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ギタリストインタビュー〜伊藤賢一
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ー今回録音にこだわっていますが、アマチュアギタリストが宅録する際のコツや注意点などありますか。

伊藤:録音はまず聴くことから始まると思います。自分がどのようなギターの音が好きなのかを知ることから始まります。そこから、先ほどの音決めが自ずと定まっていく。「録る」のが目的作業になってしまうと、なかなか先のレベルに進めないと思います。
あと、宅録であっても人にアドバイスを求めた方がいいです。自分だけで作業するのではなく、意見を求めた方がいいものができる可能性が高くなりますね。僕がそうでしたから。僕の場合は一人でやるよりもエンジニアの林さんとの作業で進めた方が良いものができると思ってるし、更に大屋さんのインプレッションもあってお互いが良いものには向かっていく中で深まっていくことができました。他の人の意見を聞いて、自分の意見も出し合えれば、いいものに向かっていく事ができると思います。基本的なコツとしては、プロセスを崩さないこと。音決めをしてから、録音に入り、ミックス段階で今回はコンプを使うのかとか、リヴァーブはどうするのかというところに入っていけば良い。順番を守ることは大事な事です。
僕は宅録を一度やろうとしましたがあきらめたんです(笑)。「海流」を録る前は今回は宅録をしようとして機材を選んだりしてたんです。そのタイミングで大屋さんのギターと出会い、大屋さんの工房の近くにあるレッドイグアナスタジオに連れていってもらい林さんと出会いました。その時に機材の質とその使いこなしを目の当たりにして、きっぱりあきらめました(笑)。僕にとっては宅録よりここで録った方が良いものができると確信しました。

ー機材はどのようなものがあればよいでしょうか。

伊藤:今はコンデンサーマイクは安くてある程度のレベルのものがたくさんあります。マイクのプリアンプは音の方向に応じて選びます。こういう機材にハマると大変ですけどね(笑)。一度買って使ってみるというのが一番いいです。買うというのはこちらも出費という痛みを伴うので、真剣に使うようになります。ギターでも機材でも同じですね。買った上で機材を使いこなそうとするのが大事ですね。プリアンプは自分の予算の中で一番良いものを購入する方がいいです。
勇気を出してプロユースのスタジオで録音してみるのもいいでしょう。どのようなことをやっているのかを知ると、とても刺激になります。
あとは店頭で機材を試奏できればいいですね。ネットだけで見るのではなく、楽器店で実機を見た方が良いと思います。機材の質感含め、実際見てから選ぶというのは結構重要なポイントです。
繰り返しますが、録音では音決めが一番先で、その後にどのような処理をしていくか、だと思います。芯を決めてから外側に目を向ける方が結局は作業が早いし方向にブレが出にくい。なので、ギターの音を録りたいのならば、リヴァーブやコンプのかけ録りは僕は反対です。まず録ってから、その素材にエフェクトをかけるかどうか決めた方が良いと思います。

ー今後はどのような予定がありますか。

伊藤:いろいろなユニットで活動していますが、年内はこのアルバムを持ってのツアーが中心となります。5月は北海道、その後は関西にも行きます。
来年からはヴィオラの三好紅さんとのユニット「Indigo Note」のアルバムを作りたいですね。小川さんとのデュオ「LAST TRAP」や田野崎文さん、三好紅さんとの「tri tonica」の活動もしていきます。
ハンマーダルシマーの小松崎健さんとのツアーも充実してますね。アルバムも作れたらいいですね。 前作と今作の間の5年間で一番変わったのは、いろいろな人とアンサンブルをするようになったことかもしれません。その影響はいろんな形でこのアルバムに表すことができたと思います。

ー最後にギターファンにメッセージをお願いします。

伊藤:僕は数ある楽器の中で、アコースティックギターの音が一番素晴らしいと思っています。アマチュアの方にもギターの鳴りやタッチをぐいぐい追求してもらいたいと思います。
そして、「良いギターの音」をどんどん聴いてほしいですね。このアルバムもそうですし、7月15日(土)に新宿初台の近江楽堂で行うリサイタルがあります。今回は伍々慧さんが出演してくれます。
ホールで生音で行うスティール弦アコースティックギターのコンサートはこのシリーズ以外ではほぼ無いと思うので、ぜひ体験してほしいですね。ギターがホールに鳴り渡る様子はとても充実していて美しいです。それを皆さんに楽しんでいただけたら、嬉しいです。

【2017年5月20日東京・伊藤賢一ギター教室にて】



伊藤賢一 ギター・リサイタル
7/15(土)東京・初台「近江楽堂」 
ゲスト:伍々慧
Open15:30 Start16:00
前売3,000円 当日3,500円
お問い合わせ http://kenichi-ito.com/cn6/index.html


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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
Another Frame
Another Frame
発売時期:2017年5月15日
販売価格:2,500円(税込)

1.Inner Medium
2.Carolan’s Ramble to Cashel (T.O'Carolan)
3.ハックルベリーの舟出
4.夜明けの街
5.カロスの朝
6.囚われの月
7.ソリチュード(Duo)
8.Jardin Secret(Jean Marie Raymond)
9.Sweet Bonnie Dickinson(Jean Marie Raymond)
10.おかえり
11.道のりのどこかで

販売サイト http://kenichi-ito.com/cn13/index.html











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