Acoustic Guitar World
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ギタリストインタビュー〜AKI
個性あふれる音楽と奏法が人気のギタリストAKI。14年振りにリリースされるニューアルバム「Night of Bellinzona」のことや、自身のルーツ、音楽観を話していただきました。

Acoustic Guitar World vol.73 電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード
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ーギターを始めたきっかけを教えてもらえますか。

AKI:子供の頃はオペラの子役をやっていましたが、この時は音楽に興味はなかったんです。どちらかといえばやらされていたという感じです。中学生になって、たまたま若い頃のエルヴィス・プレスリーを聴きました。こんな音楽があったのかと思い、中学の3年間は50年代のエルヴィスばかり聴いてましたね。家に古いクラシックギターがあったのですが、それで簡単なコードを覚えて、エルヴィスを歌っていました。
高校に入学してから友達がいろいろなライブに誘ってくれて、初来日のQueenも行きました。今までに体験したことのないコンサートでしたね。1曲目が真っ暗で始まりフラッシュがついて、しばらくするとドラムが始まり、すごい音と照明です。その後は全く覚えてないんです。気が付いたら服は破れ汗はびっしょりでした。
この頃からロックが好きになり、武道館でアルバイトをするなどで多くのロックバンドのコンサートを見ました。オリジナル曲も作り始めていましたね。ロックに興味を持つようになってからエレキギターを始め、だんだんとアバンギャルドになっていきました。

Queenのコンサートを見た時に、周りは年上の人達ばかりでした。その人達の会話で、フランク・ザッパという名前が出て、どんな人なのかチケットぴあの雑誌を見ると、たまたまフランク・ザッパのコンサートが載ってました。それで小さなライブハウスに見に行ったんです。Queenのようなバンドだと思ってたのですが様子が違って、ヒゲ面のこわいお兄さんたちがたくさんいて(笑)、会場の中には生首が飾ってあったり、音楽も訳がわからなかったです。今思えば変拍子なんですが、当時は良さが全然わかりませんでした。だいぶ経ってからバンド仲間にそのコンサートを見に行ったことを話したら、それは伝説的なコンサートだったということで、凄い!!とか羨ましい!!とか言われ、自分の中でも美化するようになってしまいました(笑)。
それがきっかけなのか、だんだんジョン・ゾーンやフレッド・フリスなどのフリージャズの方向に走り、自分でエフェクターを作ったりもしましたね。ビル・フリゼールというギタリストが好きになっていろいろなライブを見て、エフェクターの踏み方までもコピーしました。ビル・フリゼールのアルバムでアコースティックギターを多用しているものもあり、アコースティックギターもこんな使い方をすると格好良いな、とは思いましたが、まだそれほどアコースティックギターには興味がありませんでした。
AKI
その後、打田十紀夫さんのTABから発売されていた、いろいろなギタリストが演奏しているオムニバスのビデオで演奏していたプレストン・リードを見て驚きました。当時はアコースティックギターを叩くというのはあまりなかったんですね。格好良いと思いましたが、アコースティックギターを持ってなかったので、フルアコで叩いたりするようになりました(笑)。

プレストン・リードのCDを探しにいったら、そこに譜面のようなものが入ったCDがありました。中はよく見えなったのですがついでに購入し、帰ってからそれを聴いてみました。これがピーター・フィンガーだったんです。今まで聴いたことがないようなアコースティックギターの音でしたね。ここからピーターの音楽にのめり込んで、アコースティックギターを弾きたいと思いました。
アコースティックギターを購入しようと思ったのですが、何がいいのかわからないのです。そこで、ピーターのCDにレコード会社の電話番号が書いてあったので、ここに電話をして彼と同じギターを買おうと考えました。そこで電話をしたらなんとピーター本人が電話に出たんです(笑)。使っているギターを聞いたら、自分で作ったギターということでした。トップがジャーマンスプルース、サイド、バックがブラジリアンローズウッド、サイズはDタイプでした。自作のギターは買えないので、他におすすめのギターはありませんか、と聞いたところ、ローデンをすすめられました。
それでローデンを探しに御茶ノ水を歩いていたら、ローデンのDタイプ、サイド、バックがブラジリアンローズウッドのギターがありました。この時、トップの材質がわからないということだったので、店員さんに1日待ってほしいと言われ、翌日楽器店から連絡がきたらトップはジャーマンスプルースということだったので、それください、というようになりました(笑)。
それから弾きまくりましたね。当時はアバンギャルドの音源を作っていましたが、オープンチューニングを使うようになりました。エイドリアン・ブリューが使用していたオープンチューニングです。ピーターのCDにもチューニングを書いた紙が入ってましたが、当時は使っていませんでした。エイドリアン・ブリューのチューニングでアバンギャルドな曲をアコギで作り、自分ではすごくかっこいいと思ったんですが、友達に聴かせても誰も興味を示さない(笑)。だんだん不安になってきましたが、自分ではいいと思っていたんです。
ローデン
そんな時、友達がピーター・フィンガーが来日することを教えてくれました。
それでライブ当日、お店の中に入ったらピーターがいて、持って行ったローデンギターにサインをしてもらいました。マイク1本ですごいライブでしたね。

