Acoustic Guitar World
ホーム インタビュー ニュース イベント 電子書籍 レビュー   無料メールマガジン
ギタリストインタビュー〜小松原俊
前のページ 1 2 3 次のページ
ー他のギタリストとのセッションなどはいかがでしょうか。

小松原:ほとんどやらないです。セッションといえばアドリブをやりますよね。何がアドリブなんだろうなと思うんです。僕はほとんどアドリブやらないし、アドリブができる人はどれだけいるんだろうと思う。アドリブでなく、決まったフレーズでやってるのかなと。僕はそういうのは面白くないと思うんです。決まっているのであれば、よりいいフレーズにする必要があると思う。その時の思いつきで、アドリブで弾ける人というのは本当にすごいと思いますね。僕はよりこっちの音がいいとか、練っていくタイプです。
あと、ギターでもピアノでも、セッションするのであれば、まずその人と気心が合ってからだと思います。お互いの音楽性などを理解した上でやるタイプです。初対面だと気を使いますしね。そういうのが一般的なのかもしれないけれど、あまりそういうのができないですね。

ー今までコラボでのCDなどはあまりなかったでしょうか。

小松原:少ないですね。今年に出たチョン・スンハくんのアルバム(ザ・デュエッツ:夢の共演)には2曲参加しています。あと、打田十紀夫さんのアルバムで、ライブでのデュオの録音があります。打田くんはすでによく知っていて、デュエットライブをやろうよ、というのがあったからですね。気心もそうですが、音楽性などでもプラスになる関係があると思った時に、足した意味があると思うんです。インストのギタリストというのは元々が一人の作業で、一人で世界観を完結させようとしているので、デュエットなどは難しい気がします。


音色はどちらかといえばふくよかさがあって、レンジが広いです。低い音から高い音まで、とても幅が広いですね
ー使用されているギターについておうかがいしたいのですが、東京に出てきた頃はどのようなギターを使われていましたか。

小松原:マーチンHD-35です。20か21才の頃に新品で購入しました。90年に森山良子さんのツアーがあって、マーチンD-35を使っていました。最初はマーチンでしたね。この頃はまだ、ソモジやグレーベン、サンタクルーズとかは知られてなかったですね。その後、ラリビーやサンタクルーズも一時期持っていたことがあります。でも、サンタクルーズとかはフィンガースタイルのインストには合わないかなと思って、手放してしまいました。ピックで弾くと良かったんですけどね。
アーヴィン・ソモジはウィリアム・アッカーマンが使っていたので知ってはいたのですが、最初は欲しいとは思っていなかったのですが、もう23年くらい使い続けています。ソモジを初めて購入したのは1990年で、この他、93年、99年、2000年、2001年、2004年とあります。2000年のがSKモデルという僕のモデルで、ほとんど録音だけで使っています。

ーこの中から用途によって使い分けてるのでしょうか。

小松原:今日持ってきている1990年製のものがほとんどです。7〜8割使ってますね。93年製を、海外へ行った時などに使ってます。こちらのほうがどちらかといえば音が硬めで締まってるので、広いホールなどではこちらを使っています。 楽器というのはある程度のレベルまでいくといいとか悪いとかではなくて、自分にとってどちらがいいか、楽曲に対して向いているとか、会場に対して向いているとか、自分の気分に対してこちらがいいとかの選択の方法で、どっちが悪いとかではないですね。

ーアーヴィン・ソモジの魅力はどのようなところでしょうか。小松原俊

小松原:言葉でいうと難しいですが、アーヴィンは元々フラメンコなどナイロン弦のギターを作っていた人です。なので指弾きをするための考え方なんですね。マーチンD-28とかは、一般的に指弾き用とは考えてないと思います。オールマイティか、あるいはピックで弾くためのギターでないかと思います。アーヴィンのギターはピックではなく、指弾きの方向性だと思います。指板が広かったり、弦の幅も広いです。指弾きに適しているのが、わかりやすいですね。音色はどちらかといえばふくよかさがあって、レンジが広いです。低い音から高い音まで、とても幅が広いですね。ハイポジションでも詰まらないところもいいです。クラシックギターの考え方、構造に近い気がします。ブルーグラスやカントリー系には向かないでしょうね。
近年はこういったフィンガースタイル向けの楽器というのが多くなってますね。

ーソモジさんのお弟子さんもたくさん独立しているようですね。

小松原:弟子はいないと言ってましたよ。工房で働いている人は日本人も含めてたくさんいましたが、弟子という呼び方ではないようです。これまでいた人達は、アーヴィンの仕事をサポートしながら学ぶ人達ですが、弟子というのはその技術を引き継ぐことで、極端な話、アーヴィンが亡くなっても、アーヴィン・ソモジというブランドを引き継いで、同じものを作れるようになることのようです。
マーチンでもそうですよね。最初のC.F.マーチンさんが作った楽器を売っているのではなく、その工法を受け継いでいる状態です。受け継げるのが弟子であって、現在は仕事を手伝いながら勉強をしてますが、暖簾分けしている訳でもない。

ー確かに、独立した人はソモジさんのギターのコピーという訳ではなく、オリジナリティを出したり、方向性も違ったりと様々ですね。

小松原:仕事をしながら、技術を盗んでいけという感じの気がしますね。

ー後継者としての弟子というのはいないということでしょうか。

小松原:アーヴィンの所には3,4回行ってますが、そういう感じはなかったですね。正確にどのような考えなのかはよくわからないですが。
前のページ 1 2 3 次のページ


小松原俊 
http://www.shun-komatsubara.com

1958年山口県生まれ。 1981年上京、1985年頃から様々なアーティストのサポート、レコーディングを行う
1992年ファーストアルバム「DEAR」発表
1994年セカンドアルバム「SCENE」発表
1997年サードアルバム「Naturally」発売
2004年コロンビアよりベストアルバム「Treasures」発売
1995年より現在にいたり、藤田恵美のライブやレコーディングに参加。独自の世界観あふれるライブ活動を全国で展開でファンを魅了している。まさに日本を代表するアコースティックソロギタリストである。

Best Album「Treasures」

Treasures

2003/12/17発売
日本コロムビア

1. Fragile (新曲)
2. くじら (再録音)
3. 文明開化
4. 走る煙突
5. 桃源郷
6. Mother And Father (再録音)
7. タケル
8. Voyager (再録音)
9. Hiroshige (再録音)
10. Camel
11. ステッセルのピアノ
12. Love Song (再録音)
Amazonで購入







Acoustic Guitar World

トップページ l インタビュー l ニュース l イベント l 電子書籍 l レビュー l EPUBについて l facebook l Twitter 
Acoustic Guitar World について Copyright © Acoustic Guitar World All Rights Reserved.