Acoustic Guitar World
ホーム インタビュー ニュース イベント 電子書籍 レビュー  
ギタリストインタビュー〜住出勝則
前のページ 1 2 3 4 次のページ
ー聴く側にハードルを上げないでくれと(笑)。

住出:いえ、ハードルは上げて当然です。でも、もう僕は年齢的、経験的に勘違いしませんが、若い人はチヤホヤされると勘違いするじゃないですか。周り、特に世界にはうまいのがいくらでもいるのに。僕は常に自分でいられるアーティストでいたいですね。
今年は久しぶりに海外3ヶ国に行きましたが、いい勉強になりました。観客が圧倒的に若いですね。主力は20代で、10代も多いです。日本ではなかなかないですね。若いギタリストには相応の若いお客さんがいるのでしょうが。シンガポールは幅広い世代でしたが、台湾、マレーシアは若かったですね。若くてギターが好きというのはうれしいですね。未来があるから。

ーアジアでソロギターが流行ってきているのでしょうか。

住出:今回主催のホワン・チアウェイ氏によると、チョン・スンハくんが行くと1000から2000人、特にインドネシアでは爆発的な人気があるようです。アジアではスンハくん(17歳!)がすごく人気がありますね。日本では海外から来てもなかなか入りません。トミーでも他の国と比べるとかなり少ないですね。それだけ日本のマーケットがこういう音楽に向かないということでしょうか? 10年前よりは随分よくなってると思いますけどね。認知度や動員面ではまだまだです。自分の音楽のレベルを下げずに、そして音楽的にも媚びないでお客様に来てもらうというのは難しいですね。わかりやすいギター音楽もたくさんありますが、僕がやる必要はないんです。僕よりも長けた人はたくさんいるし、そういうのもアイデンティティに関係してきます。なぜかというと、僕は歌をやっていた時にすごくフラフラしていたんです。メジャーレーベルにいたので、周りはヒット曲の話ばかりです。誰かがヒット曲を出すと、こういう感じがいいのかな、とかだったので、それこそお前は誰やねん、と言われたら答えられないようなことばかりやってました。メジャーにいると、やってる以上は売れたい(売れなければいけない)というのがあります。今はどこかに所属している訳ではなく、自分でやりたいことだけ突っ走ってやってます。でも、もう少しソロギターに関心をよせてほしいですね。もう一人くらい若い人がメジャーで出てくれるといいんでしょうね。あと女の子もいいでしょうね。アイドルみたいな女の子がめちゃくちゃギターがうまいみたいな。こういうジャンルがあるんだということを知ってもらえればいいですよね。僕らがやってる音楽はマニアックですが、そこには他にはない個性があると思います。


■レコーディングの最中でも次のアルバムのことを考えていたりします

ーニューアルバムについておうかがいしたいと思います。これまで年に1枚必ずアルバムをリリースしてきましたね。

住出:そうですね。いちばんの理由は、売れようが売れまいが、自分に課していかないと怠けてしまうからです。頭の中にうごめいているアイデアを形にしないと自分としては収まりません。レコーディングの最中でも次のアルバムのことを考えていたりします。こういう創造力の火は消したくないんです。
今回リリースした「Back to Basics」をスタンダードチューニングでいくということは随分前から決めていました。当初は13曲だったのですが2曲カヴァーを追加して、1曲だけ変則チューニングを使ってますが、14曲がスタンダードです。15周年と区切りがいいので、いったんスタート台であったスタンダードチューニングに戻りたいという気分ですね。スタンダードの魅力というか、スタンダードチューニングを考えた人に拍手を送りたいくらい、よく考えられたチューニングですからね。 今回はメロディがしっかりとしてわかりやすい曲を選んでいます。難しい速い曲でもメロディがきちっと見えてくるというのが理想だと思っています。

ーカヴァーを3曲入れているのですね。

住出:「蘇州夜曲」をライブで演奏すると喜んでくれる人が多く、アルバムに入れてほしいという声が多くありました。上田正樹さんの「悲しい色やね」は「House Of Hits」というアルバムに収録していますが、その時は変則チューニングでした。今回はスタンダードチューニングで全然違うアレンジになっています。これもアルバムに入れてほしいという声が多かったですね。あとは、「The Water Is Wide」です。

ー今回はいろいろなギターで収録したようですね。

住出:5本使っています。今回のアルバムはドルフィンギターズさんのレーベルから出ているのですが、いろいろギターを使わせてもらいました。ガットギターも2曲で使っています。自分のものではないギターを使うというのは結構大変なことでした。スタジオに行って初めて使うギターなので、使い慣れていないんですね。弦高などはこれくらいで、と事前に伝えていますが、弦もコーティング弦ではなく、普通の弦を使っていて、1曲1曲替えています。スケールやネックの幅がそれぞれ微妙に違っています。コンマ数ミリの違いなのですが、弾きづらさなども出てしまうんですね。でも曲調に応じたギターを選んでいます。オールマイティなギターではあるのですが、このギターはバラードの方が冴えるなとかありましたね。聴いていただければ違いがわかると思います。

【使用ギター】
Jack Spira
Kronbauer
Keystone
SUGI CRAFT Nougat
ZUCQ Giulietta(ナイロン弦)

ーこれまでガットギターを使われたこともありますか。

住出:はい。「Good Company」で使っています。普段まったく弾いていないので弾きづらいですけどね(笑)。
前のページ 1 2 3 4 次のページ


【New Album】
Back To Basics

Back to Basic

1.Say The Word
2.Too Hot To Handle
3.A Night To Remember
4.Am I Blue
5.Massa Nova
6.The Water Is Wide
7.Happy Heart
8.Short Short Story
9.Will You Be Mine?
10.Close Your Eyes
11.Missing You
12.Make It Funky
13.Live It Up
14.悲しい色やね
15.蘇州夜曲

2014年5月24日発売
日本録音/K-Dol
¥3,000(税込み)


ドルフィンギターズ ショッピングサイト

住出勝則 http://www.masasumide.com/

1956年 京都府生まれ。
1974年フォークグループ「シグナル」に参加、翌年「20歳のめぐり逢い」でデビュー、1983年の解散までシングル14枚、アルバム7枚をリリース。
その後、武田鉄矢、谷村新司らのサポートをこなす。
1996年オーストラリアに移住、ソロギタリストとしての活動を始める。
1999年初のソロギターアルバム「TREADIN' EASY」をリリース。
2002年帰国、日本を拠点にソロ活動を始め、毎年アルバムをリリースしながら、2011年には滝ともはる、矢沢透と「HUKUROH」を結成、ソロ、バンドとも精力的に活動中。

プロフィールの詳細はこちら