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伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


第21回 この一枚を聴く Folkal Point「Folkal Point」

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤賢一です。
今回は1971年にリリースされたという超レア盤「Folkal Point」フォーカル・ポイントをご紹介します。

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私の愛読書のひとつに、「ラビリンス~英国フォーク/ロックの迷宮」というカタログがあります。
英国音楽の名盤レア盤を、テーマごとに紹介されている内容。美しいジャケットと共にひとひねりある寸評を楽しめる名著です。
私はこの本でヤンシス・ハーヴェイやヘロンやフランキー・アームストロングやウォーターソンズの音楽に出会えたのでした。
中には未だCD化されていない盤もあったりして、気になった盤を検索してはUKのサイトで入手したりしてました。まさに名作への手引書ですね。

その本に「極め付けのレア盤」として掲載されていたのが、当時10代の4人組だったというFolkal Pointのアルバム「Folkal Point」。
なにしろ全世界で自主制作の500枚しか流通しなかったという・・・ しかもここで寸評してる人も聴いた事がないらしい。聴いた事ないのに紹介してる とは!

女性ヴォーカルの清々しい、フォーキーの名作ということ。曲目はカバーが多いですね。
ジョニ・ミッチェルの「サークル・ゲーム」や、ジョーン・バエズの「スウィート・サー・ガラハッド」、ジョン・レンボーンもやってる「ナショナル・セブン」 などなど、名曲ばかりではありませんか。
チェックしていたが2011年の3月初頭だったのですが、なんといつの間にかCD化されていた!というわけで即注文したのです。

そして3/11。
大震災の日です。私の家もガスが止まり、一時的に停電し、暗い夜を過ごしていたところで、なんと宅急便がやってきたのです。
こんな時にも働いているとは・・というかあなたこれから家に帰れますか?本当に 頭が下がる思いで受け取ると、中身は注文していたFolkal PointのCDでした。多 分一生忘れられない出来事です。

さて内容ですが、歌も演奏も、当時10代のユニットとは思えないほど上手く、アレンジセンスも素晴らしいのですが、いかんせん音がめちゃくちゃ悪い。”聴けない”ほどではないのですが、リバーブ処理もマイキングも非常に素人くさく、内容に 見合ってません。これはもったいないです。
もしかしたらマスターは良い音なのかもしれませんが、このリバーブ処理を聴くとその望みも薄い気がします。
白眉は前述の「スウィート・サー・ガラハッド」ですね。バエズのバーションより疾走感があり、達者なスリーフィンガー・プレイを聴くとワクワクします。ワンパ ターンにならずベースの動きも効いているし、おかずもハンマリングとプリングの美味しい成分を持っていて、これはギター弾きならコピーしてほしい名プレイのひとつですね。

全体的には素晴らしい楽曲群を清涼感あるれる女性ヴォーカルと達者なギターで堪能できる、やはり名作だと思います。
ぜひチェックしてみてください!

FOLKAL POINT







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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。

伊藤賢一

【2021年2月2日】

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