Acoustic Guitar World
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対談〜垂石雅俊&南澤大介
垂石雅俊氏のアルバム「カフェ日和~癒しのギターでくつろぎのひととき~」 のTAB譜付きスコアが12月に販売予定。このスコアの製作協力をした南澤大介氏と垂石氏の対談が実現、スコアのことだけでなく、お互いのルーツやこれまでの歩みも語っており、濃厚な対談となりました。
記事提供:垂石雅俊

TAB譜付きスコア「カフェ日和~癒しのギターでくつろぎのひととき~」よりサンプルとして「アメイジング・グレイス」のスコアのPDFファイルを提供いただきました。
解説もついていますので、ぜひダウンロードして取り組んでください。

http://www.aco-world.com/acoworld/vol91/AmazingGrace.pdf

Acoustic Guitar World vol.91電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード
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20世紀末のソロ・ギター・シーン

垂石:僕がいとこの影響で、突然降って湧いたようにギターを弾き始めたのが1990年頃。当初はエレキ・ギターを弾きたかったのですが、ギター教室に行ってクラシック・ギターを持たされて以降、1人で音楽が完結するソロ・ギターの魅力にハマってしまいました。

南澤:「1人で」っていうのは?

垂石:“リズム・メロディー・ハーモニー”が一人で表現できる事。多分、ピアノをやっていた感覚が残ったままギターに移行できたのだと思います。
とは言え中学生の頃、周りにそういう友達がいなかったのと、ネットも無いから情報集めに苦労しました。そんなアンプラグド・ブームが来る’90年頃辺りまでを補完する、日本ソロ・ギターの夜明けの話からお伺いしたいと思いまして。

垂石雅俊&南澤大介 南澤:’90年頃ですね。

垂石:新堀芸術学院で学んでいたので、クラシック・ギターの勉強には書籍や資料が多い環境だったのですが、ソロ・ギター界隈の情報は楽器屋さんに行くと中川イサトさん、打田十紀夫さんの本がギリギリあったぐらい。後に自分も大きく影響を受けましたが“ウィンダム・ヒル・レーベル”の情報にも辿り着けませんでした。

南澤:マイケル・ヘッジスが出てきた、“ヘッジス・ショック”の後ですもんね。

垂石:ウィンダム・ヒルを聴き始めた入口はジョージ・ウィンストンの“Autumn”とタック・アンドレスの“Reckless Precision”のアルバムでした。そこからイサトさんがライナーノートを書いていたウィンダム・ヒルのギター・コンピレーション・アルバム“Guitar Sampler”の再販CDを聴いたら、本アルバムでも登場する、アンドリュー・ヨークの名前がクレジットされ ていたのに驚いて。既にヨークの名前はクラシック・ギターの専門誌の“現代ギター”にも特集されていたので、あぁこんな世界があるのか!と。そこからソロ・ギター・アーティストへの憧憬が強くなりました。

マイケル・ヘッジス
マイケル・ヘッジス
1953年カリフォルニア州サクラメントで生まれ、 1980年代始めに、ウィリアム・アッカーマンによって見いだされてウィンダムヒル・レーベルとの契約を交わし、デビュー作『Breakfast in the Field』や、名作『Aerial Boundaries』で革新的な奏法によって、アコースティック・ギターの可能性を広げ、1997年12月3日、自動車事故による没後も、フィンガー・スタイルに大きな影響を及ぼしている。


南澤:当時の資料を見ると、リリースは1988年6月。 とすると垂石さんがお聞きになったのは、やはり再販のCDですね。ヘッジス・ショックのあとの’90年は意外と谷間の時代で。マイケル・ヘッジスが2枚目となる“Aerial Boundaries”をリリースしたのが’84年。来日していたのが86年あたり。’90年にリリースした“Taproot“になると、アコギ・ソロの楽曲が減っていく時期だから。

垂石:ヘッジスが来日して、南澤さんがギター・クリニックなどをお手伝いされていたのは、その’86年ですか?

南澤:そう、その頃は中川イサトさんや岡崎倫典さん、スチール弦のアコギ界隈の人はヘッジス・ショックで盛り上がっていたわけですね。で、盛り上がっている中、’87年にヘッジスはヴォーカル・アルバムをリリース。
すごいはスゴイんだけど、やっぱり“Aerial Boundaries”のような衝撃を欲していた人は「うーん…」って、なっていたのかなと思います。

垂石:ヘッジス・ショックがあった’80年半ば。そして’90年代の谷間の時代が訪れ、ヘッジスが’97年に亡くなって、少し落ち着いてきた頃にトミー・エマニュエルのソロ・アルバムが出たのが2000年頃。時代の変化を感じますね。

南澤:ちょうどヘッジス・フォロワーがいっぱい出て、特殊奏法系にみんな行っていた時期ですよね。オーソドックスなスタイルのギタリストが出るべくして出てきた、と言う感じなのかな。僕はその頃、全然アコギ界にタッチしていないので、実はよく分からないのです(笑)。

ウィンダム・ヒル・レーベルとの出会い
垂石:南澤さんの音楽の遍歴について聞かせてください。ウィンダム・ヒル・レーベルとの出会いなども。

南澤:高校の頃、勉強の時に流すBGMを探していて、言葉が邪魔になるので日本語の歌モノ以外、洋楽やインストを好んで聞いていました。当時NHK-FMの“軽音楽をあなたに”や、“クロスオーバーイレブン”など、FM雑誌の番組表で“ギター” って書いてある番組を重点的に端から聴いて、アール・クルーやラリー・コリエル、そして“ウィリアム・アッカーマン”に出会いました。

