Acoustic Guitar World
ホーム インタビュー ニュース イベント 電子書籍 レビュー   無料メールマガジン
ソロギターアルバム“カフェ日和”の楽譜集発売を記念して、ギタリスト垂石雅俊氏、ディレクター夏目友平氏、エンジニア滝川博信氏による対談が行われました。アルバム作りに携わったチームによる、それぞれの立場からみた制作風景やエピソードはとてもユニークで有意義です。

記事提供:垂石雅俊

TAB譜付きスコア「カフェ日和~癒しのギターでくつろぎのひととき~」よりサンプルとして「アメイジング・グレイス」のスコアのPDFファイルを提供いただきました。
解説もついていますので、ぜひダウンロードして取り組んでください。

http://www.aco-world.com/acoworld/vol91/AmazingGrace.pdf

Acoustic Guitar World vol.92電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード
1 2 3 次のページ
ギター・アルバム“カフェ日和”の企画経緯

垂石:“ソロギター/カフェ日和”楽譜集の発刊を記念して、“カフェギター・シリーズ”の企画経緯をあらためてお伺いさせてください。

夏目:自分がディレクターになったらギター作品をいろいろ手掛けたいと思っていました。当時、キングレコードにはクラシック・ギターとかアコースティック・ギターの作品がほとんどなかったんです。そもそも“カフェギター・シリーズ”のスタートは単純で、自分はクラシック・ギターが大好きなのに、世の中ではまだまだクラシック・ギターやギター・ミュージックの認知度が低いので、そこに切り込みたいと思っていました。

垂石:レコーディング時に“サンバースト”を弾いた時、初めて聴いたというエンジニア・チームの皆さんにもウケが良かったのはうれしかったですよね。
スタジオ
夏目:どうしてもクローズドな情報が多くて、そこにメスを入れたかったんです。“サンバースト”で言えば作曲者のアンドリュー・ヨークにしても、弾き手のジョン・ウィリアムスにしても、良いギター・ミュージックが世界にいっぱいあるのに一般の認知度が圧倒的に低い。いかに世間的に、あるいはギターは弾いているけどクラシック・ギターは知らないと言う層に聴かせるか、認知度をどう高めるか、ですよね。いろいろな人の意見もあったけど、「カフェ」をキーワードにし、非常に分かりやすい切り口にして、誰もが知っているポピュラー・ソングをベースにクラシック・ギターの音、演奏、楽曲、果てはクラシック・ギターの作品を広げたいっていうコンセプトで企画しました。

垂石:ギター・ミュージックの啓蒙思想ですよね(笑)。企画書を頂いた当時の僕は、いろいろなスタイルのソロギターを学んだ後、ギタースクールを立ち上げたり、テキストの仕事を頂いたりしていました。リットーミュージックさんのご縁でお声掛け頂きましたよね。

夏目:リットーミュージック社の知り合いに「ナイロンもスチールも(クラギもアコギも)弾けて、アレンジができる人います?」って聞いたところ、垂石さんの名前が上がりました。初めて会った時に「あ、この人とだったら面白いこと出来そうだな」と思って、いよいよ企画のスタートになりました。

垂石:その頃の自分を育てて頂いたリットー鬼編集のN氏と、南澤さんにも本当に感謝しております!そんな経緯のカフェギター・シリーズ。選曲の意図や、こだわりなどをお願いできますか。
夏目友平(キングレコード/ ディレクター)
夏目:選曲基準は、とにかく「万人が知っている」事。自分が興味ない曲でも関係なく、メガヒット曲を優先して選んでいます。その中にギター好きや、ややマニアックな方が反応しそうな曲も少しだけ混ぜるという方法論。好きな曲をめがけて手にした方には「全然知らない曲が入っているな、何だろう?」って思って聴いてみたギター曲とかを「意外に良い曲じゃん!」って思わせてみたり。逆に「なんだよ、カフェとか言って、誰もが知っている曲ばかりだな」って思った人には、「おお、何?宇宙飛行士も入ってんの?」みたいな意外性で攻めたり。

垂石:アレンジしていても、レコーディングしていても、その変化球がやっぱり面白い! “サンバースト”とか、2作目で収録した“タンゴ・アン・スカイ”とか、そういうクラシック・ギターのスタンダード・ナンバーも多数録音しましたよね。

夏目:“カヴァティーナ”も、わりとクラシック・ギター寄りの楽曲だけども、やっぱり映画音楽。よりポピュラー音楽に近いという事で“サンバースト”も多分、理解してもらえるだろうと思い選曲したっていう経緯ですかね。 クラシック・ギター曲を違う側面からも見れる曲ですよね。収録曲の“スペイン”だって世間的にはチック・コリアのラテン・ジャズ寄りの曲だと思われているけど、イントロにはクラシック・ギター曲の名旋律、アランフェス協奏曲の第二楽章がしっかり入っている。ククラシック・ギタリストもビートルズは結構取り上げているし。そういう市民権は考え ましたね。

垂石:“カフェ日和”をリリースさせてもらってから多くの方に「楽譜が欲しい」と言われ、やっと今日に至りました。頂いたアレンジの注文もギターファンにはグッとくる所が多かったと確信しています。

夏目:“カフェ日和”では、ギターを学ぶと言った様な模範演奏などは全く意識しないでくださいって言っちゃいましたもんね。要するにギター弾き以外のユーザー、ギターを全く弾かないけどBGMとしてピアノを聴いたり、普通にギターの演奏を聴いたりする層にアピールしたいと。でもソロギターでインストゥルメンタルっていうと基本「飽きる」って言われちゃう事も多いじゃない?自分は全然飽きないけど(笑)。

