Acoustic Guitar World
ホーム インタビュー ニュース イベント 連載 レビュー 電子書籍   無料メルマガ
連載
LAST GUITAR
sign-pole records


無料メールマガジン

特集記事逆瀬川剛史
ジョージ・ローデン & 小川倫生TARO & JORDANギタリストインタビュー〜さらさギタリストインタビュー〜Justin Kingギター製作家インタビュー〜Jack Spiraギタリストインタビュー〜GIN木村大ソロギターの日スペシャルコンサート2015エバラ健太竹内いちろギタリストインタビュー〜伊藤祥平ギタリストインタビュー〜吉川忠英ギタリストインタビュー〜下山亮平ソロギターコンサート Dramatic!!ギタリストインタビュー〜塚本浩哉ギタリストインタビュー〜小沼ようすけ
ギタリストインタビュー〜ギタリストインタビュー〜Antoine Dufourギタリストインタビュー〜okapiソロギターコンサート+ Song & Guitarギタリストインタビュー〜住出勝則ギタリストインタビュー〜矢後憲太ギタリストインタビュー〜小松原俊
ギタリストインタビュー〜AKI-CHUギタリストインタビュー〜Shohei Toyoda
伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


第3回 この一枚を聴く エスタンピ(グラハム・デリック主宰)「緑の森の木陰でー森にまつわる世俗音楽集」

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤賢一です。
全国的に梅雨明けし、酷暑の日々が続きます。体調の管理とともにギターのケアも毎日行ってください。
・温度湿度の管理
・毎日ケースにしまう
・汗を拭き取る
これだけで、コンディション維持にはかなり有効です。特に、温度湿度を管理できない時間帯のある部屋にギターを出しておくのは危険です!
愛器とともに、この夏を乗り切りましょう。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

緑の森の木陰でー森にまつわる世俗音楽集

私の大好きな古楽から珠玉の一枚を紹介したい。
グラハム・デリック率いるアンサンブル「エスタンピ」の演奏で「緑の森の木陰で~森にまつわる世俗音楽集」。
全28曲。古楽らしい文語調タイトルを28曲も一覧すると、つい近寄りがたく感じてしまうが、素朴で素直な構成の楽曲で誰でも楽しめる内容だ。短い曲も多い。

ロビンフッドにまつわる曲が中心となっていて、どれも魅力的な、英国らしいメロディを堪能できる。
中世音楽というと、どうしても「私にはよくわからない」と感じてしまうもの。確かに宗教曲などは何声部にも描き分けられて、組み上げられた建築物の如くの威容を持つ。そうしたものが難解なのは頷けるが、この盤のような世俗音楽ならば現代人にもすんなり入っていけるカテゴリーだと思う。「中世」とひとくくりに避けずに、こうした魅力的な盤の価値を、音楽ファンともっと分かち合いたいものだ。

個人的なハイライトは、かの有名な「グリーン・スリーブス」(歌付き)。この曲はそれこそ星の数ほど録音されているが、私は未だにこのバージョンが一番好きだ。奇をてらわない和声進行、熱さと冷静さのバランスの取れた歌唱、素朴だが充分にドラマティックな器楽伴奏。はっきり言って上手い人達ではないと思うが、音楽を掴んでいる演奏だと思う。私は作曲に行き詰まったときに、よくこのバージョンを聴く。自分が何を大事に思っているか、確認できる気がするのだ。

もう一つは「ロビン・フッドと短衣の修道士」。作者不詳のこの曲、最高にチャーミングな楽曲だと思う。リコーダーの間奏がまた、上手くはないが味がある。

音楽は、特に器楽演奏は、名人芸を見せる側面もたしかにある。
しかし私が好きな音楽には、名人芸と感じるものはほとんど無いかもしれない。
いや、名人芸と感じさせないのも名人芸なのか。この盤のような音楽も、それに類するものに感じる。どこまでも素朴で、人間味のある、隙間のある音楽。
私のギター音楽も、この風合いを出していきたいといつも意識している。

編成は女性ボーカルと、リュート、リコーダー、フィドル、各種打楽器、クルムホルンなどなど。
プログレが好きな方、ZABADAKの音楽が好きな方、アコースティックな編成が大好物な方に特にお薦めしたい、珠玉の一枚である。


伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏 TOP へ



伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。

伊藤賢一

【2019年8月1日】

Acoustic Guitar World

トップページ l インタビュー l ニュース l イベント l 電子書籍 l レビュー l EPUBについて l facebook l Twitter 
Acoustic Guitar World について Copyright © Acoustic Guitar World All Rights Reserved.