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ギタリストインタビュー〜小沼ようすけ
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やっと何かに辿り着いた、やっとスタート地点に立ったというアルバムであると自分で感じています

ーニューアルバムについてお聞きしたいと思います。タイトルの「GNJ」というのはどのような意味でしょうか。
小沼ようすけ
小沼:「G」はグリーン、緑です。「N」はノート、音で、「J」はジャズです。それを略語にしています。ブルーノートのちょっと憂鬱な感じの音に対して、自分の特徴的な緑、自然という意味のグリーンを感じられたらいいなと、自分のスタイルなどいろいろなものを含めた言葉を勝手に作ってしまいました(笑)。

ー様々な曲調の選曲のようですね。

小沼:アコースティックもあればノリのいい曲もあって、自分の中のジャズというか、ジャズといっても古いのから新しいものまでいろいろあるので、自分からナチュラルに出てきたものをパッキングしたらこうなりました。自然から出来た曲が多いですね。今回のアルバムは前作から4年空きましたが、より自分の中で明確なものがアルバムに現れていて、どこか自然を感じるというか、それが滲み出る何かがスジになって統一しているアルバムを作りたかったんです。

ーT5Jazzレコードからのリリースのようですが、ここはボサノヴァの中村善郎さんも少し前にリリースしていましたね。

小沼:はい。善郎さんも僕も同じソニーだったのですが、担当していた方が独立して自分のやりたことに特化したT5Jazzレコードというレーベルを作りました。僕も善郎さんも縁あって同じレーベルから出す事になりましたね。

ーこのアルバムはハイレゾの音源もリリースされるのですね。

小沼:はい。このレーベルはハイレゾが出たばかりの頃からハイレゾにこだわっていています。このアルバムより前に僕が参加しているオルガンバンドの「Aquapit」のアルバムでハイレゾを出しました。これがT5Jazzレコードの1枚目のアルバムなんです。ハイレゾはUSBで販売するのですが、カセットテープのようなケースに入っているので、カセットに戻ったような懐かしさもありつつ新しいというのがいいなと思います。

ーニューアルバム収録曲について、簡単に解説していただけますか。

・Jungle
ノリのいい曲で、ラテン要素が強くポップな感じの曲です。

・June 7th
マイナーブルースが基調となった曲です。

・Bamboo / Tonlé Sap
Bambooはアコースティックの曲で、どちらかと言えば日本的な曲です。Tonlé Sapはカンボジアの湖の名称で、水の上で生活することで有名な場所です。湖で水上生活する人を見て衝撃を受け、その思いを曲にしました。2曲がメドレーになっていて、アジア的な曲となっています。

・Impressions
これはジョン・コルトレーンの名曲です。皮もののパーカッションとウッドベースとで演奏しています。

・Super Moon
Super Moonというのは最近よく聞く、月のパワーが一番強いというものですが、それが海に照らされているというイメージです。バリ島にウブドという村があるのですが、ジャングルの奥のような所で芸術の村と呼ばれていて、そこで出来た曲です。

・What A Wonderful World
スタンダードの曲をアコースティックのソロで演奏しています。

・Sketch Of 60s
自分で作ったジャズの曲ですが、僕が生まれていない憧れの年代である1960年代前半の雰囲気で、当時ジャズがいろいろな方向に分裂したり融合したりしている一番美しい時代だと思っています。ここからいろいろなジャンルに分かれていますが、この分かれる直前、自分の憧れているものを曲にして、自分でスケッチしたという意味です。エンディングだけ現代ぽいアレンジをしていて、現代から過去のイメージを表現しています。

・I Think It’s Going To Rain Today
ランディ・ニューマンの1970年代の曲です。多くのシンガーがカヴァーしている有名曲ですが、日本ではそれほど知られていないと思います。ニーナ・シモンというジャズシンガーのカヴァーに感動して、そこから原曲を聴いてさらに感動して、ギターで表現したいと思いました。音を聴いたら自分のアレンジが全て浮かんできて、アルバムに収録しました。

・Explorer
ガットギターで演奏していて、ギター、パーカッション、エレキベースという、僕の好きな編成です。「3.2&1」の1曲目も同じメンバーですね。この3人だけの独特の世界観があって、Explorerというのは探検という意味ですが、3人で一緒にそろったり、別々に探検してまた集まったりというニュアンスを曲にしてみました。

