第67回 ライブ日記 2024.11.17 小川倫生・伊藤賢一 ツアー最終日Denpo-G
アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤賢一です。
新年最初の記事ですが、2024年を振り返って印象的だった11/17のライブをご報告させていただきます。
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今回のツアーは、ギタリスト小川倫生さんとの7年ぶりとなる遠征であり、日程が決まってからずっと心待ちにしていたツアーでした
愛知県での3daysという小さなツアーではありますが、気合い充分。良いものにする自信もみなぎっていました。
それが最終日の出演が危ぶまれる事態になるとは、往路では想像もしていませんでした。
風邪の治りかけであることは自覚していました。
咳は30分に一度程度。その時に鼻水も出るというサイクルで、小川さんには心配ご迷惑をかけてしまいましたが、熱もなく治りかけなので睡眠をしっかり取れば大丈夫という手ごたえでした。
現に2日目までは無事良い感じで終えることができました。
とはいえ気になる点もありました。
だんだんひどくなる耳の詰まりです。発熱もせず咳き込みも悪化してないのに、耳の詰まりは進行しているようでした。
そして迎えた3日目の朝。
耳の詰まりからくる圧迫感が、頭の付近までのぼってきている感覚…さらに冷や汗、若干の吐き気。
名古屋から一宮への走り慣れた道のりも、これは自重した方が良いと身体が訴えてきます。
「小川さん、運転かわってもらえませんか。」私が自分から運転をかわってくれというのは、この20年でも数回しかない余
程の事態。この言葉が自然に出てきたことで、体調悪化をはっきり自覚しました。それでも演奏しない選択肢は皆無で、演奏するために運転をしない、という意識はありました。
会場のDenpo-Gに到着してから別室で寝込んでしまい、会場の中神さんと小川さんには本当にご迷惑をかけてしまいました。
そして小川さんの提案で中神さんが救急に連れて行ってくださり、診察を受けたのが開場30分前。
(受け付けしてます)
そこで、発熱は無いが血圧が高くなっていること、耳の詰まりについては耳鼻科でないと診断できないことを告げられ、とりあえずツアー帰宅まで2日分の血圧降下剤を処方してくださいました。
早速飲んでみると、冷や汗が止まった…これなら充分いけそうです。会場に戻ると小川さんがなんとピアノでリハーサルを行っていました。「いやー伊藤くんの分も2ステージやるつもりで、そしたらピアノも弾こうかなと思ってましたー」小川さんのお気持ちに励まされ、鬼才に震えた瞬間でした。
無事終わった…
皆さんのおかげさまで、紆余曲折ありながらも結果的に良いツアーにすることができました。ありがとうございました。
私はステージに上がることに関しては得体の知れない確信みたいなものがあって、それは良いことでもあると思うのですが、今回のように身体のサインを見過ごすという事態にもなることを反省しました。帰宅してから耳鼻科に行き、中耳炎の診断も受けました。風邪や中耳炎など中途半端な状態のままライブ演奏というステレスを身体に強いていたために、血圧が更に上昇して
しまったと考えられます。普段より血圧が高めなのはわかっていたのに対処が遅れて、もしかしたら大変な事態の一歩手前だったのかもしれません。
我々は身体が資本。
そして自分の代役はいません。
それを大きく学んだツアーとなりました。
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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com
1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。
【2025年1月3日】
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