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テルイショウ
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ジストニア発症

ージストニアについてお聞きしたいと思います。発症したのは2011年でしたでしょうか。

テルイ:そうですね。2011年の後半に違和感を感じました。その時は何かはわかってなかったです。2012年のフィンガーピッキングデイの前に調子が悪かったので、練習量を増やしたら悪化しました。その時までは一定のフレーズを弾くと右手の親指が内側に入ってしまうという症状だったのですが、フィンガーピッキングデイの直前にはどの曲を弾いてもこの症状が出るようになってしまいました。それで、これはジストニアかなと思うようになりました。

ジストニアはフォームを変えようと思ったのがきっかけです。演奏の仕事があるので、その時は今までのフォームで弾いて、練習では新しいフォームで弾いていました。その繰り返しが脳にミスディレクションを起こすきっかけになったのではないかと思います。
何箇所も病院に行き、ジストニアの講習にも行きました。
最初は症状が悪くなっても演奏活動は続けていて、指が曲がらないように髪留めのピンを貼ったり、曲がるところに消しゴムをつけて止まるようにしたりしました。

ー症状としては親指が内側に入るだけだったのでしょうか。

テルイ:親指が内側に入ってしまい、人差し指が伸びるようになりました。親指にピックを貼りつけて、小指も使いながら弾いたりもしましたね。2012年は演奏を続けていたら悪化してきたので、2013年に入り リハビリを開始しました。フェルデンクライスという身体法を取り入れてよくなったという話を聞き、自分に合うと思ったのでギターを弾かずにフェルデンクライスをやりつつ、リハビリに取り組みました。人によって症状が違うので、自分で方法を見つけてやらないといけないのですが、この地道な動きが良い方向に向かっているのか、悪化を進行させているのかわからず、辛くなりやめてしまいました。これは物事を強い気持ちで信じ続けられる人でないと続けられないと思いました。そこで定位脳手術を受けることを決め、2014年の6月に手術しました。

ー手術はうまくいったのでしょうか。

テルイ:うまくいきました。痛み止めを頭の4箇所に打って、金型のようなものをはめます。その状態でMRIなどを撮り、その後手術台に乗って左の前頭部をドリルで開けるのですが、この音がえげつなかったです(笑)。局所麻酔で意識があるので。ボコっと貫通した時に脳まで刺さらずに生きてるなと思いました(笑)。手術台の上でギターを弾きながら、最初は低い温度で神経を焼いていきます。悪さをしている神経のところにくると親指が外側に出てくるんです。そのポイントを高い温度で焼き切ります。9割方親指が外側に出たので、そこで止めました。これ以上やると後遺症が残るなどの可能性があるそうです。その後穴を開けた部分をセラミックで塞ぎました。

ーギターを弾きながらでないと、どの神経に問題があるかわからないんですね。

テルイ:そうですね。症状を見ながら焼くんです。低温で焼いたところは悪さをしていた神経でないのもあり、言語を司るものもあったので、手術後3ヶ月くらいは言葉がうまく出てきませんでした。閃いた言葉を言いたいのですが、候補の三番目くらいを出してしまうんです。未だにそれは少しありますね。
ギターもすごく下手になっていて、ストロークもうまくできませんでした。指がうまく動かなかったり、リズムがとれないんです。しばらく練習してだいぶ良くはなったのですが、前より親指の角度が内側は入っているので、このままだとうまくいかないと思いフォームを変えました。そこからが長かったですね。元々フォームを変えようとしたのがきっかけでジストニアになったので、すごく慎重になりました。新しいフォームでしか弾かないようにして、少しでも違和感があったら1,2日休むようにしました。2014年6月に手術をして2015年にフォームチェンジをして、復帰のライブをしたのが2016年の春です。1年半くらいフォームチェンジに時間がかかりましたね。

ーギターを弾く以外には生活に支障がなかったのでしょうか。

テルイ:身体は元気なので、野球チームに参加してましたね(笑)。最後の方は悪化して、文字を書くのも難しくなりました。それは未だに症状が少しでます。

ージストニアの原因は同じ動きを繰り返すというのが大きいでしょうか。

テルイ:それももちろんあると思いますが、僕のようにフォームを変えようとして、新しいフォームと前のフォームが混在したり、ギタリストがウクレレを弾き始めると親指の動きが違ったりするので原因となる場合もあるようです。近いけれども違う動きを繰り返すと影響があるように思えます。

ー例えばギターを始めたばかりで毎日8,9時間弾き続けるという話をよく聞きますが、このケースとは異なるようですね。

テルイ:違うでしょうね。積み重ねと違う動きをする方がジストニアになりやすいと思いますが、そうでない人ももちろんいます。

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プロフィール

テルイショウ http://tellshow.net

16才でエレギターを手にし、バンド活動を行い武蔵野音楽学院にてエレキギターを清水義文氏に師事、ジャズフュージョンの影響を受ける。
その後クラシックギターを鈴木憲一郎氏に師事。
1993年アップル音楽学院で講師活動を開始してから、専門学校東京ミュージック&メディアアーツ尚美、上福岡音楽スタジオ、 ヤマノミュージックサロン柏、今も務めるテルイショウGUITAR SCHOOL、ヤマハユニスタイル所沢などでのべ200人以上の生徒を指導。
モリダイラ楽器主催フィンガーピッキングコンテストにて全国決勝大会7年連続出場、2011年楽曲賞受賞。
映画館のCMソングなどを手懸ける作編曲家、ギタリスト、ギター講師、東京都公認ストリートミュージシャン『ヘブンアーティスト』 として活躍する最中、2011年後半にフォーカルジストニアを発症。
2014年6月定位脳手術をうける。
2016年4月復活ライブを行い演奏活動に復帰。
ヒカリのむこうへ
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2011/2/26発売
2,000円

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