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ギタリストインタビュー〜土門秀明
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ーこれまではバスキングでソロ演奏をしてきましたが、ライブとバスキングは違いますか。

土門:ライブでは、特に日本の観客はじっくり聴くじゃないですか。海外でもホールなどでは静かに聴くかもしれませんが、もっと楽しもうという感じで、おしゃべりしてる人もいます。ソロギターというのはおしゃべりしていると聴こえにくいし、演奏者も集中できません。さらに観客はギターを弾いている人が多く、研究のためにギタリストを見てる場合も多いです。

BGMみたいでいいのでライブをしてほしい言われてやった時も、観客はやっぱりシーンとして目の前で僕をジッと見るんです(笑)。僕はこれまでもそういうのが苦手だったので、ライブをやってきませんでした。

今定期的に演奏している三鷹の「や乃家」(http://tabelog.com/tokyo/A1320/A132002/13067494/)は蕎麦屋兼和風ダイニングで、BGM的に演奏させてもらっています。ここにはソロギター目当てで来る人はまずいません(笑)。宴会をしたり、お蕎麦を食べに来る人がほとんどで、BGMで昔の名曲や映画音楽等が生演奏で流れていると、聴いている人はリッチな気分になれるし、こちらも選曲以外あまり気を使わない。こういうスタイルが好きですね。
じっくり目の前でソロギターが聴きたいという人も多いと思いますが、僕は苦手です。よくあのプレッシャーの中流暢に弾けるなと(笑)。

土門秀明ーライブ的な活動以外では、去年10人のソロギタリストによるビートルズのカヴァーアルバム「While Solo Guitar Beatly Weeps」がリリースされ、土門さんがプロデュースしたと聞いてます。
(http://sologuitar.jp/while-solo-guitar-beatly-weeps/)

土門:なりゆきですね。イベントなどで演奏をしてますが、そのイベントを企画している会社の社長が、ロンドンに行く前に組んでいたバンドのヴォーカルなんです。その人の会社はITの会社ですが、音楽のこともやりたいということで手伝っていたんです。そんな時僕は住まいを追い出されて(笑)、社長の実家が空いているからということでそこに住むことになったんです。そこでアルバムを作りたいという話になったんです。
そうは言ってもアルバムを作ることは簡単ではありません。ソロギターで自分で録音してもらって、音源を送ってもらえばそんなに費用はかからないのではないかと提案しました。そこから内容を詰めていって、日本のソロギタリストによるビートルズのカヴァーになりました。参加していただいたソロギタリストはほとんど知り合いです。録音して送ってくれというのも失礼な話だし、知り合いでなければなかなか頼めません(笑)。

ー選曲は演奏者が決めたのでしょうか。

土門:はい、選曲、アレンジは自由でした。

ーアルバムリリースに伴った企画として、東中野の梅若能楽学院・能楽堂でライブを行いましたね。

土門:「While Solo Guitar Beatly Weeps」をリリースした「Solo Guitar Records」の社長が中野区で活動しているということなど、いくつかの要因がありました。生音がよい会場なので、PAを用いず、全員生音演奏になりました。照明もPAも入ってません。費用がかからなくてよかったですね(笑)。

ー今年も同じ会場で第二弾が開催されますね。

ソロ・ギタリスト in 梅若能楽学院会館 フィンガーピッキング「出音一番勝負第二幕」
出演:AKI、垂石雅俊、告井延隆、土門秀明、益田洋、南澤大介 ゲスト帯名久仁子(琴)
9/3(土)14:00開場 14:30開演
梅若能楽学院会館 http://umewakanoh.exblog.jp/
http://sologuitar.jp/umewakadou20160903kokuchi/

土門:生音の演奏というのは大変です。出演者たちは皆ベテランですので問題ないですが、生音では実力が出なくなるギタリストもいます。

ー通常あのくらいの広さでは鉄弦の生音というのは難しいでしょうね。

土門:そうですね。能楽堂は生音を増幅するようにはできてはいます。通常ならもっと狭いスペースでも難しいです。それでも生音というのは他のイベント、ライブとは違うので面白いというのもあります。

ー現在の活動は「や乃家」での演奏が中心のようですが、ライブなどはされるのでしょうか。

土門:ライブを自分で企画することはないですね。ロンドンでの活動を講演でお話しするトークライブみたいなのは時々あります。話をしながらギターも弾くといったことを企業や団体で行うんです。先日岐阜のIT関係の会社で講演をしましたが、アルバム「Live in Tube」や「地下鉄のギタリスト」という本を、どうやってロンドンからネットを使用して、レコード会社や出版社と連絡を取り合い製作したかというお話をしました。皆さん面白がって聴いていただけましたよ。
他に老人ホームや保育園、病院などでの演奏や、個人宅にいって演奏することもあります。バーなどでBGM的に弾くこともありますね。ライブをメインにやりたいというギタリストも多いと思いますが、僕はそういうのはあまり好きではありません。