ウィリアム・アッカーマン
ウィリアム・アッカーマン
1949年生まれ、音楽プロデューサー、作曲家、ギタリストでウィンダム・ヒル・レコードの創始者。日本でも1980年代当時キャニオンレコードから同レーベルのアルバムが発売され、その叙情的で透明感のある、しっとりとした旋律が、このレーベルの特徴で、国 内でも圧倒的な支持層が存在し、癒し系ニューエイジ音楽の最高峰として君臨。ジョージ・ウィンストンやマイケル・ヘッジスなどのニューエイジ系アコースティック音楽を世に広めた。

垂石:受験勉強の嗜みでしたか。

南澤: 60分のカセット・テープにエア・チェックした音楽をいっぱいに入れておいて、それを聞きながら勉強してカセットが終わるとちょうど1時間。で、「じゃあ10分休もう」とか、そういうサイクルを作るためにも使っていましたね。“喜多郎” “姫神” “クスコ”とか。ギターにこだわらず、シンセサイザーを含んだインスト系を、ものすごく聴きましたね。

垂石:ヒーリング・ミュージック・シーンの祖みたいなライン・ナップですね。僕が聴いていた当時のFMでも、番組でCD1枚分、丸々紹介してくれましたもんね。買わなくてもいいぐらい(笑)。

南澤:そう、結構「こんなに放送していいのか」っていうぐらい流して。
番組をメタル・テープで録って、ダブル・カセットで曲だけ編集したりして。…若い人に通じるかな?(苦笑)
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プロフィール

垂石雅俊 http://masatoshi-taruishi.com

1977年2月18日生まれ。福島県出身。

2012年にキングレコードにてメジャーデビュー。ギタリスト・プロデューサー・アレンジャー・コンポーザー・CEOの顔を持つ。多数のレコードや著作のリリースをはじめ、「モーリス・フィンガーピッキング・ディ」の審査員や、自身がプロデュースするイベント「ギターカーニヴァル」のオーガナイザーなど、ギターにこだわった音世界を拡散中。

キングレコードより「カフェ日和 ~癒しのギターでくつろぎのひととき~」など、多数。著書に「弾きたい曲からはじめる!私のクラシックギターシリーズ」「ソロ・ギター練習帳」(リットーミュージック社刊)など。
そのたおやかなギターサウンドはTV、ラジオなど、多くの主要メディアでも用いられている。日本スイーツ協会認定のスイーツ・コンシュルジュでもある。

音楽教室ギターレ&エアストはコチラ http://www.saimusic.jp/


南澤大介 http://www.bsvmusic.com

1966年12月3日生まれ。
作・編曲家として、プラネタリウムや演劇、TVなどのサウンドトラック制作を中心に活動中。
近作に、NHK教育TV「しらべてゴー!」(作曲)、フジTV「ブザービート」(ギター演奏)など。
高校時代にギターの弾き語りをはじめ、のちソロ・ギター・スタイルの音楽に傾倒。
マイケル・ヘッジス、ウィリアム・アッカーマンら、ウィンダム・ヒル・レーベルのギタリストに多大な影響を受ける。
1992年、TVドラマ「愛という名のもとに」サウンドトラック(作曲:日向敏文)への参加が、プロ・ギタリストとしてのデビュー。
ギター1本でロックやポップスの名曲を演奏したCD付き楽譜集「ソロ・ギターのしらべ」シリーズが累計40万部を突破(2015年現在)し、楽譜としては異例のベストセラーを続けている。

TAB譜付スコア
「ソロ・ギター/カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
TAB譜付スコア 
「ソロ・ギター/カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
12月発売予定
価格:2,160円 楽譜: 112ページ
出版社:ドリームミュージックファクトリー

曲目
・虹の彼方に
・タイム・アフター・タイム
・ティアーズ・イン・ヘヴン
・マイ・フェイヴァリット・シングス
・追憶
・ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
・フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
・イエスタデイ・ワンス・モア
・アメイジング・グレイス
・サンバースト
・僕の歌は君の歌 (ユア・ソング)
・カヴァティーナ
・スペイン
・星に願いを
・ポートレイト

「アメイジング・グレイス」PDFファイル

http://www.aco-world.com/acoworld/vol91/AmazingGrace.pdf

Amazonで購入

垂石雅俊氏の通販サイトから予約の際はサイン本として販売予定
https://tarugitarre.thebase.in/
確定いたしましたら情報を更新いたします。

CD「カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
CD「カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
価格:1851円
発売日:2012/11/7 レーベル: キングレコード

1. 虹の彼方に(オーヴァー・ザ・レインボー)
2. タイム・アフター・タイム
3. ティアーズ・イン・ヘヴン
4. マイ・フェイヴァリット・シングス
5. 追憶
6. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
7. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
8. 宇宙飛行士
9. イエスタデイ・ワンス・モア
10. アメイジング・グレイス
11. サンバースト
12. タイム・トゥ・セイ・グッバイ
13. やさしく歌って
14. 僕の歌は君の歌(ユア・ソング)
15. カヴァティーナ
16. スペイン
17. 星に願いを

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