ーシングルでリリースした曲は全て録り直したのでしょうか。
矢後:はい、全て録り直しました。演奏、ミックス、マスタリングで質感を変えています。より物語にフィットするようになりましたね。
アルムバを聴いた方で、シングルより物足りない、というSNSの書き込みがありました。
でも繋げて聴くと、こちらの方がはまるとも書いてました。よく聴いていただいてます(笑)、
これは狙ったところですね。
フレーズが変わってはいないのですが、表情を変えたりしています。
ストーリーが見えてくるものや、テーマがはっきりしているものなど、シングルより少し落ち着かせるなどやっています。これに気づく人がいるのは驚きましたね。
シングルでリリースした曲で違う楽器を使っているケースもあります。面白いアプローチの楽器の当てはめ方になりました。
ー本アルバム制作はこれまで異なった点が多いようですね。
矢後:物語性を持たせることには苦労しました。
1曲1曲は独立して作ったものなので、一貫した地続きのストーリーをどう演出するかということを最初に考えましたが、なかなかつながらないんです。
先にお話したように楽器で一貫性を持たせたり、あとはチューニングも8曲同じにしています。
あまり使わない、2弦をCにした曲が8曲あります。響きで一貫性を持たせたんですね。
違う曲でも似ている感じがあります。
あと、曲のキーを揃えて配置しています。アップテンポとバラードと曲調は違ってもキーが同じだと入りやすくなります。
これらの小さなロジックを散りばめながら作りました。
これまでのアルバムは20曲くらいからしぼって10曲くらいの収録をしていますが、今回は30曲以上用意しました。
それで1年以上時間がかかりました(笑)。
作る側としても楽しみがありましたね。
ーアルバムリリースに伴いツアーを行いましたね。
矢後:コロナ禍でライブができなくなり、コロナ禍が過ぎても関東以外ではライブがやりにくい雰囲気もありましたが、そろそろやってみようと思いました。
コロナに入ってからはファン層に変化があり、僕の曲の楽しみ方が変わってきたと感じています。スピリチュアルな聴き方をされる方が増えましたね。コロナで見えない何かにおびえる日々が続いた中で、歌のないアコースティックな音楽というのは心を支えるため、内向きになった心を癒すという、音楽を染み込ませるように聴いてくれる方が増えたと思います。
これは日本だけでなく、世界的にです。インスタグラムで世界中の方が聴いてくれますが、世界的にも変わったタイミングだと思います。
ー最後に、ギターファンにメッセージをお願いします。
矢後:今回のアルバム「Storyteller」では、かつてないほどにクリエイティブなマインドで作品制作にチャレンジしました。これまでいろいろな活動をしてきて、その時々で興味のあること、やりたいこと、思いなどを形にするという作業が、ようやくある程度思い通りにできるようになってきたと思います。今年は1stアルバムのデビューから10周年となる節目の年です。なので、10周年記念作品としてベストアルバムを制作します!既にプロジェクトは始動していて、懐かしい曲から最新の曲までを盛り込みつつ、全曲録り直しで新しい世界を創ります!ただ10年を振り返るだけではなく、成長や熟成が感じられ、かつ、これからの矢後憲太の道筋を示すような作品、前に進む作品、そんなコンセプトで制作しています!
もちろん、作品ができたらライブもやりたいしツアーもやりたいし、グッズも作りたいし、やりたいこといっぱいです!
その一つ一つをしっかり発信していきたいと思うので、ファンの皆様にはそれを最高に楽しんでいただければと思います!応援、よろしくお願い致します! |