垂石:ギター1本でアルバム1枚を通してヴァラエティに富んだ音色をちりばめる。名曲をベースにギターの魅力を引き出すという命題のアレンジは、本当に楽しくやりがいのある仕事でした。初めてお会いした際の「ハーモニクスを多用せよ」っていう注文が僕には“くさび”のように打ち込まれています(笑)。

夏目:飽きさせないアレンジというポイントが重要ですね。そしてギターの“ナチュラル・ハーモニクス”は、全くギターを知らない人にとってみたら「何?」って思う音色です。エレキ・ギターで言うと“ピッキング・ハーモニクス”を「あれ、なんてエフェクターですか?」って、弾き方なのに違う質問をしてしまう人がいるのと同じで(笑)。良い刺激を分かりやすく与えられる。もちろん“ストリング・ヒット”や“タンボーラ”、“トレモロ”などの特殊奏法もありますけど、ハーモニクスは結構インパクトが大きいと思っています。

垂石:弾いていても、聴いていても、ハーモニクスの音はやっぱり気持ち良い!名前のとおり、メロディの中にハーモニクスが出てきてもあんまり違和感がないように、ナチュラルにハーモニクスを響かせることは考えました。

夏目:弾き手にとっては難易度が上がりますね。根底にはやっぱり飽きの来ないアレンジを求めていたと思います。

1 2 3 次のページ

プロフィール

垂石雅俊 http://masatoshi-taruishi.com

1977年2月18日生まれ。福島県出身。

2012年にキングレコードにてメジャーデビュー。ギタリスト・プロデューサー・アレンジャー・コンポーザー・CEOの顔を持つ。多数のレコードや著作のリリースをはじめ、「モーリス・フィンガーピッキング・ディ」の審査員や、自身がプロデュースするイベント「ギターカーニヴァル」のオーガナイザーなど、ギターにこだわった音世界を拡散中。

キングレコードより「カフェ日和 ~癒しのギターでくつろぎのひととき~」など、多数。著書に「弾きたい曲からはじめる!私のクラシックギターシリーズ」「ソロ・ギター練習帳」(リットーミュージック社刊)など。
そのたおやかなギターサウンドはTV、ラジオなど、多くの主要メディアでも用いられている。日本スイーツ協会認定のスイーツ・コンシュルジュでもある。

音楽教室ギターレ&エアストはコチラ http://www.saimusic.jp/


夏目友平(キングレコード/ ディレクター)

1972年生まれ。千葉県出身、東京都在住。
中央大学法学部政治学科卒業。
1996年キングレコード入社。
名古屋支店営業職、本社J-POP宣伝班を経て、ストラテジックマーケティング本部に異動、販売促進業務に携わり、2012年よりディレクターを務める。
洋楽、邦楽、音楽ジャンルを問わず、ギター系作品を中心に制作業務を担当。
趣味はギター音楽探究、サッカー観戦、読書、飲み歩き、ラーメン巡りなど。


滝川博信(キング関口台スタジオ/ チーフ・エンジニア)

1970年生まれ。
横浜市出身。
横浜国立大学卒業後、1993年よりキングレコード録音部にてキャリアをスタート。
キングレコードのスタジオ部門の子会社化により、キング関口台スタジオへの転籍を経て、2016年より同スタジオのチーフ・エンジニアを務める。
膨大な作品のレコーディングに携わり、そのセッションはロック、ポップス、歌謡曲・演歌、クラシック、ジャズなど多岐にわたる。趣味はPC自作、野球観戦など。
TAB譜付スコア
「ソロ・ギター/カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
TAB譜付スコア 
「ソロ・ギター/カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
12月発売
価格:2,160円 楽譜: 112ページ
出版社:ドリームミュージックファクトリー

曲目
・虹の彼方に
・タイム・アフター・タイム
・ティアーズ・イン・ヘヴン
・マイ・フェイヴァリット・シングス
・追憶
・ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
・フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
・イエスタデイ・ワンス・モア
・アメイジング・グレイス
・サンバースト
・僕の歌は君の歌 (ユア・ソング)
・カヴァティーナ
・スペイン
・星に願いを
・ポートレイト

「アメイジング・グレイス」PDFファイル

http://www.aco-world.com/acoworld/vol91/AmazingGrace.pdf

Amazonで購入

垂石雅俊氏の通販サイトから予約の際はサイン本として販売予定
https://tarugitarre.thebase.in/
確定いたしましたら情報を更新いたします。

CD「カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
CD「カフェ日和」〜癒しのギターでくつろぎのひととき〜
価格:1851円
発売日:2012/11/7 レーベル: キングレコード

1. 虹の彼方に(オーヴァー・ザ・レインボー)
2. タイム・アフター・タイム
3. ティアーズ・イン・ヘヴン
4. マイ・フェイヴァリット・シングス
5. 追憶
6. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
7. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
8. 宇宙飛行士
9. イエスタデイ・ワンス・モア
10. アメイジング・グレイス
11. サンバースト
12. タイム・トゥ・セイ・グッバイ
13. やさしく歌って
14. 僕の歌は君の歌(ユア・ソング)
15. カヴァティーナ
16. スペイン
17. 星に願いを

Amazonで購入









Acoustic Guitar World

トップページ l インタビュー l ニュース l イベント l 電子書籍 l レビュー l EPUBについて l facebook l Twitter 
Acoustic Guitar World について Copyright © Acoustic Guitar World All Rights Reserved.