Acoustic Guitar World
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ギタリストインタビュー〜土門秀明
バブルガムブラザースのギタリストとしてキャリアをスタートさせ、10年間ロンドンの地下鉄でのバスキングを続けてきた異色の経歴のギタリスト土門秀明さんに、ギタリストとなった経緯やロンドンでの状況、現在の活動はど幅広くお話いただきました。

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ーギターを始めたきっかけを教えてもらえますか。

土門秀明(以下、土門):中学生の頃、バンドやフォークが流行ってました。当時はラジオをよく聞いてましたが、だいたい1,2,3位がベイ・シティ・ローラーズ、クイーン、キッスでした。その中でもベイ・シティ・ローラーズの曲がすごくポップなエレキギターサウンドで好きでしたね。音楽雑誌、ラジオ、テレビでもベイ・シティ・ローラーズだったので、自然に入ってきて、タータンチェックにストラト、レスポールが格好いいなと思いました。でも親戚からもらったクラシックギターをしばらく弾いていて、その後に松山千春が好きになり、フォークギターを買ってもらいました。

ー弾き語りを始めたのでしょうか。

土門:そうですね。まだソロギターというものは知りません。弾き語りだけでもなく、アコギにマイクをつけてバンドをやってみたりもしましたね。高校生の時にエレキギターを始めたのですが、矢沢永吉が好きな人がいて、ライブアルバムなどを聴かせてもらいました。この時のバックバンドに、後にモニカなどを作曲するNOBODYのギタリストがいました。この人達のギタープレイが僕の琴線に触れて影響を受けましたね。後楽園ライブや武道館ライブなどをよく聴いてコピーしてました。

ー軽音楽部などに入っていたのでしょうか。

土門:いいえ、当時はそういった部はなかったですね。僕は中学の時は卓球部、高校ではバレー部でした。

ーバレーは指を痛めそうですね(笑)。

土門:そういえばそうですね(笑)。当時は何かしら部に入らなければいけなかったです。バレーも一生懸命やってたし、バンドもやっていました。
ポプコン(ヤマハポピュラーソングコンテスト)の地方決勝と、バレーのインターハイの試合がかぶってしまった時がありましたよ。やはりバレーを優先して試合に出ましたが、バンドのメンバーが呼びに来て、ポプコンの決勝だからいないと困る、ということで試合の途中で選手交代して、ユニホームのまま自転車で会場に向かいました。なので、ポプコンのステージ衣装はバレーのユニホームです(笑)。それでもポプコンは優勝しましたよ。
高校生の時にはプロギタリストになるんだろうなと何となく思ってました。でも山形の田舎でそういうことは通じません。高校を卒業したら東京に出てプロになる、ということは先生には言えなかったですね。なので、東京のPAの専門学校に入りたいと言ったんです。東京写真専門学校というのがあって、そこの音響芸術科でテレビ、ラジオ番組作りをしたいと言いました。
土門秀明
ー専門学校に行かれたのでしょうか。

土門:はい、レコーディングなどの勉強をしたのですが、30年後の今になって役に立ってますね(笑)。当時プレイヤーという雑誌のメンバー募集で見つけたいくつかのバンドに入って、いろいろな所でライブをしていました。
その中のバンドで、ライブの時にプロのサックス、トランペットのプレイヤーの方が来ていたんです。その二人はバブルガムブラザースのバンドの人たちでした。当時のバブルガムブラザースはヒット曲「Won’t be Long」をリリースする前で、それほど知名度が高かった訳ではないのですが、景気の良い時代だったのでライブも多く、仕事が多かったんですね。僕はビデオ屋さんでバイトをしていたのですが、その二人から楽器のセッティングや荷物、衣装運びなどをするスタッフ、いわゆるローディにならないかと誘われました。バブルガムブラザース自体もあまり知らなかったのですが、勉強になりそうだと思いスタッフになりました。これを2,3年続けましたが、この間はとても忙しくてバンドはできませんでした。毎日ライブ、レコーディング、テレビ出演などがありましたからね。

ーローディからどのようにギタリストとなったのでしょうか。

土門:バブルガムブラザースのバンドにはギタリストが二人いて、この二人のギタープレイを研究しました。一人がブルース系で、もう一人がスタジオミュージシャン系で何でもできる人でした。このスタジオミュージシャン系のギタリストが自分のバンドがデビューするということで、バブルガムブラザースのバンドをやめるということになったんです。そこで一人ギタリストが必要になるのですが、ローディがギタリストになるということは他から来るよりも難しいものです。それで、マネジャーの知り合いのプロギタリストが新しく加入する事になりました。しかし、バブルガムブラザースの音楽は、基本ブラックミュージックなんですね。当時ブラックミュージックというのはそれほど主流ではありませんでした。久保田利伸や米米クラブなどが既にいましたが、この人たちの音楽を良いと思っても、そのルーツまではあまり知られていませんでしたね。僕も知らなかったですから。新しいギタリストの方は、とても上手なのですが、ブラックミュージックのノリというのを、今ひとつ知らないようでした。独特なカッティングやファンキーさとかですね。