小沼:これまで1,2年に1枚アルバムを出していて、初めて4年振りと間隔が空いたのですが、自分が何をやろうかわからなくなった時期があります。この間に海外でのサーフィンで足を骨折して、ギターは弾けたのでギターに向き合ったり、父が亡くなったり、いろいろと乗り越えなければいけないことがたくさんあり、自分の音楽というものを次にどのように表現したらよいかわからなくなりました。
こういう時期を乗り越えた後なので、今回のアルバムを作る事によって何か抜けた感じがして、今までに無い強いものが、このアルバムには込められていると思っています。自分がデビューしてから磨かれて、自分というものがやっと出てきて、何をやっても自信を持って、これが自分の音だということを言える状態になって作ったアルバムはこれが最初です。やっと何かに辿り着いた、やっとスタート地点に立ったというアルバムであると自分で感じています。
家ではほとんどガットギターを弾いていて、旅に出るとトラベルギターを持って曲を作ったりしますが、今の自分の生活とか、ありのままがアルバムになったことが、ものすごくうれしいです。今回はエレキギターもアコースティックを弾いているような感じで、ノーエフェクトです。より生々しいと思います。今回はスタートなので、ピュアなありのままの音色で表現したかったんです。すごくナチュラルでシンプルな、ギターというものが浮き出たアルバムです。キーボードも入ってないですしね。ギター、パーカッション、ドラム、ベースなので、アコースティックのソロギターの延長上で、プラス4人だったり3人だったりで作るインプロビゼーションというか、打楽器とベースしかいないので、ハーモニー同士のインプロビゼーションよりもっと原始的なリズムのやり取りがすごく多いアルバムです。ここが聴き所だと思います。

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小沼ようすけ http://www.yosukeonuma.com/

1974年、秋田県生まれ。
1995年、ヘリテージ・ジャズギター・コンペティション世界大会で3位。
1999年、ギブソン・ジャズギター・コンテストで優勝。
2001年にアルバム『nu jazz』でデビュー。
ソロアルバムからバンドや様々なミュージシャンのレコーディングに参加。
ライブ活動も精力的にこなす。
プロフィールの詳細はこちら→http://www.yosukeonuma.com/biography.html

New Album「GNJ」
GNJ


小沼ようすけ new album「GNJ」
発売日:2014年10月22日

2001年、アルバム「nu jazz」にて鮮烈なデビューを果たしたギタリスト小沼ようすけ。その後6枚のアルバムをリリース、ジャズだけにとどまらないジャンルを超えて魅力を放つギター・サウンドと、誰もが認める確かなテクニック、そして誰からも愛される人柄から日本ジャズ・シーンにおいて不動の人気ギタリストの座を確立した。
そして小沼ようすけ4年ぶりのニュー・アルバム「GNJ」はT5Jazz Records移籍第一弾。
タイトル「GNJ」はGreen Note Jazz の略。ジャズの音を表すBlue Noteに、小沼ようすけがここ数年意識しているオーガニックでナチュラルな音を掛け合わせた造語「Green Note」。そして、小沼ようすけの原点であるジャズをこれまで以上に意識しつつ、デビュー・アルバムである「nu jazz」から発展し、今年40歳を迎える小沼ようすけが新たに原点回帰的なスタートを切ろうというタイトルが「GNJ」(Green Note Jazz)なのです。
これまで以上に、グルーヴィーで、メロディアスで、ジャズしている小沼ようすけサウンドをご体感ください。

収録曲
1 Jungle
2 June 7th
3 Bamboo / Tonlé Sap
4 Impressions
5 Super Moon
6 What A Wonderful World
7 Sketch Of 60s
8 I Think It’s Going To Rain Today
9 Explorer

Personnel
小沼ようすけ - guitar
金澤英明 - bass
鈴木正人 - bass
坂田学 - drums
仙道さおり - percussion

Recorded at LANDMARK STUDIO on June 18-19, 2014

【CD】(HQCD仕様)
品 番:T5J-1006 価 格:2,400円 + 税
【USB】(完全生産限定盤)
品 番:T5J-5006 価 格:3,000円 + 税
内 容:
・24bit/96kHz FLAC
・320Kbps MP3
・Jungle (excerpt) Music Video
・デジタルブックレット(PDF)
【デジタル配信 (ハイレゾ: 24bit/96kHz FLAC) 】
価 格:2,700円 + 税
【デジタル配信】
価 格:2,000円 + 税

T5Jazz Records http://www.t5jazz.com/p/t5j-1006.html



小沼ようすけ new album 発売記念ライブ
「The Road to GNJ」

2014年12月22日(月) 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 18:30 START 19:30
ADV.¥4,800- DOOR.¥5,300-(税込み/1DRINK別)

*未就学児童入場不可
*学割¥1,000(会場にて学生証提示の上、キャッシュバック致します。)

【出演】
小沼ようすけ(Gt)
金澤英明(W.Bass) / 鈴木正人(E.Bass) / 坂田学(Ds) / 仙道さおり(Per)

アルバムタイトルはGreen Note Jazzの略。ジャズの音を表すBlue Noteに、オーガニックでナチュラルな音を掛け合わせた造語「Green Note」。
小沼ようすけの原点であるジャズをこれまで以上に意識しつつ、今年40歳になる節目にデビューライブ会場であるduo music exchangeにて、原点回帰ライブを開催する。

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