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 ーデスメタルが好きとのことですが、昔からだったのでしょうか。 田部井：デスメタルは割りと後から聴いたんです。最初はメタルも聴いちゃいけない音楽だと思ってました(笑)。クラシックばかり聴いていたのが、変な足かせになっていたんです。歌心がなさそうとか思ってましたね。でもサウンドがとても良いと思っていて、やはりきちんと聴かなければいけないのではないかと思ったのが2001年頃です。 たまたまラジオのDJが、若いミュージシャンは音楽を聴かない、という話をしていました。自分の中の個性があるから聴きません、と言うのですが、そういうのに限ってロクな曲を作っていない、と言っていましたね。 自分は聴くのが好きなのに、メタルを聴いてはいけないのではないかという変なブレーキをかけていて、メタルがいいと思っていても聴き漁っていないと思ったんです。 この時期はちょうど兄と妹と3人でバンドをやり始めた頃で、ライブの帰りに御茶ノ水のディスクユニオンのヘヴィメタル館というところに行きました。ここから、どんどんメタルを聴くようになりましたね。最初はメロディアスなメタルを聴いてました。 このディスクユニオンは3Fがデスメタルフロアで、デスメタルばかりがかかっていたのですが、ここは怖くて入れないと思いました(笑)。 しかし、ある時ギターの先生をしている友人(谷島崇徳)がデスメタルが好きということで、「モービッド・エンジェル」というフロリダのデスメタルのCDをかけたんです。歌詞がかなり深遠でヤバイんです(笑)。 デス声でメロディはないのですが、リズムがしっかりしてました。これはデスメタルも聴かなければいけないのでは、と、いけない扉を開いてしまいました(笑)。薦めた友人も、私がここまでデスメタルにはまるとは思ってなかったようです。2006年頃のことですね。 ー自分の音楽にも変化がでてきましたか。 田部井：デスメタルが好きでも演奏する音楽は違うので、割り切ることが大事だと思っています。以前はアコギにエフェクターをつなげて歪ませたりもしたのですが、やはり違うなと思いました。面白いライブというのを意識するので、メンバー紹介の時に激しくやることはありますね。デス的なものをアコースティックなサウンドにして、少しでもデスメタルの窓口なれればいいと思っています。 ーギターは独学だったのでしょうか。 田部井：はい。中学生の頃に布袋寅泰や筋肉少女帯、聖飢魔IIの耳コピをしました。デスメタルの前はスティーブ・ヴァイやヌーノ・ベッテンコート好きで、その後グレッグ・ハウが好きになりました。トニー・マカパインも好きですね。 自分はメカニカルな練習が嫌いなんです。1日8時間以上練習しなければ覚えられないようなものはやる気になれません。あと、エレキギターのサウンドはおいそれと手が出なかったんです。アコギの方が気持ちのいい音色が出しやすかったですね。エレキでやろうとすると機材のセンスも必要です。そこに向かう根性がなかったのですが(笑)。 中学生の時にギタリストのDr.シーゲル(成毛滋)の教則ビデオで、手首ぐらぐら奏法というのがありました。それができなかったんですね。これを体得しなければ何もできない、ということだったのですが、できなかったのであきらめてしまいました(笑)。 自分の録音を聴いた時に、アコギの方がうまく聴こえました。エレキだとなぜか下手なのがすぐわかるんですね。ディストーションサウンドほど繊細なものはないと思っているので、エレキを弾くことから遠ざかりました。 ーギターはナイロン弦を使用されていますね。以前からなのでしょうか。 田部井：そうですね。鉄弦は馴染みません。ナイロン弦で影響を受けたのは、アンドレス・セゴビアが家で流れていたのでよく聴いてました。ジョン・ウィリアムスのコンサートも行きましたね。クラシック曲は聴くのは好きですが、ほとんど弾いてません。いいなと思った曲を数曲耳コピはしましたね。 バンドでは兄が抜けて妹と二人になった時に、ボサノバギターのホメロ・ルバンボの教則ビデオで勉強したのですが、それが今でも自分の基準になっています。メカニカルフレーズ的な練習をしなくてもコードワークの練習ができました。コードワークの旨味というのがボサノバには詰まっています。自分に向いているものがたくさんあったんですね。 ただ、今でも練習時間をどうやって確保しようかと思ってます。昼間は弾けますが、深夜は音が響いてしまうのでエレキギターをアンプを通さず弾いています。あと、家柄を意識するあまり実家では練習してるところ見られたくないし、聞かれたくないテイタラクが染み付いてしまっています(笑)。コーヒーとデスメタルが自分の大部分を占めていて、ギター愛好家から見ると残念な性格です(笑)。 |
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田部井泰和
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1stアルバム「ゆく」 |
発売時期：2016年9月 |
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