僕はローディなので、自分にやらせろとは言いにくい立場ではあったのですが、2年くらいローディとしてバブルガムブラザースの音楽を聴いていたし、ギタリストの師匠たちのプレイも毎日見てたので、だいぶ弾けるようになってたんですね。それでブラザー・コーンさんに、僕もあれくらい弾けると思うのでオーディションしてくださいと言ったんです。コーンさんは日頃僕がギターを練習しているのを知ってたので、親心的なものもあったと思います。それで次の日のリハーサルで弾いてみろと言われました。ただ、自分で機材はもっていなかったので、師匠のアンプなどを借りて弾きました。すると「明日から弾けよ」と言われました(笑)。機材がないことを言うと、すぐ事務所に連絡して必要なものを全て買ってくれて、いきなり翌日からテレビの生本番や、数万人規模の野外会場などで弾くことになりましたよ。

この後も、ローディの仕事もしばらく同時にやっていました。現場に着くとドラムなど全てセッティングして、リハーサルの時は僕も演奏し、着替えて本番で演奏をします。演奏が終わるとまた着替えて、全部片付けをするんです。こういう生活を2年くらいやってましたね。

華々しくバブルガムブラザースのバンドで演奏をしてはいましたが、同時に自分のバンドをやりたいと思ってました。BOØWYとかMr.Childrenのような感じですかね。プロフェッショナルなバックバンドの仕事も素晴らしいと思っていますが、自分のオリジナルをやるようなバンドもやりたいと思ってたんです。それでバブルガムブラザースのバンドは30才くらいの時にやめました。

やめてからはいろいろなバイトをしましたね。電話工事や何でも屋とか、最後は広告代理店にいました。ここではかなり偉くなっちゃってましたね(笑)。
バイトをしながらバンドもしていたのですが、仕事の収入もよくなり、このまま結婚して子供を育てて、という普通の暮らしもいいのかなと思いました。ただ、最後の広告代理店では僕は厳しい上司という感じで、クビにした社員が土門は会社の金を横領して銀座で豪遊している、といった怪文書を出したんです。それを社長が見て、こんなことないよね、とか聞いてきましたが、もちろんそんなことはありません。結局、いろいろと面倒くさくなり依願退職しました。その後、この時付き合っていた女性にもふられ、ストレスで体調も崩してしまいました。また音楽をするしかないなと思いましたね。

この時35才くらいでしたが、日本ではなく一か八かイギリスでやってみようかと思ったんです。
ビートルズが好きというのもありましたが、本心は日本を逃げ出したかったんですね。
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土門秀明 http://blog.domon.co.uk

1964年山形県酒田市生まれ。
1986年から1990年バブルガムブラザースにギタリストとして参加。
2002年渡英。
2003年ロンドン地下鉄のバスキングライセンスを取得。
2006年「地下鉄のギタリスト Busking in London」を出版。
2011年アルバム「From The Underground」をリリース。
2012年ロンドン地下鉄構内で録音されたアルバム「Live in Tube」をリリース。
2012年3月帰国。
2013年TOKYOハンドクラフトギターフェスにゲスト出演。
2014年スペイン人シンガーSiraとのフルアルバム「DESTINE」をプロデュース。
2014年自然音とのコラボレーションアルバム「Busking in Sakata」をリリース。
2015年ビートルズソロギタートリビュートアルバム「While Solo Guitar Beatly Weeps」をプロデュース。
2016年庄内の水音と癒しの禅的ソロギターのコラボレーション、總光寺オリジナルCD「慕古-moko-」をリリース 。
Live in Tube
Live in Tube
NEW VINTAGE RECORDS (2012.1.25)
2,160円

1. Here,There and Everywhere
2. Too Much Love Will Kill You
3. Crane Girl(オリジナル)
4. Desperado
5. Heal The World
6. Your Song
7. Mogami River(オリジナル)
8. I’ve Never Been to Me
9. We Are All Alone
10. Adios-Rest in peace-(オリジナル)
11. Over The Rainbow

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From The Underground
From The Underground
1. Adios -Rest in Peace-(Mr.K氏追悼曲)
2. Crane Giri(鶴の恩返しイメージソング)
3. Walk To The Moon -Featuring Sira Garcias-(ロンドン地下鉄で出会ったスペイン人女性歌手との共作)
4. Mogami River(最上川イメージソング)
5. From The Underground(ロンドン地下鉄生録アナウンス入り)
6. God Save The Queen & 君が代(ライブバージョン)
7. 3fingers & 3 strings(3本の指と3本の弦のみで演奏)
8. Buskers(日本語ボーカルバージョン)
9. Never Forget(うつし絵「Mio」とのコラボレーション曲)
10. I Vow To Thee My Country ”ジュピター”(サウスケンジントン駅ピッチ1にてライブ録音)
ボーナストラック
11. Charing Cross(エレクトロニクオーケストラバージョン)

購入はdomon1964@hotmail.comまでお問い合わせください。
2,160円

While Solo Guitar Beatly Weeps
While Solo Guitar Beatly Weeps
Solo Guitar Records
2015/4/10発売
2,160円

1. I Saw Her Standing There (益田洋)
2. In My Life (南澤大介)
3. Octopus's Garden (浜田隆史)
4. While My Guitar Gently Weeps (yuta tanaka)
5. Help (城直樹)
6. Day Tripper (谷本光)
7. Strawberry Fields Forever (土門秀明)
8. WITHIN YOU WITHOUT YOU (告井延隆)
9. A Day In The Life (AKI)
10. Here, There and Everywhere (垂石雅俊)

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