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ギタリストインタビュー〜Dominic Miller
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自分でも驚いたけれども、爪を使わない音の方がとてもよく思えたんだね

ーニューアルバム「AD HOC」についてお聞きしたいと思います。どのようなアルバムでしょうか。

ドミニク:アコースティックのインスト音楽だね。僕が影響を受けた音楽だと思います。僕の人生の旅の中で、ここにいるということだ。全てが自分のオリジナルという訳ではなく、いろいろな影響を受けている。自分のレコードを作っていくことが自分のオリジナルになるということであり、それが自分の足跡となっている。ジャズ、クラシック、ラテン、パンク、ブルース、全てのジャンルから影響を受けてきたものを一つの形にしたもので、僕の中では素晴らしい形になっていると思う。とても明るい、ハッピーなアルバムだよ。僕はハッピーな男なので(笑)。参加してくれたミュージシャンも素晴らしいんだ。パーカッションのRhani Krija、トランペットのSebastian Studnitzkyなど皆ベストプレイヤーだ。

ータイトルの「AD HOC」というのはどのような意味なのでしょうか。

ドミニク:ラテンで即興で何かをやるということかな。こういう予定があっても違う方向にいくといったようなものだね。プランがあって、その周りを踊っているような音楽だ。ハーモニーやメロディは真ん中にあって変わらないけれども、それ以外の演奏は即興性があるものだね。
ドミニク・ミラー
ー具体的な奏法について少しおうかがいします。右手は爪が短いようです。指の腹で弾かれるのでしょうか。

ドミニク:そうだね。こちらの方が丸い音が出るので好きなんだ。でも実は、エレキギターでロックを弾くと爪が全部削れてしまうので短くなってしまうんだよ(笑)。エレキギターはもちろんピックで弾いていたが、どうしても爪が弦にあたり削れてしまうんだ。爪にピンポン球を貼ったりいろいろ試したけれども、ダメだった。なので、爪が短くても弾ける練習をしたんだ。そうしたら、自分でも驚いたけれども、爪を使わない音の方がとてもよく思えたんだね。
随分昔の話だけれども、自分の人生の中で一番いい決断をしたと思うよ。音が暖かく柔らかい。速いフレーズを弾くのは不利だろうけど、僕はそういうのは弾かないからね。

ー使用しているギターについてお聞きしたいと思います。どちらのメーカーのギターを使われていますか。

ドミニク:日本のヤイリだよ。トーレスモデルだね。ナイロン弦でフィッシュマンのピックアップが入っている。サイドバックが長年乾燥させたメイプルで、とてもきれいなギターだ。これは手作りのカスタム製なんだ。これは2本目で、1本目は宮沢和史さんにもらったんだ。2004年だったかな。最初はボディが小さかったので子供用かなと思ったけど(笑)、音を出したらすごかったんだ。

ーカラーはブラックでしょうか。

ドミニク:2本目のはブラックだ。和史さんからもらったのはナチュラルだね。ナチュラルのは家に置いて、ツアーで使うためにブラックのを作ったんだ。ブラックの方がロックっぽいだろ(笑)。
ヤイリのカスタムはとてもいいね。完成まで6ヶ月くらいかかったが、すべて手作りで普通の製造ラインのものではないんだ。 学生とかにどこのメーカーの楽器を買ったらいいか聞かれることがよくあるけれど、僕はいつもヤマハと答えてる。ヤマハは問題がないギターなんだね。個人の製作家が作るギターというのは取り扱いに気をつけなければいけない。一人で作った車なんて誰も買わないと思うが、ギターでは一人で作られているものがある。ギターはパーツによって加工方法が異なっている。個人製作家の高いギターをこれまでたくさん見てきたが、よく見るとどこかがやり過ぎだったりするところがある。高ければいいという訳ではないんだね。ギターを製作した長いキャリアが必要だろう。ヤイリのカスタムラインにはパーツごとにスペシャリストがいて、一人で製作しているよりも安定していると思う。ヴァイオリンのストラディバリウスは一人で作られているように、もちろん例外もある。僕のギターは作るのに6ヶ月かかっているけれども、そんなに高くないよ(笑)。でももっと高い値段でもいいと思っている。

ーこれまで日本にはどのくらい来られていますか。

ドミニク:7,8回じゃないかな。日本はとてもいい国で大好きだね。

ー今回の来日はいつ以来なのでしょうか。

ドミニク:3年前くらいにスティングのシンフォニーのツアーで来ているよ。日本武道館だったね。

ー日本でソロのライブはされているのでしょうか。

ドミニク:いや、やってないんだ。こうやって日本に来て、ソロギタリストとしてインスト音楽をやっていることを知ってほしいね。スティングのツアーで忙しい時期も多いけど、これからはソロでもどんどん来ることを知ってもらうために、今ここにいるんだ。日本には熱心なファンがいて、ヨーロッパまで来てくれる人がいる。でも僕が来た方が早いよね(笑)。日本にはインストの音楽を理解してくれる人がたくさんいるので、もっと日本に来るべきだと思ってるんだ。

ースティングのツアーでは全世界廻っていると思いますが、ソロでもいろいろな国でツアーなどされているのでしょうか。

ドミニク:ヨーロッパはどこでも行ってるよ。南アメリカも行くし、アジアツアーもしている。韓国はとてもよかったね。毎年のスケジュールとしてこれからは日本もリストに入れたいね。スティングとは1年のうち8ヶ月は一緒にいるけれども、残りの3,4ヶ月はソロの仕事をしたいんだ。僕の自由時間は1ヶ月で十分だね(笑)。

ー最後に日本のギターファンにメッセージをお願いします。

ドミニク:ギターは最高の楽器です。だから、あなたが選んだ楽器は正しい。ギターは小さなオーケストラだ。旅行にも持っていってどこででも弾ける、最適な楽器です。

【2014年10月12日東京にて】
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Dominic Miller
 http://www.dominicmiller.com 

1960年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。
11才でアメリカに移住。
ボストンのバークレー音楽学校を卒業。
クラブなどの演奏、様々なミュージシャンのレコーディングに参加し、1989年にフィル・コリンズの「..But Seriously」でギターを演奏。
1991年にスティングの「The Soul Cages」のレコーディングに参加、以降スティングのツアーに参加し、現在まで続く。
1995年初のソロアルバム「First Touch」 をリリース。
1998年にThe Boomの宮沢和史のソロアルバム「Sixteenth Moon」に参加。
2004年に クラシックギタリスト村治佳織のDecca移籍第1弾のアルバム「Transformations」で共演。
2014年ソロのニューアルバム「 AD HOC」をリリース、ソロ活動にも力を入れている。

「Ad Hoc」
Ad Hoc

1.Exiting purgatory Start
2.Scirocco Start
3.Eva Start
4.Shavasana Start
5.Hotel pink Start
6.World party Start
7.Tisane Start
8.St Victoire Start
9.Moroccan roll Start
10.Doolin


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「Shapes」
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1. ミサ曲 ロ短調
2. アダージョ ト短調
3. シェイプ・オブ・マイ・ハート
4. G線上のアリア
5. プレスト ~ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ ト短調
6. アヴェ・マリア
7. エニグマ変奏曲から第9変奏 <ニムロド>
8. ジムノペディ 第1番
9. ミサ・クリオージャから キリエ
10. ミ・フェ (シャコンヌ ~ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番)
11. クラヴィーアのためのプレリュード 第3番
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