ーバスキングも人前での演奏ではありますが、ライブハウスなどの演奏とは随分違うようですね。

土門:ロンドンのバスキングでも見に来る人もいましたが、その人たちにじっと見られていると緊張しますね。おそらく性格なんでしょう。ストレスなく収入が得られるような演奏をするのがいいですね。

ー今後の予定は何かありますか。

土門:自然の中で演奏すると落ち着きます。滝の前だったり、川岸だったり… 先日禅寺の境内でライブがあったのですが、そこの庭園で鳥が鳴いたり水が流れたりする音も入ったり、ライブではありますが自然音がBGM的な演奏でした。

9月には水に関しての曲として、「The Water is Wide」坂本龍一さんの「Aqua」の2曲を、山形県庄内地方にある「丸池様」という神秘的な場所で演奏してみたいと思っています。別に収入になる訳ではないのですが、こういうのが楽しいですね。

ー活動そのものや考え方もかなり独特のようですね。

土門:ソロギターをやろうと思ってやった訳ではないからでしょうね。やらざるを得ないのでやってる、頼まれたからやってる、そんな状態です(笑)。
酔っ払いがいようが、BGMとして演奏をしたり、自分の好きな所にいって好きな曲を弾くといった、呑気な生活がしたいですね、あ、既にやってるか?(笑)。ストレスなくギターの演奏だけで一生過ごせたら、僕としては人生大成功です。有名になりたいとか、大会場で演奏したり、コンサートツアーをしたりとか、そういったものとは違う方向性だと思っています。

ー最後にギターファンにメッセージをお願いします。

土門:好きなようにすればいいと思います。好きな曲を聴いて好きな曲を弾いて、ライブをしたい人はチャレンジして、プレッシャーが苦手な人はそういうことはしなくてもいいんです。リラックスしてその人にあった聴き方、弾き方をしていけばいいと思います。周りから何か言われても、自分が一番心地よいやり方をすればよいのではないでしょうか。

【2016年8月東京都三鷹市や乃屋にて】
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土門秀明 http://blog.domon.co.uk

1964年山形県酒田市生まれ。
1986年から1990年バブルガムブラザースにギタリストとして参加。
2002年渡英。
2003年ロンドン地下鉄のバスキングライセンスを取得。
2006年「地下鉄のギタリスト Busking in London」を出版。
2011年アルバム「From The Underground」をリリース。
2012年ロンドン地下鉄構内で録音されたアルバム「Live in Tube」をリリース。
2012年3月帰国。
2013年TOKYOハンドクラフトギターフェスにゲスト出演。
2014年スペイン人シンガーSiraとのフルアルバム「DESTINE」をプロデュース。
2014年自然音とのコラボレーションアルバム「Busking in Sakata」をリリース。
2015年ビートルズソロギタートリビュートアルバム「While Solo Guitar Beatly Weeps」をプロデュース。
2016年庄内の水音と癒しの禅的ソロギターのコラボレーション、總光寺オリジナルCD「慕古-moko-」をリリース 。
Live in Tube
Live in Tube
NEW VINTAGE RECORDS (2012.1.25)
2,160円

1. Here,There and Everywhere
2. Too Much Love Will Kill You
3. Crane Girl(オリジナル)
4. Desperado
5. Heal The World
6. Your Song
7. Mogami River(オリジナル)
8. I’ve Never Been to Me
9. We Are All Alone
10. Adios-Rest in peace-(オリジナル)
11. Over The Rainbow

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From The Underground
From The Underground
1. Adios -Rest in Peace-(Mr.K氏追悼曲)
2. Crane Giri(鶴の恩返しイメージソング)
3. Walk To The Moon -Featuring Sira Garcias-(ロンドン地下鉄で出会ったスペイン人女性歌手との共作)
4. Mogami River(最上川イメージソング)
5. From The Underground(ロンドン地下鉄生録アナウンス入り)
6. God Save The Queen & 君が代(ライブバージョン)
7. 3fingers & 3 strings(3本の指と3本の弦のみで演奏)
8. Buskers(日本語ボーカルバージョン)
9. Never Forget(うつし絵「Mio」とのコラボレーション曲)
10. I Vow To Thee My Country ”ジュピター”(サウスケンジントン駅ピッチ1にてライブ録音)
ボーナストラック
11. Charing Cross(エレクトロニクオーケストラバージョン)

購入はdomon1964@hotmail.comまでお問い合わせください。
2,160円

While Solo Guitar Beatly Weeps
While Solo Guitar Beatly Weeps
Solo Guitar Records
2015/4/10発売
2,160円

1. I Saw Her Standing There (益田洋)
2. In My Life (南澤大介)
3. Octopus's Garden (浜田隆史)
4. While My Guitar Gently Weeps (yuta tanaka)
5. Help (城直樹)
6. Day Tripper (谷本光)
7. Strawberry Fields Forever (土門秀明)
8. WITHIN YOU WITHOUT YOU (告井延隆)
9. A Day In The Life (AKI)
10. Here, There and Everywhere (垂石雅俊)

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