Acoustic Guitar World
ホーム インタビュー ニュース イベント 連載 レビュー 電子書籍   無料メルマガ
連載
LAST GUITAR
sign-pole records

特集記事
山本哲也 龍藏ryuzo 矢後憲太 まるやまたつや逆瀬川剛史
ジョージ・ローデン & 小川倫生TARO & JORDANギタリストインタビュー〜さらさギタリストインタビュー〜Justin Kingギター製作家インタビュー〜Jack Spiraギタリストインタビュー〜GIN木村大ソロギターの日スペシャルコンサート2015エバラ健太竹内いちろギタリストインタビュー〜伊藤祥平ギタリストインタビュー〜吉川忠英ギタリストインタビュー〜下山亮平ソロギターコンサート Dramatic!!ギタリストインタビュー〜塚本浩哉ギタリストインタビュー〜小沼ようすけ
ギタリストインタビュー〜ギタリストインタビュー〜Antoine Dufourギタリストインタビュー〜okapiソロギターコンサート+ Song & Guitarギタリストインタビュー〜住出勝則ギタリストインタビュー〜矢後憲太ギタリストインタビュー〜小松原俊
ギタリストインタビュー〜AKI-CHUギタリストインタビュー〜Shohei Toyoda
伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


第35回 この一枚を聴く パーヴォ・ベルグルンド指揮:ヨーロッパ室内管弦楽団 「ブラームス交響曲全集」

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤 賢一です。
今回はクラシックを楽しみたいと思います。ブラームスのちょっと変わった交響曲 全集をご紹介します。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

ギターを愛する方にとって、クラシック音楽は取っ付きにくいものかもしれません。
一番の理由は音楽の授業の原体験かもしれません。
学校では、伝統のある、きっちりした音楽を紹介する場面が多いものです。僕も高校の授業でオペラの映像を延々と見させられて相当苦痛だったのを覚えています。
ギターを選ぶ人はもちろん音楽が好きだと思いますが、そういう由緒ある音楽”以外の”音楽を愛する人が大多数なのではないでしょうか。

細かく分析すると「曲が長い」「タイトルが複雑」など、取っ付きにくい理由は色々とあると思いますが、「サウンドが厚すぎる」(と感じる)のも大きな理由だ と思います。ギターの活躍する音楽は比較的1人1パートの音楽で、1人ずつの合奏を楽しいと感じている場合がほとんどです。それに加えてオーケストラは弦セクション1パートに10人いたりするのはザラなのでどうしてもダイレクトさを感じにくい。

私は中学の時にベートーヴェンの交響曲にハマったのでそこに対してのアレルギーは無いのですが、以後色々な人との会話の中でサウンドに対する嗜好はかなりの割合を占めているのではと感じるようになりました。

さてそれを踏まえて今回ご紹介するブラームス。
ブラームスにしては非常に珍しい、小編成のオーケストラによる全集です。
小編成といっても古楽器アンサンブルではなく、モダン楽器の性能を十分活かしているのも魅力です。

ブラームスの交響曲というと、ロマンティックで重厚という第一印象があると思いますが、それに加えて「合奏が楽しい」という特長もあります。つまりオーケストレーションが緻密で聴き応えがあるんですね。またその緻密さは、大編成オケではなかなかダイレクトに感じにくいものです。
この全集は、少数精鋭とも言える編成で、よくある”主旋偏重”的なバランスではなく木管や内声もよく聴こえます。実はこのバランスこそ、ブラームスの持ち味である、内声が充実したオーケストレーションを実現しやすいのです。

個人的には4番で溜飲を下げました。
過去の名演は泣きのフレーズを立たせるものが多く、あまり好きではなかった同曲ですが、この演奏を知ってからは愛聴するようになりました。
特にフィナーレ(第4楽章)のような変奏曲では、内声がぼやけずに聴こえることは重要です。変奏曲は和声が展開しないので、主旋律(のように聴こえるパート)に偏るとどうしても”くどく”なります。このオケの透明感は素晴らしく、弦が合いの手に回った時の生々しい質感が最高です。

ブラームスは生涯で4曲残しましたが、どれも名曲です。
私は2番と3番が好きなのですが、人気があるのは1番と4番。このように人によって好みが分かれる4曲であり、全集を手にして聴き比べるのはとても楽しいものです。

小編成オケの機能を活かしたブラームス。
プログレや長尺なハードロックが好きな人ならば、こういう楽しさは馴染みがあるはずです。
ぜひ一度、手に取ってみてください。

管弦楽団 「ブラームス交響曲全集







伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏 TOP へ



伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。

伊藤賢一

【2022年4月1日】

Acoustic Guitar World

トップページ l インタビュー l ニュース l イベント l 電子書籍 l レビュー l EPUBについて l facebook l Twitter 
Acoustic Guitar World について Copyright © Acoustic Guitar World All Rights Reserved.