に触れてほしいです。ライブに行く時は、自分でギターや機材、CDを持ってまわるので、人と人とで向き合える良さを最近感じます。
メジャーのアーティストというのは、アーティストとお客さんの間にはいろいろな高い壁があると思います。それが良かったりもするのでしょうが、自分が活動をしていて思うのは、毎年自分の足でいろんな場所へ行った時に、今年もよく来てくれたね、と言っていただき、アーティストとお客さんの距離がとても近く、人間と人間が向き合えて喜びが大きくなっています。今はそういう活動をしていきたいですね。
12月のアコワド企画のイベントにもぜひ来てください。いろいろな意味ですごいものをお見せしますよ(笑)。

ー最後にギターファンにメッセージをお願いします。

矢後:ギターを弾く人も弾かない人も、ギターが嫌いという人でも一度僕の作品を聴いてほしいです。今の時代ネットで探せばすぐに出てきますし、ミュージックビデオも作っていていろんな意味で聴きやすくなっています。どこからでもいいので、矢後憲太というアーティストの作品に触れてみてほしいですね。損はさせません。それが僕の願いです。

矢後憲太2ndアルバム 「It seems like」 販売サイト https://acoustic-kenta-y.jimdo.com/webshop/

【2017年10月14日埼玉県南浦和にて】

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矢後憲太 https://acoustic-kenta-y.jimdo.com

1990年栃木県生まれ。フィンガースタイルギタリスト。
多彩な奏法を駆使し、様々な情景、感情、物語などをギター1本でありありと表現する。色彩感溢れるその豊かな音色は、聴く者を色とりどりの世界へと誘う。
2012年、モリダイラ楽器主催全国規模フィンガーピッキングコンテストにて優秀賞を受賞。
ライブカフェ宮内家でほぼ毎週木曜日ライブを行い、多くのギタリストとも共演する。
2013年、同コンテストにて優秀賞、オリジナルアレンジ賞、葉山ムーンスタジオ賞 (オーディエンス賞)の三冠を受賞。
2014年、自身初となるフルアルバム『85.』を葉山ムーンスタジオレーベルよりリリース。
2017年11月1日2ndアルバム「It seems like」リリース。
アコギソロでライブ活動を展開。ライブやイベントの出演に加え、ラジオ番組への出演やパーソナリティとしての活動、楽曲提供、バレエコンサートとのジョイント、アート作品展とのコラボレーションなど、他分野に渡って精力的に活動を展開。
It seems like
It seems like
発売日:2017年11月1日
販売価格:2,500円(税込)
YGR-1 85 records

1.プロローグ
2.Evergreen
3.Somewhere
4.奏
5.Inspiration
6.雨の日のワルツ
7.月の微笑
8.シナプス
9.忘れな草
10.ヒロガルセカイ
11.こころ

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