その翌年に来日した時にそのギターを持っていって、ピーターに弾いてもらおうと思ったんです(笑)。
楽屋に入れてもらいこのギターで弾いてくれと話したら、使うギターは決まっているから、と言われてここで弾くならいいよということでした。そこで弾いてもらいました。その時は中川イサトさん、小松原俊さんがいましたね。
AKIも弾けるだろ?と言われピーターの前で弾いた途端それまでファンだったものが身近になった気がして、音楽仲間のような感覚になりました。いろいろと話もさせてもらい、自分の曲のテープを渡して別れました。

それから1,2週間たってから、ピーター・フィンガーから手紙がきました。そこに、「AKI, you are a very good guitarist and musician. Your music sounds fresh and original.」と書いてありました。君のやっていることは正しい、間違いないない、とてもよかった、というように書いてありました。そこで、ピーターから企画があるのでドイツで録音をしにこないかと言われました。僕がデビューする前のことですね。
それでドイツに行くこととなり、その時はマーティンを持って行き、彼の自宅兼スタジオでレコーディングをしました。1週間くらいドイツにいて、ホテルからスタジオに通いましたね。その時に彼の作ったギターを弾かせてもらい、もちろんピーターにも弾いてもらいました。もうそれはCDの音そのものの音でした。レコーディングコンソールの前でのピーターの演奏は圧巻で、ギターについてもいろいろ教えてもらいました。彼の作ったギターはすごいいいギターで、今でもああいうギターがあればいいなと思っています。
マーティンでレコーディングをして、初めはトントン拍子にいったのですがどうしてもうまくいかない所があり、その日の帰り際に明日はピーターのギターを弾かせてもらっていいかと聞いたらOKだったので、翌日弾かせてもらったらいい録音ができましたね。

これらの録音は後に「Acoustic Guitar Made In Japan」という、中川イサトさん、小松原俊さん、岸部眞明さん、小川倫生さんが参加したコンピレーションアルバムに収録されました。ピーターのギターでの音源です。
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AKI http://www.hayamamoonstudio.com/akihome.htm

1998 年に世界的なギタリスト Peter Finger に認められヨーロッパでレコーディング、パリでの演奏を行う。帰国後、数々の意欲作を発表。その神がかり的なテクニック・芸術性、その全てにおいてケタはずれな彼の演奏は聴くものをとりこにする。そのプレイや作曲法は、まさに唯一無二!!
2002 年アメリカ NAMM ショウでのデモ演奏が好評を博し、以後、世界に通用するギタリストととして注目を集め、最近では、アメリカの音楽配信サイト "MP3.com"JAZZ 部門にて "How I Feel Now" が、世界チャート第一位を獲得するなど、その独自の音楽性と奏法は多くの人々に支持されている。
2003 年には箏とのユニット "AKI&KUNIKO" のアルバム『 HA 』がドイツの ACOUSTIC MUSIC RECORDS から世界発売になり,各国で絶賛される。 2005 年には,ヨーロッパ・ツアー、カリブ~中米ツアー、 2006 年、ニューヨーク、シカゴ公演、ドイツ OpenStrings のメインステージなど、海外での活動も精力的に行う。
アコースティックミュージックレーベル "HarvestMoonRecord" では総合プロデューサーを務めるなど、今、世界から最も注目されている音楽家&ギタリストの一人である。

プロフィールの詳細はこちら→http://www.hayamamoonstudio.com/akihome.htm


「Night of Bellinzona」
Night of Bellinzona


2016年4月24日発売

販売価格:2,500円+税
レーベル:葉山ムーンスタジオ/サインポール・レコーズ

1. Porky’s Bar
2. ロミオとジュリエット
3. Night of Bellinzona
4. Mainz
5. こいのぼり
6. リンの想い
7. 君が代
8. 神々の国の首都
9. Polo Hotel

アルバムの詳細はこちら











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