第63回 ライブ日記 2024.4.20 小川倫生・山本哲也・伊藤賢一 3manライブ
アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤 賢一です。
私は年に100回前後ライブを行います。そんな生活を続けて20年超。 印象に残ったライブを少しずつ、つらつら記していこうと思います。ゆるりとお付 き合いください。
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小川倫生さんとは2002年から20年以上の付き合いです。年齢が近いこともあり(小川さんが私より1学年上)、よくつるみました。さんざん一緒にライブもツアーもして、ユニットでアルバムも作り、楽しい時間を共にした親友です。
私は、相方であると同時に、小川さんのファンです。彼の演奏は伝統と革新を同時に提示されるような感覚になります。ボーダーレスでありながら全てが”小川倫生”に集約される音楽の凄み。今までも充分に肌で感じてきましたが、未だ底知れぬ沼のような男です。ここ数年、ご家族の事情もありツアーを共にする事は無くなってい ましたが、今年から少しずつまた共演しようと話しているところです。
山本哲也さんとは2018年くらいからご一緒するようになりました。アイリッシュを基調とした彼の音楽は、これまた底知れぬ人間の業や希望の光を感じさせるもので、彼もまた、”山本哲也”でしかあり得ない、音楽世界を持つ男です。彼の音への眼差しは鋭く、音の粒を放ちながら、空間に大きな構造物を生み出していく様は、まるで彫刻家のようです。コロナ禍の2020~2022年は本当によく一緒にライブしました。人間としても気さくで優しく、強い芯を持ち、心から信頼できるミュージ シャンです。私は彼に会うたびに話していました。「いつか小川さんとライブしてほしい」と。私にとっては絶対に会ってほしい2人でした。
ようやく2人の共演が叶ったのが2023年秋。 意気投合し刺激を受けあった様子が伝わってきて、とても気持ちが湧き立ちまし た。
そして今年4月、山本哲也さんとの関東ツアー企画の中で、小川さんも加えての3manが実現しました。
会場は北越谷のおーるどタイム。 せっかくの際立った個性が集まることもあり、PAを使わない選択をしました。
もう会場入りから話が止まらなくて笑いっぱなし。
何の話をしたのかはよく覚えてませんが、たいした話ではないのになぜこんな笑えるのか・・
もう今日はこの3人でいることを噛みしめるだけでいいなと思ったのでした。
それぞれのソロは、演奏もMCもらしさ全開で聴きごたえあるステージでした。
アンコールはスコットランドのトラッド「ジョック・オ・ヘイゼルディーン」
この曲は小川さんとのアルバム「LAST TRAP」で、最初にレコーディングした思い出深い曲です。
2014年、大分県別府市から愛知県一宮市のDenpo-Gスタジオまで901kmを運転し、録音を開始したのは21時すぎ。ロングツアーからのロングドライブ、そして深夜のレコーディング。本当に転がる石のような大変な日でした。
冒頭の小川さんの一音でその瞬間がフラッシュバックしてしまい、不覚にも泣きそうになってしまいました。
かたや哲也さんは悠久な時の流れを描くかのようなバッキングを刻みつけ、そのコントラストにも感動して感情が追いつきません。
ああこれが音楽だな、と深い確信を得たライブとなりました。
写真は終演後の3人の様子です。この日のライブが集約されたような大好きな写真です。
また絶対やりましょう!
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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com
1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。
【2024年9月2日】
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